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こんな北朝鮮に注目! 識字率100%のなぞ

北朝鮮にはある記録がある。ユネスコの2015年の統計によると、識字率の世界平均は86.3%なのだが、その中で北朝鮮は識字率100%で世界最高を誇っている。2600万人の北朝鮮国民のうち文字の読み書きができない人は全くいないという数値だ。本当であれば、世界で唯一である。北朝鮮は国の統計をほとんど公開しないので、信頼できないという意見はあるが、脱北者たちの証言からも北朝鮮の識字率は高いという話がよく聞かれる。実際は日本よりも多少低く、識字率9割前後という感じだろうか。

北朝鮮で識字率が高い理由は2つ予想される。北朝鮮は、日本による統治が終わった直後から、強力に文字を学ぶ運動を展開し、高齢者も文章をきちんと読み、書けるようになったというもの。特に全体主義国家である北朝鮮で文章は、思想教育、体制の宣伝・扇動につながるものであるため、貧困はあるものの、国民が文字を読み書きできる割合は高いようだ。

北朝鮮では、ほぼ完全に漢字を廃止したことが識字率を上げた要因の1つとして挙げられるという。北朝鮮は1949年3月に漢字を廃止。人々は、学術用語など技術を学ぶための本に出てくる漢字を除けば、ほとんど全てハングルだけを使うようにした。当時は土地改革の正当性と意義を農民に説得するため、ほとんど文字が読めなかった農民たちを啓発することが急務であり、農民たちが、ある程度ハングルを読んで書けるようになると、難しい漢字を廃止して覚えやすいハングルが広まり、識字率は大幅に上がったという。

韓国国立国語院の2008年の調査によると、北朝鮮で、文章を理解する能力がほとんどない19歳以上の人口は、約260万人程度と推定。彼らのほとんどは、過去の社会的偏見や経済的理由で学校に通えなくて、文字を習えなかった高齢者だった。

そうした歴史の中で、文字を書く鉛筆は、北朝鮮が国家として最初に扱った議題だった。北朝鮮臨時人民委員会は、1946年2月20日の第1回会議で、「鉛筆生産をどのようにすべきか」を議論した。委員長は金日成(キム・イルソン)主席だった。当時、北朝鮮の識字率は30%、人民に共産主義の理念を注入するためには、鉛筆が必要だったという。
彼らは、鉛筆も「革命の道具」という強い意識を持っていたに違いない。

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