【CHC】カブスのストーブは暖かい
お疲れ様です、イサシキです。
2023年もあけまして2日経ちましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか?
今回はシカゴカブスのストーブリーグについてのまとめだったり考察だったりの回です。合同noteのカブス担当になってからは初めてのまともな投稿になりますが、是非最後までお付き合いください。
ここまでの獲得選手
①Cody Bellinger(CF/1B)
今シーズンCFを守っていたRafael OrtegaやMichael Hermosilloをそれぞれノンテンダー、DFAとして正CFの補強を必須としていたCHCにとってこれ以上ないスター選手の補強でストーブリーグが幕を開けました。
CHCはLADからノンテンダーFAとなっていたCF/1B:Cody Bellingerを1y$17.5MM+Mutualオプションで獲得しました。正式発表日は日本時間の12月15日午前6時ごろ。ファーストリポートはJon Heyman氏が日本時間12月7日午前8時ごろ自身のTwitterにて表明しています。
Bellingerは2017年にMLBへコールアップされると、独特なバッティングフォームから繰り出される豪快な打球を武器に長打を量産して一躍LADの主力打者へと躍り出ました。2019年にはナ・リーグMVPにも輝いています。
ファーストインプレッションとしては、守備面でのアップグレードに大きく成功した、というところでしょうか。MLB通算2925.1イニングCFを守り、通算OAA6、DRS14、UZR4.1とプラス指標。2021年からは度重なる怪我などもあって指標上は落ち込んでいますが、ずっと上記の指標がマイナスで危なっかしい守備をしていた両翼専のOrtegaよりは遥かに安定した守備を披露してくれるでしょう。
続いて打撃面。2019年以降は怪我やシフト対応によるスイング変更からか大きく調子を崩してしまっている現状ですので、来季はリグレーフィールドでバウンスバックを期すこととなります。
来年からBellingerの成績を鑑みる上で重要なのが、新たに来季から導入されるシフト規制。簡潔に言えば投手がボールをリリースするまで内野手は外野の芝に入らず、2塁ベースを挟んで必ず左右2人ずつ配置するというものです。
今季のBelligerは548打席に立って496打席(90.5%)シフトを引かれ続けました。主にプル方向への打球処理を確実にするためのシフトと言っていいでしょう。このシフト時のBellingerのwOBAは.283。シフトなしの状態と合わせたwOBAは.284なので、この部分に大きな乖離はありません。
ただ昨季のヒットチャートもライト方向が非常に多くなっているため、結局2Bが大きくライト方向に寄ってしまえばヒットコースもアウトになることは変わりません。ということはBellingerがやることは1つです。
そうです、打球速度を上昇させることであり、細かく言えばHardhit%をMVPを獲得した際の45%前後まで引き上げることができれば自ずと打撃成績は戻ってくるのではないかなあと思います。打球角度も20°近くあり、Barrel%に関してはMLB平均レベルなので、上記の項目が達成できれば長打も増えてくるかなあと現状では楽観視しています。
今回Bellingerを獲得した目的は、CHCトッププロスペクトであるPete-Crow Armstrongのプレータイムを確保するためのブリッジ要員でしょう。彼のMLBデビュー予想は2024年となっており、ちょうどBellingerが相互オプションの答え次第でFAとなってチームを去る可能性があるシーズンです。今回の契約は、バウンスバックによって来オフのFA市場で大型契約を勝ち取りたいBellingerサイドと、Armstrong昇格までの1年間でMLBクラスのCFを保証してくれる選手を探していたCHCサイドの思惑が一致した形に見えます。結果的に今オフ不作だったFA市場のCFでトップ評価を受けていたBrandon Nimmo(NYM)が大型エクステンションを決め込んでいたので、まあArb4(年俸調停4年目)のような契約でBellingerを獲得できたのは良いムーブだったかなあと。また、一部で噂される来季途中でのトレードに関しては何とも言えません
➁Jameson Taillon(SP・RHP)
候補は多いが実績に乏しい選手の多いCHC先発投手陣にとって、非常に頼もしい存在が加入しました。
