桜庭 紀子

短歌、詩、川柳、その他文章など。X→https://twitter.com/norik…

桜庭 紀子

短歌、詩、川柳、その他文章など。X→https://twitter.com/norikosakuraba

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  • 短歌五十音

    • 15本

    「短歌五十音」は、中森温泉、初夏みどり、桜庭紀子、ぽっぷこーんじぇるが五十音順に歌人を紹介する記事です。毎月第一〜第四土曜日に更新予定。 画像は桜庭さんよりいただきました。

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    写真日記、主にごはんと手芸

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    主に短歌の評論をまとめていきます。

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短歌交換日記「水沼・桜庭・春木」005

前々回の春木滉平さんの回で、春木さんから『現代短歌』5月号の原稿料で何を買いましたか?と質問を頂いたので、まずその回答から。 (春木さんの回↓) https://kmetpd.hatenablog.com/entry/2024/04/03/232206 初めての短歌での原稿料ということでもったいなく思う気持ちもあり、しばらく引き出しにしまっていたのですが、春木さんの質問を受けて使おう!と決心。 本を購入することは決めていたので、地元のちょっと大きめの本屋さんに行きまし

    • 短歌五十音(そ)染野太朗『初恋』

      『初恋』は染野太朗の第三歌集。 恋人のいる「きみ」を思う、行き場のない主体の感情が繰り返し描かれる歌集である。 染野太朗は1977年、茨城県生まれ。高校在学中から作歌を始め、「まひる野」に入会。第一歌集『あの日の海』で日本歌人クラブ新人賞、第二歌集『人魚』で福岡市文学賞を受賞している。 恋の相手の言動によって一喜一憂してしまう心情が描かれる。 1首目、「きみ」のことをまた疑ってしまう。船は猜疑心の喩えか。一旦心の底に沈んでいた猜疑心がまた浮かび上がってきたのだろうか。「無

      • 短歌交換日記「水沼・桜庭・春木」002

        朝起きると、ブルーライトで目を覚ますためにベッドの中でスマートフォンを触る習慣がある。 たいていXのタイムラインをぼんやり眺めるのだが、ある日の朝、1件のポストが目に止まった。 「短歌交換日記をやってくれる方をゆる募。週一ぐらいで日記(ないしそれに準ずるテクスト)+一首以上。公開等は三往復ぐらいしてから考えましょう。」 投稿されたばかりの水沼朔太郎さんのポストだった。 やってみたい、とすぐに思ったものの、一旦冷静になろうと起き上がって朝食を食べた。 食べ終わってから、

        • 短歌五十音「さ」 笹井宏之『ひとさらい』

          今回笹井宏之を取り上げようと決め、歌集を読み返したものの、評を書くのがとても難しい、と感じた。 私は歌集評を書く時に、歌集の中で気になった歌を一度全てWordに打ち込んで、その中でタイプ別に歌をカテゴライズする作業をする。 第一歌集『ひとさらい』も、気になる歌をリストにし並べてみたが、彼の歌たちをタイプ別にカテゴライズしていく作業が進まない。 どの歌も並列に並んでいるように見えるのだ。 連作の中で歌は違和感なく並んでいるが、一首一首の独立性が高い。 彼が連作を作るときどういう

        短歌交換日記「水沼・桜庭・春木」005

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          短歌五十音(き)木下龍也『オールアラウンドユー』

          いきなり表題歌を引く。 主体が詩の神に「あなたはどこにいるのか」と尋ねると、神は「君の周り全てに」と気だるく答えた。 筆者は特定の宗教を信じてはいないが、この歌集を読んでいる時間は、神様がソファに寝そべりながら部屋の中にいてくれたような気がした。 この歌集はそんな歌集である。 木下龍也は、1988年山口県生まれ。 2013年に第一歌集『つむじ風、ここにあります』(書肆侃侃房)を刊行、それからの活躍は誰もが知るところなので割愛する。 2020年には短歌入門書『天才による凡人の

