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緋牡丹博徒 一宿一飯(1968)

緋牡丹博徒 一宿一飯(1968、東映、94分)
●監督:鈴木則文
●出演:藤純子、菅原文太、待田京介、村井国夫、城野ゆき、白木マリ、山城新伍、玉川良一、小島慶四郎、天津敏、遠藤辰雄、西村晃、水島道太郎、若山富三郎、鶴田浩二

緋牡丹博徒』シリーズの第2作目。

肝心の第1作目は未見だが鈴木則文脚本・監督ということでこの2作目から観てみた。

明治の中頃、上州富岡が舞台。

緋牡丹のお竜を演じる藤純子が櫓の上で八木節に合わせて太鼓を叩くにぎやかなタイトルバック。

クレジットのトメには「監督 鈴木則文」の文字が出るが、画面の藤純子の顔にかからないよう、わずかに横にずれているところが粋でよい。

「この映画は藤純子を見るための映画である」という開幕宣言だ。

藤純子も決して少女的な可愛らしさを売りにするタイプではないが、凛として潔くしなやかで強く美しい女優だ。

そんなお竜、殺陣の場面ではその美しさがより一層妖しくギラつく。

お竜がドスを振るうその目つき、眼差し、眼光・・・

裸の場面よりもよっぽど官能的で、もっと見ていたい!という気持ちにさせる。

ドス、ピストル、傘、下駄を蹴っ飛ばして相手の顔面にヒット!など繰り出すエモノも多彩。

普段の感情をあまり表に出さない上品な姿からのギャップがまたたまらない。

一人笠松組に殴り込みをかけた勇吉を救いに行ったお竜がピストルで笠松組のちょうちんをバンバンバンと撃ったあと近づく菅原文太に対して、

動いてごらん。こん一発で親分さんの胸板に血の花が咲くとよ!

と言い放つ。

もちろん時代順は逆だが『仁義なき戦い』のラストシーンを彷彿とさせる。

柳に雨の殺陣シーンも画になっていてかっこいい。

「下品こそこの世の花」って言っている人がこんな美しく撮ってしまうわけだから間違いないはずだ。

最後は鶴田浩二がちょっとカッコイイところを持っていきすぎな感はあったが、エンディングの一人哀しく太鼓を叩き続けるお竜の姿も、悲しく、また美しい。


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