Bellinger獲得と同日、日本時間12月7日午後にNYYからFAとなっていたRHP:Jameson Taillonを4y$68MMで獲得しました。正式発表日は日本時間の12月20日午前0時。Jesse Rogers氏が日本時間午後3時ごろに自身のTwitterでファーストリポートしています。
Taillonは2010年MLBドラフトにおいてカナダ国籍保持者最高順位である全体2位でPITから指名されると、2013年WBCにカナダ代表として出場するなどのキャリアを過ごして2016年にMLBに初のコールアップ。ケガや手術の多い選手ではあるものの、投球の引き出しが多く、非常にクレバーな印象を受ける先発投手です。TJ手術によって全休した2020年シーズンを含めて4シーズンぶりのNLCです。
Taillon獲得のメリットとしては、やはり実績のある先発投手を確保したという部分でしょうか。上記の表を見ると、これまでの実績や最近のパフォーマンスを鑑みた際、通年で計算できる投手がStromanくらいしかいないというのが現状でした。2度のTJ手術や度重なる怪我や病気を経験しているTaillonの稼働率は懸念材料の1つとして挙げられますが、少なくとも以下の理由から私は信頼のおける先発投手だと考えています。
それは、投球フォームの大幅な変更です。
2度目のTJ手術後、NYYへとトレードされた2021年のSTにおいて、Taillonがショートアームに変更された姿を確認しました。PIT時代の右腕を真っすぐ伸ばしてトップの位置へ移動させるテークバックが大きく、力感が伝わるフォームを採用していたのを覚えている方も多いと思いますが、そこからの大転換ともいえるフォーム改造を敢行しました。
PIT時代の投球フォームでもフォーシームのスピンレートは2300回転を超えており平均で95MPH出ていましたが、ショートアームに切り替えてからもその数値は変わらず、特に2021年のフォーシームスピンレートは平均で2400回転を上回っていました。また投球割合も変更されており、PIT時代は全体の30%を占めていたスライダーを10%近く減らし、ナックルカーブの割合を5%ほど増加させています。やっていることはNYYのチームメイトだったGerrit Coleと何ら変わりはありません。持ち前の制球力は変わらずですが、投球スタイルそのものはフライボーラーなのでこの部分のコマンドや配球には改善の余地がありそうです。
TaillonはCHCへの入団を決意する前に、NYYのチームメイトであり、元CHCのAnthony RizzoやScott Effross、さらには今季からWSHでプレーするTrevor Williamsらに話を聞いていたそうです。それもTaillonのCHC入団に大きく貢献してくれたらしいですよ。
契約に関して、SpotracやMLBのリポートで有名な現地記者からリリースされているわけではありませんが、AP通信のJay Cohen氏がTwitterにて報告しています。AAVは$17MMと安い買い物ではありませんが、今オフのFAスターターが次々と大型契約を結んでいる状態だったので、致し方なしというところでしょう。
何はともあれ、4年間を怪我無く全うしてくれることが何よりの補強になると思うので今後のTaillonの投球に期待しています。
➂Brad Boxberger(RP・RHP)
今年もブルペン補強は実績十分な選手から始まりました。
CHCはMILから$3MMのクラブオプションを破棄されてFAとなっていたRHP:Brad Boxbergerを1y$2.8MM+相互オプションで獲得しました。正式発表日は日本時間12月16日午前8時ごろ。ファーストリポートは同日の午前1時30分ごろにJeff Passan氏が自身のTwitterで表明しています。
Boxbergerはベテランの域に入りながらも高品質のフォーシームとブレーキの効いたチェンジアップとスライダーが武器のリリーバーです。
直近2シーズンはいずれも70試合以上に登板するタフネスぶりもさることながら、2015年にはTBで最多セーブ(41SV)をマークするなど、ゲームを締めることができるメンタルの強さにおいても百戦錬磨と言って過言ではないでしょう。おそらく今季はセットアップを任されるかと思いますが、今後の選手補強次第ではクローザーに返り咲く展開もあり得ます。