          短歌五十音(き)木下龍也『オールアラウンドユー』

          短歌五十音(う)内山晶太『窓、その他』

          一面に河原を覆うタンポポ。 主体はその景色を、眼を通して胸に写しとり、帰宅する。 静かで、おそらく電気のついていない自分の部屋のドアを開ける。 暗くさびしい部屋に一人で入る自分のために、主体は明るく長閑な景色を持って帰って来たのだろうか。 内山晶太『窓、その他』を読むと、生きることの寂しさが詠われつつも、人生に明るさを見出そうとする意思を感じる。 内山は1977年生まれ。 1992年より作歌を始め、1998年に第13回短歌現代新人賞を受賞している。 第1歌集である「窓、そ

          短歌五十音(う)内山晶太『窓、その他』

          「備えねば」気まぐれ日記2024.1.1

          災害が突然起こるものであるという当たり前のことを突きつけられた。 日本中の大部分の人がのんびりと過ごしていただろう元旦に、大きな地震。 今のところ津波による大きな被害は確認されていないようだけれど、道路に大きなヒビが入ったり、家屋が倒壊して中の人が逃げられなくなったりしている。 地震が起きる直前まで穏やかなお正月だったはずなのに。 私の住んでいる関西は少し長めに揺れたな、というくらいだったけれど、それでもものすごく不安になった。(それは私の過敏な性格のせいもあるだろうけれど)

          「備えねば」気まぐれ日記2024.1.1

          【短歌】投稿採用歌リスト(2024.3.11更新)

          □『短歌』 2024年3月号 角川歌壇 梶原さい子選 秀逸 レモネード割るために買うソーダ水引き立て役の少女期は過ぐ 永井祐選 佳作 闇中の港のように君はいて七年越しの電話をかける 題詠 「未来」を詠う 千葉聡選 佳作 スプーンで抉る南瓜の種とわた良いか悪いか私が決める □ 『短歌研究』 2024年3月号 短歌研究詠草 米川千嘉子選 佳作 ここが二人の場所であること示すため窓を磨いて花木を植えた ランプシェードに積もる埃を払うたび日々を重ねる長さを思う □ 『

          【短歌】投稿採用歌リスト(2024.3.11更新)

          「回帰、お醤油ごはん」

          昔、私の実家では炊き込みごはんは「お醤油ごはん」と呼ばれていた。醤油に多分みりんを足したような味付けで、気持ち、普通の炊き込みごはんよりもおこげの濃さや分量が多かった気がするが、当時の炊飯器の性能によるものだったのかもしれない。具は、にんじん、油揚げ、こんにゃく、鶏肉だったと記憶している。今は簡単に炊き込みごはんができる素がたくさん売られているが、母は一から手作りしていた。蒟蒻を茹でてアク抜きをし、具を細かく切って、といだ米と一緒に釜に入れ、調味料と水を入れて炊いていた。詳し

          「回帰、お醤油ごはん」

          「文学フリマ大阪」気まぐれ日記2023.9.10(日)

          文学フリマ大阪。 私は持病があり、外出先でよく具合が悪くなるので夫に同行してもらう。(ランチをご馳走する約束で) 先に天王寺でランチを済ませる。ビルの地下にある、穴場的なお店だった。たっぷりお刺身の定食にしたが、お皿に盛られた色々な魚がどれも美味しくて最高だった。 谷町線に乗って天満橋OMMビルへ。はじめての文フリ。人が多い。でも恐れていたほど鬼混みというわけでもなくて良かった。人混みでしんどくなりやすいので…。 最初にはたらきアリ出版さんへ。代表のはちみつちひろさんと

          「文学フリマ大阪」気まぐれ日記2023.9.10(日)

          「ギュッとしてる三日間」気まぐれ日記2023.9.9(土)

          昨日から明日までボリュームのあるスケジュール。 昨日は大きな病院に行って手術の日程を決め、今日はオンラインの詩の教室の見学、明日は文学フリマ大阪である。 昨日はそこそこ家から遠い日赤に電車とバスを乗り継いで行った。初めて来る日赤、でかい&新しい。中に入ってもピカピカで気持ち良い。お見舞いや付き添いでなく自分の診察でこんな大きな病院に来るのは初めてで緊張した。勝手が分からず戸惑うこと多々……。朝8時に着いて出たのは12時ごろだったが、疲れた。 まあでも手術の日にちが決まったこ

