子育てエッセイ : フィンランドのサンタクロースから届いた手紙

フィンランドのサンタクロース村のサンタクロース宛に、毎年世界中の子どもたちからプレゼントへのお礼の手紙が約60万通届くと言われている。
日本の子どもたちも送っている。
プレゼントを届けてくれたサンタクロースにお礼の手紙を送るのは素晴らしいことだと思う。

ある時、サンタクロース村の職員の1人の方が、
サンタクロースからの返事の手紙を貰えない子どもたちを可哀想に思い、返事を作って送り始めた。
それを知った他の職員の方々も協力し始めた。
これがきっかけとなり、フィンランドのサンタクロースから手紙を貰えるようになった。
但し、サンタクロースへ手紙を送った子どもたちのなかで、サンタクロースからの返事の手紙を申請した子どもだけで、有償になります。

日本のいろんな団体が協賛していますが、僕の長女の時はフィンランドのサンタクロース村の日本支局を利用したと思います。

長女が幼稚園に入園した時のクリスマスは、長女にとって特別なクリスマスとなった。
フィンランドのサンタクロースから手紙を貰えることを知った奥さんは、長女にその話しをした。
その年の11月のことだった。

長女は奥さんに習って、日本語で一生懸命サンタクロースへの手紙を書いた。
出来上がった手紙を奥さんがサンタクロース村の日本支局に送り、返事の手紙を貰う申請をし、お金を払った。
手紙は日本語と英語のどちらかを選べた。
僕と奥さんは本物感を出すために英語の手紙を申請した。

12月15日、会社から帰ると長女が走って来て 
「お父さん、サンタさんから手紙が来た!」
と言って目を輝かせて喜んでいた。
こんな嬉しそうな長女を見たのは初めてだった。

奥さんが、英語だからお父さんに読んでもらったら
と言っても、長女は首を横に振り、サンタクロースからの手紙を抱きしめたまま、誰にも見せようとしなかった。

長女が眠ると、奥さんがサンタクロースからの手紙を見せてくれた。
まず封筒はフィンランドの切手が貼ってあり、
サンタクロース村中央郵便局の消印まである本格的な物だった。

中にはA4サイズの見開きの手紙が入っていた。
手紙の外側はサンタクロースとクリスマスの素敵なイラストが描かれていた。
見開きを開くと、フィンランドの冬景色の柄になっていて、そこにサンタクロースからの英語の手紙が
ぎっしりと書かれてあった。
こんなに立派な手紙が貰えるんだ、と驚いた。

僕はいつ長女に読んで欲しいと言われてもいいように、ざっとその手紙を読んだ。
最初はサンタクロースのご挨拶と貰った手紙のお礼が書いてあり、送ってくれた子どもへのメッセージが書かれていた。
後半はサンタクロースの平和への願いと、子どもたちへ、平和な世界を作って行って欲しいというメッセージが書かれていた。

迎えたクリスマスイブ
僕と奥さんは、長女が欲しがっていたセーラームーンのスティックの玩具をプレゼントした。
まだ2歳になったばかりの次女にはテディベアのぬいぐるみをプレゼントした。
クリスマス料理を食べながら長女は
「サンタさんプレゼント持って来てくれるかなぁ」と不安そうに言った。
奥さんが
「サンタさんは眠っている間に来てくれるのよ。」
と言うと、長女は分かった、と言って料理を食べ終わり、クリスマスケーキを食べると、もう寝る、と言って歯を磨きパジャマに着替えて自分の部屋に行った。 
僕は長女が眠ったのを確認し、サンタクロースからのプレゼントとして用意した、毛糸のセーターと
手袋とマフラーと帽子が入ったクリスマス用に梱包された可愛い袋を長女の枕元に置いた。

翌朝、僕が珈琲を飲んでいると、長女がパジャマ姿のまま僕が枕元に置いたプレゼントの袋を抱えて走って来た。
「お父さん、お母さん、サンタさんがプレゼントを持って来てくれた!」
僕と奥さんが、良かったねと言うと、長女は奥さんと一緒にプレゼントの袋を開け、毛糸のセーターを着せてもらい嬉しそうにしていた。
少しすると長女は僕のところに来て、
「お父さん、サンタさんからの手紙読んで。」
と言ってサンタクロースからの手紙を見せてくれた
僕は長女にサンタクロースからの手紙を読んであげた。長女は真剣な眼差しでサンタクロースからの手紙を見つめていた。



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