エッセイ : ジョン レノンが愛したフランスパン (軽井沢はラブソングが似合う街)

ジョン レノンは生前、夏になると奥様のオノヨーコさんと息子さんのショーン君と3人で、軽井沢に
避暑に来ていた。

ジョン レノンは旧軽井沢銀座通りにある、
フランスベーカリーさんというパン屋さんの
フランスパンが大好きで、滞在していた軽井沢の
老舗ホテルである万平ホテルから毎朝、自転車
(ママチャリ)に乗り、フランスベーカリーさんでフランスパンを2本買って帰り、ホテルの朝食で食べていたという。

今からもう30年以上前になるが、ビートルズファンの僕は、ジョン レノンが愛したフランスパンが
食べたくて、車で軽井沢まで行った。片道2時間半位だった。
フランスベーカリーさんは旧軽井沢銀座通りにある
朝早く行かないと駐車場が満車になってしまうため
朝7時頃到着し、車のなかでジョン レノンのCDを
聴いていた。

7時半を過ぎた頃、車を降り、旧軽井沢銀座通りを
1番上からゆっくりと歩いて行った。
お店が所々開店し始めた。僕はまだ人がまばらな
軽井沢銀座を楽しみながら歩いた。
時計を見ると丁度8時だった。フランスベーカリーさんの開店時間だった。
暫く歩くと、右前方にフランスベーカリーさんが見えて来た。店を外側から見ると、沢山のフランスパンが置いてあった。
僕は店内に入った。ジョン レノンが愛したフランスパンと書いてあった。パンを買いに来ているジョンレノンの写真も飾ってあった。
パンの香ばしい香りが店内に漂っていた。いろんな種類のパンも置いてあったが、僕はフランスパンをジョン レノンと同じように2本買った。

僕はレンタル自転車で飲み物と軽井沢のジャムを買い塩沢湖まで行き、フランスパンを朝ごはんに1本食べた。
噛めば噛むほど味が出て来る美味しいフランスパンだった。
軽井沢に1番似合う食べ物はフランスパンかもしれないと思った。

僕はもう1本のフランスパンを残し、軽井沢の街を見て廻った。
軽井沢にはいろんな教会がある。教会を見ているだけでも楽しい。石で出来た教会まであった。
だが、僕が1番気に入った教会はショー記念礼拝堂だった。
軽井沢最初の教会建造物で、木造のそのシンプルな礼拝堂は、そこにいるだけでも心が落ち着くと思った。

お昼近くになり、僕はレンタル自転車で旧軽井沢銀座通りに戻った。途中で軽井沢の生ハムを買った。
旧軽井沢銀座通りに戻ると、美味しいと評判の
ミカドコーヒーさんに行き、ホットコーヒーをテイクアウトした。
コーヒーを溢さない様に、ゆっくりと駐車場に戻った。
僕は車のドアを開け、助手席にある小さなテーブルの上に買って来たコーヒーと生ハムとフランスパンを置いた。
万能ナイフでフランスパンを切り、生ハムをのせてコーヒーを飲みながら食べた。
生ハムもコーヒーも美味しいと思った。それを一緒にジョン レノンが愛したフランスパンを食べるのだから、美味しくて仕方がなかった。
僕は、ジョン レノンの最後のアルバム、ダブルファンタジーのCDをかけた。
曲がジョン レノンの最後のシングルカット曲、
WOMANになった。長年、自分を支え続けてくれた
奥様のオノ ヨーコさんへのラブソングとも言われている曲だ。
WOMANは、僕がランチを食べながら見ている
軽井沢の街によく似合う曲だと思った。
僕は、軽井沢に似合う音楽はどんな曲だろうと、
ずっと思っていたが、WOMANだけじゃなく、 
軽井沢にはラブソングが似合うと思った。

僕はレンタル自転車をお店の人に返すと、
美しく雄大な浅間山に向かって車を走らせた。







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