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東京と自分。

 この日は職場の見学の為に東京へ来ていた。
 田舎から出てきた自分は東京の街並みと人の多さに圧倒された。
 時間のあった僕は上野の街を1周する。
 人の目が気になる。
 自分を見ている人はいないとは分かっていても、人の多さ故に視線があると勘違いしてしまう。

 夜は当たり前のように星が見えない。
 月が寂しそうに見えた。この街を歩く自分のように1人ぼっちだった。
 月から見たらこの街は無数に輝く星に見えるかもしれない。
ホームレスやライブ配信をする人、イチャつくカップル、、、様々な人がいた。
 自分が住む町では異様な存在に見えるが、初めて見るその光景の衝撃もこの街の喧騒に掻き消された。この街に住む人にとっては当たり前のことなのかもしれない。

 しかし、ホームレスが必死に生きている姿をあたかも当たり前のように通り過ぎる現実になんだか寒気がした。それは決して気温のせいではないのだと気付く。
 だからと言って今の自分に何ができるわけでもない。歯痒いと表現すればいいのか、息苦しさと表現すればいいのか、そういったものを感じた。
 東京の人間が冷たく感じられる所以はこういうことからなのかもしれない。

 俯瞰的な視点で物事を見ることは大切だと思う。当たり前を当たり前と思わない生活にする為には。
 誰もが思ったことのあるような当たり前のことを綴っている自分も、結局は平凡な存在なのだと思い知らされる。

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