「水道民営化をしない決議を求める請願」の雛形

 地方自治体議会に提出する請願の文書の雛形です。
 よろしければ、参考にして下さい。



【 雛形1 】 決議を求める場合

                           年  月  日
      議会
議長          様

「コンセッション方式を含む公営上下水道事業の民営化をしない決議」を求める請願

                   請願者
                   住所
                   紹介議員
 
【 請願の趣旨 】
 厚生労働省は、全国の19事業体に対し、水道事業のコンセッション方式導入を働きかけています。
 そして、2018年秋の臨時国会では、公共施設等運営権を民間事業者に設定できるコンセッション方式の仕組みを導入する内容を含む、「水道法の一部を改正する法律案」が成立しました。
 しかし、同法は、「事業者が水道事業の許可を得る必要がなく、水道法上の責任の所在が不明確になること」、「自治体職員の転籍、災害時の責任の所在や役割分担など、自治体が策定する枠組みに委ねられてしまっていること」、「水道技術の技術継承を困難にし、地方公営企業の技術力、人的基盤の喪失に繋がるおそれがあること」、「運営のほぼ全てを民間事業者が行う中で、モニタリングができるだけの知識と経験が自治体に蓄積されないこと」等の問題点が国会で指摘されました。
 また、「充分な災害対応が行えるのか?」、「運営会社が経営破綻した場合、すぐに代替する会社が無い」、「民間事業者による運営で、料金や品質等に問題は無いのか?」、「再公営化する際、自治体が民間事業者に巨額の違約金を支払うことになるのではないか?」、「再公営化したら、自治体は、TPPのISDS条項により、企業や投資家から、損害賠償訴訟を起こされるのではないか?」等の懸念も国会で指摘されました。
 水道事業には、「電気事業法」、「ガス事業法」のような事業法が存在せず、民間事業者は、サービス水準に対する義務も責任も負わされることがなく、また、料金の設定、役員報酬、配当、従業員の給与水準を規制されることもなく、利潤をタックスヘイブンに流して節税することも可能です。
 さらに、電力自由化の場合は、複数の電力会社が発電した電気を、共有の送電網で送電することが可能なので、競争により(一時的に)電力の価格が下がりますが、水道民営化の場合、複数の水道事業者が水道管を共有することは不可能なので、地域独占となり、水道料金は上がります。
 海外では、水道民営化により、料金高騰、水質悪化、多国籍企業による水資源の独占的管理、 料金が払えない家庭への給水停止、コレラの流行、水をめぐる紛争、民間事業者による不透明な経営等が起こり、パリやベルリンをはじめとする多くの自治体で水道再公営化が行われました。
 加えて、新自由主義の旗振り役であった英国の会計検査院は、2018年1月18日発行の報告書「PFI and PF2」の中で、PFIが公的な財政にプラスであるという証拠は乏しいと結論付け、同年10月29日、フィリップ・ハモンド財務大臣は、「今後新規のPFI事業は行わない」と宣言しました。
 水は、市民の生活や経済活動を支える重要なライフラインであり、水道民営化は、全ての人が安全、低廉で安定的に水を使用し、衛生的な生活を営む権利を破壊しかねません。
 水の問題は、安全保障の問題であり、社会的共通資本である上下水道事業と河川、地下水、井戸、雨水、池、山林等の水源を、多国籍企業、グローバル投資家に支配されてはなりません。
 よって、     議会におかれましては、「コンセッション方式を含む公営上下水道事業の民営化をしない決議」をして頂きますよう、お願い申し上げます。