          「ギュッとしてる三日間」気まぐれ日記2023.9.9(土)

          体調の愚痴 気まぐれ日記2023.9.5(火)

          体調が悪い期に入った。 微妙に、わずかに熱がある。 頭がぼんやりしている。 体が重い。 こうなったら、もう苦手な作業などは一切できなくなってしまうのですっぱりと諦めることにした。 出かける用事も、なかなか身支度ができないのでのろのろになる。 家事はギリギリなんとか、洗濯を回し洗い物を片付けている。(食洗機とルンバが大活躍) 絵を描くが、集中力と体力がもたない。柄を描いてもなんだか大きな柄になる。出来栄えもなんだかまずい気がする。 このあいだ書いた小説を読み返したいが、すごく暗

          体調の愚痴 気まぐれ日記2023.9.5(火)

          「字がうまく書けない、について」

          美しい字を書くことができない。 字を手書きすること自体は嫌いではなく、ノートに手書きで記録をすることはよくあるが、人に見せられるような字が書けない。手紙を書くことがとても苦手である。 小学生の頃から、硬筆が嫌いだった。そもそもほとんど練習をしないし、気が向いて少し頑張っても、ほとんど褒められない。学校で強制的に応募させられる書道のコンクールも、ずっと「銅賞」ばかりだった。(上手い順に上から特金・金・銀・銅賞。) パソコンやスマートフォンで文字を打つことが主流の現在でも、やはり

          「字がうまく書けない、について」

          「美術館、カフェ、ノート術」気まぐれ日記2023.8.11(金)

          朝から夫と県立美術館へ。 造本家の方の作品の展示。経歴を読んで、キャリアが18歳の時から始まっていることに驚く。本は本革が張られていたり細かな箔押しがされていたり、豪華である。手間と時間、お金がかけられている。見ていたら自分も自分の本をいつか作りたいな、と思う。本文は自分で書き、挿絵や装画も自分で書く。デザインは得意な人にお願いする。布張りがいいな。サイズは小さめ。鞄に大事にひそませられるような、そんな本が作りたい。 造本家の方と文学者の方のトークショーが午後からあるので、一

          「美術館、カフェ、ノート術」気まぐれ日記2023.8.11(金)

          「ピノコと暮らす」気まぐれ日記2023.8.7(月)

          朝昼絶食し、MRI検査。 かかりつけのクリニックには設備がないので、微妙に遠い場所にある施設にMRIだけ受けに行く。絶食で暑い中を歩いて倒れてはいけないので、往路はタクシーを予約しておいた。高くついたけれど、あまり丈夫ではないので転ばぬ先の杖代である。 MRIの機械に入ったら、機械音がうるさいことは去年入ったので知っていたが、持病の薬を減らしてから聴覚過敏になっているのを忘れていた。めっちゃうるさくて、最近細くなっているメンタルががりがり削られる。検査技師?の人が「音楽流して

          「ピノコと暮らす」気まぐれ日記2023.8.7(月)

          「卵子の勝手な分裂(可能性)」気まぐれ日記2023.8.1(火)

          八月になってしまった。 のっそりのっそり生きている私と違って世界はどんどん進んでいる。恐ろしい。自分だけ化石になりそうだ。 今日は子宮の再エコー検査だった。前回右の卵巣が腫れているとのことだったのだが、今回もまだ腫れている。来週、別のところでMRIを受けることになった。 先生が、やや落ち込んでいる私に向かって、多分腫瘍だとしても良性だと思うし、脂肪や髪の毛や歯が中に入っていることがたまにあるんですよ、と言った。髪の毛や歯…? 病院の帰りにカフェに入って、卵巣の腫瘍に

          「卵子の勝手な分裂(可能性)」気まぐれ日記2023.8.1(火)