契約面に関しては特に言うことがありません。MILが破棄した$3MMからそこまで変わらない金額であり、ベースサラリーはバイアウト分の$0.8MMを除いた$2MM。パフォーマンスを維持できれば十分に年俸以上の活躍を果たしてくれると思います。また昨季は開幕前にDavid RobertsonやMychal Givensなどといったベテランのリリーバーを獲得してデプスを埋め、TDLまでに復活させて他球団へと転売できるようにした実績のあるCHCですので、おそらく結ばれないであろう2年目のMutualオプションを考えればBoxbergerも今夏でのトレード放出はあり得る話だと思います。
まずは今季の活躍を願いつつ、若い選手の多いCHC投手陣のメンターとなってくれることを期待しています。
④Dansby Swanson(SS)
昨年のStroman、鈴木誠也に続き、フランチャイズの未来を占うスター選手がCHCに加入しました。
CHCはATLからFAとなっていたSS:Dansby Swansonと7y$177MMという大型契約を結びました。正式発表日は日本時間12月22日午前2時ごろ。ファーストリポートは12月18日午前6時15分ごろにJeff Passan氏が自身のTwitterにて表明しています。
Swansonは言わずと知れたアトランタ出身のスターSSで、堅実な守備と年々向上している力強い打撃が売りの選手です。
Swansonに関しては各メディアが数多くの情報を取り上げているので、ここでは大まかに入団の経緯やCHCにとっての影響をまとめます。
また、Kelly Price氏のTwitterではATL時代のSwansonがクラブハウス内でも大きな影響をもたらしていたというFreddie Freemanの証言を、Patrick Mooney氏はTheAthleticの記事の中でSwansonがCHCのクラブハウス内の新たな秩序を作り上げる可能性について言及しています(有料記事ではありますが…)。
長年チームを支えたContrerasの移籍によって空いていた「チームの顔」をSwansonによって埋めたということになります。29球団とのトレード拒否権もついているので、今後7年間の彼の活躍を楽しみに見守るしかありません。例え衰えたとしても似たような境遇のキャリアを過ごした選手とは一味違う部分での貢献も期待したいと思います。
⑤Tucker Barnhart(C)
Contrerasの流出で実質Gomesワンオペ体制となっていたCに経験豊富な選手が加入しました。
CHCはDETからFAとなっていたC:Tucker Barnhartと2y$6.5MMの契約で獲得しました。正式発表日は日本時間12月30日午前7時30分ごろ、ファーストリポートは12月23日午前2時40分ごろSahadev Sharma氏が自身のTwitterにて表明しています。
BarnhartはCIN在籍時の2017年と2020年にナ・リーグC部門でゴールドグラブ賞に輝いた実績を持つ、ディフェンスに定評がある選手です。
元々ブロッキングやフィールドでのタクティクス、投手陣との信頼関係を構築することに定評があったものの、フレーミングが永遠の課題であったBarnhart。それが2020年あたりを境に指標上でも向上していましたが昨季は一転。主にインコースの投球に対してのフレーミングで数字を落としてしまいました。ただCHCの投手陣はブルペンはともかくスターターにストライクスロワーが多く、球速帯もそこまで高くないので揺り戻しは期待できるかなあと思います。あとはSteeleやStromanらが得意とする「カット成分を含んだフォーシーム」への順応がうまくできれば、持ち味であるディフェンス面で大きくチームに貢献できるかなあと。
打撃面は…うん…まあ…。という感じですが、CIN時代にはレギュラー定着を果たした2016年から4年連続でOPS.700超えを果たしたり、2ケタHRも2度マークしていることから意外性のある打力もリグレーフィールドで発揮できれば良いなあと思います(CINの本拠地がヒッターズパークであったことは内緒ですが…)。
正直昨季の成績で2y$6.5MMは高いかなあという印象も受けますが、プレー面以外でもチームに影響を与える部分が多いと踏んでの獲得だと推測されるので、Gomesのバックアップと共に若い選手の多いCHCの選手たちに良い影響を与えて欲しいです。
⑥Drew Smyly(SP・LHP)
昨季後半戦はエース級の活躍。フィールドオブドリームズでも好投した頼れるベテランが残留してくれました。