【 請願項目 】
1. コンセッション方式を含む公営上下水道事業の民営化をしない決議


【 雛形2 】 条例制定を求める場合

                           年  月  日
      議会
議長          様

「コンセッション方式を含む公営上下水道事業の民営化を禁止する条例」の制定を求める請願

                   請願者
                   住所
                   紹介議員
 
【 請願の趣旨 】
 厚生労働省は、全国の19事業体に対し、水道事業のコンセッション方式導入を働きかけています。
 そして、2018年秋の臨時国会では、公共施設等運営権を民間事業者に設定できるコンセッション方式の仕組みを導入する内容を含む、「水道法の一部を改正する法律案」が成立しました。
 しかし、同法は、「事業者が水道事業の許可を得る必要がなく、水道法上の責任の所在が不明確になること」、「自治体職員の転籍、災害時の責任の所在や役割分担など、自治体が策定する枠組みに委ねられてしまっていること」、「水道技術の技術継承を困難にし、地方公営企業の技術力、人的基盤の喪失に繋がるおそれがあること」、「運営のほぼ全てを民間事業者が行う中で、モニタリングができるだけの知識と経験が自治体に蓄積されないこと」等の問題点が国会で指摘されました。
 また、「充分な災害対応が行えるのか?」、「運営会社が経営破綻した場合、すぐに代替する会社が無い」、「民間事業者による運営で、料金や品質等に問題は無いのか?」、「再公営化する際、自治体が民間事業者に巨額の違約金を支払うことになるのではないか?」、「再公営化したら、自治体は、TPPのISDS条項により、企業や投資家から、損害賠償訴訟を起こされるのではないか?」等の懸念も国会で指摘されました。
 水道事業には、「電気事業法」、「ガス事業法」のような事業法が存在せず、民間事業者は、サービス水準に対する義務も責任も負わされることがなく、また、料金の設定、役員報酬、配当、従業員の給与水準を規制されることもなく、利潤をタックスヘイブンに流して節税することも可能です。
 さらに、電力自由化の場合は、複数の電力会社が発電した電気を、共有の送電網で送電することが可能なので、競争により(一時的に)電力の価格が下がりますが、水道民営化の場合、複数の水道事業者が水道管を共有することは不可能なので、地域独占となり、水道料金は上がります。
 海外では、水道民営化により、料金高騰、水質悪化、多国籍企業による水資源の独占的管理、 料金が払えない家庭への給水停止、コレラの流行、水をめぐる紛争、民間事業者による不透明な経営等が起こり、パリやベルリンをはじめとする多くの自治体で水道再公営化が行われました。
 加えて、新自由主義の旗振り役であった英国の会計検査院は、2018年1月18日発行の報告書「PFI and PF2」の中で、PFIが公的な財政にプラスであるという証拠は乏しいと結論付け、同年10月29日、フィリップ・ハモンド財務大臣は、「今後新規のPFI事業は行わない」と宣言しました。
 水は、市民の生活や経済活動を支える重要なライフラインであり、水道民営化は、全ての人が安全、低廉で安定的に水を使用し、衛生的な生活を営む権利を破壊しかねません。
 水の問題は、安全保障の問題であり、社会的共通資本である上下水道事業と河川、地下水、井戸、雨水、池、山林等の水源を、多国籍企業、グローバル投資家に支配されてはなりません。
 よって、     議会におかれましては、コンセッション方式を含む公営上下水道事業の民営化を禁止する条例を制定して頂きますよう、お願い申し上げます。

【 請願項目 】
1. 「コンセッション方式を含む公営上下水道事業の民営化を禁止する条例」の制定。


 「請願」には、1人以上の紹介議員の署名が必要です。
 もし、面識のある自治体議会議員がおらず、自治体議会議員の署名を得ることが難しい場合は、紹介議員の署名を必要としない、「請願」と良く似た制度である「陳情」という制度をご活用下さい。

 ただし、「請願」は委員会で審査され、本会議の採決で「採択」か「不採択」かが決定されるのに対し、「陳情」は「請願」と同様に扱われる保障はなく、ほとんどの場合、自治体議会議員に参考資料として配付されるだけのようです。(とはいえ、提出しないよりは提出した方が良いと思います。なぜなら、自治体議会議員や行政官僚に対して圧力を加えることができますし、陳情の文書が市民の目に留まり、水道民営化の問題に気付く可能性もあるからです。)

 「請願」と「陳情」は、文書の形式がほぼ同じなので、「陳情」をする場合にも、本頁の雛形を下記のように修正すれば活用することができます。

[1] 求める請願 ⇒ 求める陳情
[2] 「紹介議員」を消去する
[3] 【 請願の趣旨 】 ⇒ 【 陳情の趣旨 】
[4] 【 請願項目 】 ⇒ 【 陳情項目 】

 なお、請願・陳情の文書の形式は、自治体によって違いますので、自治体議会の請願・陳情のwebページをご覧になって、文書の形式をご確認下さい。


■ 『請願・陳情、決議・意見書とは?』(静岡県 伊東市役所)


■ 水道民営化を阻止するための資料集