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70年代の松本作品

#私の推しキャラ  星野鉄郎

星野鉄郎という読者の代弁者

1~4巻(少年キング時代の単行本)はまだテレビアニメになっていなかったから、従来からの松本漫画テイストが詰まっていました。異常なメーターずらりと、闇の背景に溶け込む人物、そして線を省略することに徹した表情のアップ。あの秀逸な表現はオンリーワンでしたし、書き込みが細かければいいという訳ではない表現法に驚かされたわけです。

SFをぐっと小学生に引き寄せた設定でした

この作品が登場する前、「クイーンエメラルダス」というアダルトなSF作品がありました。描写はエロくないけど、精神的に大人向けですよね。
そして、「俺たちの戦いはここからだ!」的に未完にするのも松本流。絶対に未完。「ガンフロンティア」というエロ中心の西部劇は、一応完結してますが、たいがいは放置プレイされることに慣れていたのです。
それだけに、連載途中・テレビアニメ放送途中なのに、劇場版ですべて完結したことにも、ド肝を抜かれました!

ただし原作設定の鉄郎じゃありませんが

松本零士の欠点は、影響を受けると作品が大きくブレること。連載当初の設定は、原作最終回の頃には結構映画に引っ張られて終わりました。
そう、完結したのです。(それだけにエターナル編放置は、残念)
喜ばしいことでした。
未完を尊んでいるのは、読者への冒涜。御大は最後までそれを考えて頂かずに、逝ってしまいました。

星野鉄郎は、年齢を問わず、当時の熱烈な読者の分身であり投影だったと思います。
映画のラスト、ゴダイゴの名曲をバックに、走り続ける鉄郎の後ろ姿に輝ける未来を暗示させた。希望を表現して物語は終わりました。だから、名作だったのですよね。

あの日の少年たち。
わたしも含めてだけど……。
それぞれの〈星野鉄郎〉は、まだ走り続けていますか……!?


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