CHCとMutualオプションを破棄してFAとなっていたLHP:Drew SmylyがCHCと2y$19MM+Mutualオプションで再契約を結んでくれました。正式発表日は日本時間12月25日午前0時ごろ、ファーストリポートは12月23日午前9時ごろ、Robert Murray氏が自身のTwitterで表明しています。
Smylyは大きい軌道のカーブ、左打者のアウトローへのコマンドに優れるカットボール、ストライクスローの多いツーシームのスリーピッチを駆使して打たせて取るスタイルへの大転換を成功させたジャーニーマンです。
昨季の前半戦は4月以降打ち込まれるケースが目立ち、獲得時から噂されていたTDLでのトレードは実現せず。しかし後半戦は8月の月間防御率0.90と非常に素晴らしいパフォーマンスを見せて復調し、故障者の相次いだCHC先発陣を救う活躍を魅せてくれました。また昨季のリグレーフィールドでの登板では防御率2.42という好成績を収めています。
決してイニング数を稼げる投手ではありませんが、四死球の少なさやすべての球種のコマンドのクオリティ、グラウンダーを多く打たせることのできる打球管理能力の高さはまさに様々な境遇や舞台を経験してきたSmylyだからこそ成しえる投球術なのかなあと思います。
今季34歳を迎えるSmylyに対して2年の契約を保証するのはリスキーとする声もあると思いますが、元々年齢を重ねて衰えが顕著にみられる投球スタイルではないでしょうし、2013年にはリリーフ経験もある投手なので、いざとなればスイングマンやロングリリーフをこなせる器用さは持ち合わせていると思いますので、決してペイロールを無駄遣いする可能性は低いかなあと思います。むしろこれだけFA市場のスターターが好条件を貰っている中で、比較的安価に引き留め成功したイメージすらありますしね。怖いのは怪我での長期離脱でしょうか。
⑦Eric Hosmer(1B/DH)
昨季のCHCの弱点であった1Bに、経験豊富な選手が加入しました。
CHCはBOSからDFAとなっていた1B:Eric Hosmerを、1y$0.72MMで獲得しました。リーグ最低保証年俸での契約です。ファーストリポートはJon Heyman氏が日本時間1月4日午前7時25分ごろ自身のTwitterで表明。CHC公式Twitter等での正式発表はまだリリースされていませんが、その他複数のインサイダーからも同様の情報がアップされたので、この時点で補強選手として扱います。
<追記>
日本時間1月14日午前0時ごろにCHC公式Twitterにて正式に獲得がアナウンスされました。
Hosmerは2017年WBCアメリカ代表として選出されて世界一に貢献、KC時代の2015年にもチームを世界一へと導いたメンター十分なベテラン1Bです。
...さて、私がちょうど1年くらい前に書いたnoteが的中しました。2年前の夏、当時CHCに所属していたAnthony Rizzoのトレード話がSDからあがったと噂された際、Hosmerもトレードピースになるとのリポートがあったことを覚えている方も多いのではないかと思います。
当時2021年問題を抱えていたCHCは、長年コアとして活躍してきたKris BryantやJavier Baezらをチーム成績の急下降に乗じてトレードで放出していたため、もちろんRizzoもその対象。そして大型契約を結んでいたHosmerを引き取ってもペイロールに大きな余裕ができる状況だったことも相まっての予想だった、というのが当時の通説的なものでした。そこから2年、形は違えど本当にノースシカゴに来るとは...。
一部ではゴロ助と言われるほどGB%が高く、なかなか打球がBarrelに入らないイメージが定着しつつあるHosmer。昨季から向上している点といえばwSL(スライダーに対する得点の増加率)が-4.1→+8.1になったことや、カーブボールへのアプローチが良化したくらい。その他の指標はほぼ不変で、懸念されているGB%の高さも相変わらずといった成績で、それに伴ったかどうかはわかりませんがHardHit%も39.7%と2021年の47.0%から大きく落としてしまっている状態です。
ただ現状のCHC1Bオプションは3Bがメインだった名前負けのパワーが売りのPatrick Wisdomと、昨季マイナーシーズン(A+〜AAA)で3割30HR100打点以上を達成したプロスペクトのMatt Mervisの1B/DHでのプラトーン体制であり、正ポジションではない、あるいはMLBの経験が豊富ではない選手でグラウンダーの処理と数多のスローイングを捌く1Bをしのごうとするのはあまりにも危険だと感じていましたので、守備が上手いとか下手とかどうとかではなく(ここ重要)、MLBで14,000イニング近く同ポジションを守った経験のあるHosmerの加入は悪い話ではないかと。
