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おすすめ本紹介②【男性中心企業の終焉】


こんにちは、シンママ公認会計士河合千尋です。3月後半になり、業務でお付き合いのある方から何件か異動のご挨拶メールが届きました。お子さんの入学などの節目とご自身の異動が重なると本当にバタバタだろうなと頭が下がります。
今回のおすすめ本は
「男性中心企業の終焉」 浜田敬子 文春新書 2022

元AERA女性編集長、Business Insider統括編集長からフリーランスジャーナリストとして、現在はテレビ朝日モーニングショーのコメンテーターとしてお見かけすることも多い浜田敬子さんの「女性とキャリア」「日本企業のジェンダーギャップ」についての思いが詰まった一冊です

世界各国のジェンダー格差をあらわすジェンダーギャップ指数が2015年では、日本はまだ145カ国中101位だったのが、2019年には121位、本書が出版された後であるが直近の2023年では125位(特に政治分野では未だ女性首相が一人も誕生していない等の影響もあり138位)と過去最低順位を更新しています。
2015年の「働く場面で活躍したいという希望を持つすべての女性がその個性と能力を十分に発揮できる社会を実現するために」女性活躍推進法も成立して10年がたち、数の上では女性しても仕事を続けることが当たり前となってきているにもかかわらず、日本のジェンダー格差が一向に改善しなかったのはなぜなのだろうか。誰しも疑問に思うところでしょう。
その主な要因3つとしては、内閣府男女共同参画局長だった林洋子さんの言葉を借りて
・男性が仕事、女性が家事育児という性別による役割分業意識や性別に対しる無意識の偏見など意識の問題
・選択的夫婦別性が認められていないことや女性の就労調整を促すような配偶者控除など制度の問題
・超時間労働が常態化しているような労働慣行の問題
があげられています。安倍内閣時代に声高に始まった「女性活躍」推進とはいっても、育児休業などの制度整備は女性が利用することしか想定していませんでした。

男性にはほぼ従来通りの働き方を求め、女性には「女性が家でも外でも輝く社会」と耳障りのよい言葉でおだてながら、中身としては従来と変わらず家事や育児や介護をする「昭和的な良妻賢母」の務めを当然のごとく要求しつつ、それに加え社会での労働力としても貢献せよという都合のいい施策だったと痛烈に批判しています。

一方で政府の施策とは別に、新型コロナウイルスの流行によるリモートワークの導入により、職種によりますが人々の働き方やワークライフバランスの考え方に変化が起きたのも事実であり、働き方改革に先進的な一部の企業では感染症が落ち着いた後もリモートワークでパフォーマンスが落ちないための環境整備に相当な覚悟で注力している企業の例も紹介されています。全社員のワークライフバランスが向上し、特に女性の管理職登用に当たって(リモートワークが可能であれば)管理職へチャレンジしてみようという女性が増加し、組織内でのダイバーシティ推進が自然な形で進んでいる取組事例は、他企業にとっても無視できない力となることでしょう。
また女性の社会進出を阻む最後の壁として、夫の家事育児進出と述べられています。

本書の中でも紹介されているサイボウズチームワーク総研の男性育休関する調査結果でも、若手男性社員の、理想とする育休期間(半年~1年が最多)と上司世代の理想とする育休期間(1週間以内が最多)の意識は大きく差があることがわかります。

浜田さんご自身は育休終了後に入れ替わりでご主人が3ケ月育休を取得し、(その間にご主人の家事能力や子どもへ向き合う能力が著しく上昇したとのこと)、その後は地方からご両親を隣に呼び寄せてサポートを得られたので、仕事を続ける環境としてはかなり恵まれた方であったとおっしゃった上で、今の子育て世代が仕事を続ける上でまずは(特に男性)上司の意識改革が最重要と述べられています。

働く女性が増えてはいるものの、日本では女性の働きやすさが諸外国に比べると大きく後れを取っていている理由がさまざまな角度から考察されており、大変読み応えのある一冊でした。部下を持つ上司世代の男性のみならず、どうしてもご自身の世代の価値観にとらわれてしまいがちなベテラン女性にも新たな気付きが多々あるように思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。
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