もちろんKC〜SD時代では多くの若手に慕われていたリーダーシップぶりも期待していますし、その評価の高いSwansonやBarnhartの獲得とも照らし合わせれば、クラブハウス内から新たな秩序を作り出してチームの結束を高めていこうというHoyerBOの意思表示にもなるかなあと個人的には考えています。
契約面で言うことは特にありませんが、下手をすれば更なる成績の下降で2023シーズンをCHCで過ごし切れない可能性もあります。それでも若手に良い影響を残して欲しいですし、何とかHosmerの打球が上がるように願うしかありません。
⑧Trey Mancini(1B/OF/DH)
大病を乗り越えカムバックした頼れるパワーヒッターの獲得です。
CHCはHOUとのMutualオプションを破棄してFAとなっていたTrey Manciniと2y$14MM+インセンティブで契約を結びました。ファーストリポートはJesse Rogers氏が日本時間1月15日午後0時ごろに自身のTwitterで表明。CHC公式Twitter等からの公式発表はまだありません。
<追記>
日本時間1月21日午前0時頃にCHC公式Twitterで正式発表がありました。
Manciniは球界最高峰の最高打球速度を誇るパワーが魅力の選手。フォーシームにも滅法強いため、力強いフォーシームを持つ投手が多いMILとの対戦での活躍を期待しています。また、2020年にはST中にステージ3の大腸がんを患うという非常に辛い出来事にも遭いましたが、1年間の治療に励み、翌シーズンに復帰&カムバック賞受賞、そして昨シーズンはトレード先のHOUで世界一を経験するという不屈の経歴を持つ選手でもあります。
先日獲得したHosmerに続いて1Bメインの選手を獲得したCHCですが、これで過剰にデプスが浮くということはなく、むしろ昨季マイナーでセンセーショナルな活躍を魅せてくれた1B:Matt Mervisを見切り発車することなくじっくりと準備してプラトーン起用できるという非常に心強い選択肢が出来上がりました。またHOU移籍後は低迷した打撃もBABIPが.286、x‐statsが軒並みやや下振れを起こしているため、十分に揺り戻しを期待できるのではないでしょうか。またDH起用やOFでの出場も計算できるため、CHCでの存在感を発揮する場所は数多く存在しているでしょう。
契約内容もAAV$7MMで済むような選手ではないだけに、打席数に特化したインセンティブをつけることによって獲得できたのはGoodだと思います。本来であればもっと大きな契約を貰っていてもおかしくない選手ですし。
⑨Michael Fulmer(RP・RHP)
手薄だったリリーフ陣に実績ある投手が加入しました。
CHCはMINからFAとなっていたMichael Fulmerを1y$4MMで獲得しました。球団からの正式発表はまだありませんが、現地の複数記者より契約締結の情報がアナウンスされているので獲得したものとみなしています。
FulmerはもともとスターターとしてDET時代に活躍し、2021シーズンからはリリーバーに転向して活躍。2016年にはア・リーグのルーキー・オブ・ザ・イヤーにも輝いています。
かつては最速99MPHを誇る4Cとやや横滑りをするような軌道で打者を打ち取る、いわば平均的なスターターともいえる投球スタイルでしたが、現状4Cの平均球速は94.2MPHに落ち着き、スライダーの投球割合が大幅に増加。そして投球の主体となっている4C・スライダー・シンカーを高めに集めて空振りを誘う投球へとスタイルチェンジしています。
昨季は2021シーズンに良化した与四球率が戻ってしまい、なかなかボール球を振ってもらえなかった部分もありましたが打球管理は一級品で、被Barrel%は過去最高の4.4%となっています。
現在のCHCは絶対的クローザーが不在であり、Brandon HughesやBrad Boxbergerらが候補に挙がっている状態。ここに実績のあるFulmerが加入することは非常に大きいと思います。また単年契約であるため、チーム状況によってはシーズン途中でのトレード要員にもなりえるのもポイントが高いですね。
また、一部MLBファンの間では「5年越しにJavier Baezとの実質トレードが成立した」と少々話題になったとかならないとか…。詳細は上記リンクよりどうぞ。
その他獲得選手
ペイロールとかはどうなったの?
上記6選手+αを獲得し、今オフだけでMLB5位の2億9080万ドルの大金をつぎ込んだCHC。今後Arb組のHappやHoernerらの調停額が決まればほぼ確実に3億ドルを超えることになります。直近で2億ドルを超えたのは、ダルビッシュ有を獲得した2017年オフの2億4376万ドル以来で、ここ10年で2番目に支出額が多くなっています。
現地時間で今月13日にArb取得選手の今季年俸が決定しますが、それらを踏まえたCHCの推定ペイロールは約2億1341万ドル。ぜいたく税を超過するまで残り約1900万ドル程度となりました。
現在のFA市場でAAVがこの金額を超えるであろう選手はいないと思うので、少なくともまだ補強に動ける資金を残している状態ともいえますかね。
今後の補強ポイントとはじかれそうな40人枠の選手
<トレード>
可能性があるのはSwansonの獲得で余剰戦力となっているIF:Nick Madrigalくらいで、あとは現有戦力と潤ってきたプロスペクトをどちらも大事にしたい考えを持つJed HoyerBOからすると消極的な姿勢になってくるかなあと思います。
<FA>
Swanson獲得後にも補強をしたい意志を示しており、直近ではBOSからDFA→リリースされた1B:Eric Hosmerらが候補に挙がっています。
個人的にはLHPのリリーフがもう少し欲しいという印象で、Andrew ChafinやWill Smithといった経験豊富な選手がデプスに加わるとより厚みが持てるかなあと思います。
そういった補強の反面、CHCは既に40人枠が埋まっているため、誰かをロースターに加えるなら必然的に誰かをDFAしなくてはなりません。既にKay→1B:Alfonso Rivas、Smyly→RHP:Eric Uelmen、Barnhart→C:PJ Higginsの3選手がDFAとなっており、これからの補強があればスターターや捕手以外からDFAが出てもおかしくはないかなあと思います。具体名は避けますが…。
待望の”Intelligence Spending”となるか
あの世界一チームを大解体してから1年半。それ以来ずっと「賢い支出」を目標に掲げてチームを作り直してきたHoyerBOですが、その言葉に違わぬ補強劇を見せてくれている感覚はあります。
一方で契約が残り1年だったJason Heywardをリリースしたり、複数年契約を結んでいたユーティリティDavid Boteをアウトライトでマイナーに降格させたりしている点を見ると、まるで前任のTheo Epstein氏が作ったチームを壊して自分色にチームを染めているようにも見受けられます。
昨季は前半戦で怪我人や不調の選手が多く出たことによって躓きこそしたものの、後半戦からは立て直したCHC。今オフ約3億ドルの支出は果たしてコンテンダーに返り咲くための”Intelligence Spending”となるのか、注目です。
<編集後記>
「10,000字書くとか正気じゃない、やばすぎる、読者の需要考えてない。」と思ったそこのあなた。安心してください、私もです(白目)。
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