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#102 俺の話は聞いてくれ。でも俺の言うことは聞かなくても良い。

こんばんは。
久々にnote書きます。
日本での生活は帰国後色々やることもありつつ、日々のトレーニングや試合があり、他コーチや親父とサッカーについて語ることがありなかなか書く時間がありません。
ドイツにいた時よりも少なくなりますが、週1目標で書いて行きたいです。
とりあえず、今日のトレーニング日記を!

・最近やってること。
日本で元いたチームに戻り、今テーマとしてやっていることは、サッカーにおける基本的なことを少しずつ覚えていくこと。

うちは元々ドリブルしまくるチームでもあったので、何も考えずにとりあえず前に突っ込む。ということをする選手が結構いる。

他コーチ、親父とも、「それだけじゃダメでサッカーをしていけるようにしていかないとね。」って話を最近よくする。

個人的には1人でドリブルしまくるより、みんなで協力してチームとして戦うことが好きなので、ドリブルなどの技術要素は他コーチに任せつつ、俺はパスを使って連携をテーマにやっている。

「もっとパス使いなよ。」という人もいるけど、パスをする技術はあっても、パスを受ける動きをすることができる選手が少ない。だからパスを使う環境がチームにまだない。


ゲーム形式で、「パスを2本通してからシュートね。」と制限を付けてやってみる。

今までは、練習してきた得意のドリブルでぶち抜いてシュートでいけてたけど、それはできないルール。

つまり1人では点を取れない。
そんな制限があるから、味方と協力をすることをしなければならない。
今まで重要視されていなかった、ボールがない選手の動きも大事になってくる。
すると、俺が何も言わんくても、
「もっとこう動いてよ。」「逆サイド使お。」みたいに選手達自ら考えて、オフザボールの動きをし始めた。

俺が帰ってきて、約2週間しか経っていないが、少しずつそんな動きができるようになってきた。

経った2週間なので、多分技術的な変化はまだ乏しい。
でも、「おまえらそんなことできたんか!?」ってプレーがたくさんでてくる。

2年生のある子は、相手を背負って受けて、ワンツーの起点となったり、そしてパスを出した子は、出してすぐ前に走り出して、ボールを受けてシュートを打つ。

3年生の子達は、センターバックからサイドにつけて、3人目の選手がペナルティエリア内に走り込み、ワンタッチでそこへパスをしシュート。

「おお、おまえら!サッカーをし始めたなぁ!」と冗談で言うと、
「めっちゃ楽しい!」と笑顔で返してくる子がちらほらいる。

・反論する選手。
サッカーについて基礎的なことは教えて行かなければならない。
と思っているから、最近は具体的な話をしたり、細かい話をしたり、ゲームをストップして説明したりする。

今日はある4年生の子が個人的にすごく嬉しいことをしてくれた。

人数が少なかったので、俺もプレイヤーとして入る。
ディフェンスを中心に。
こちらもある程度本気でやる。
相手が10歳だろうと簡単に抜かれるつもりはない。
彼は僕に1vs1をしかけてきた、それを跳ね返す。

そして止めて俺はこう話した。
「俺と君との1vs1は、大人と子どもだから多分おれが99%勝つ。じゃあどうする?サッカーは全て1人でやる必要はないよな。俺に1人で勝てないなら仲間と協力すれば良い。相手がプロでも2vs1なら勝てるはずだよ。」
話を聞いた彼は、理解した様子だった。
他の子達もそれを理解した。
その話の後、彼が前を向いて俺と対峙する時、必ず他の選手も前に走ったり、後ろから声をかけたり、彼を1人にしないでサポートの動きをするようになった。

しかし、しかしだ。
彼はその後も俺に対して果敢に1vs1を仕掛けて続けてきた。
その中にたまーーーに、仲間を使ってみる動きをやってみていた。
でも本当にたまに。10回やって2.3回ぐらい。

トレーニング後、彼と話した。
「俺のさっきの話は理解できた?わからないことはあったか?」
彼は
「理解できた。」と答えた。
多分本当に理解はできてる。あの話の後周りを使う意識が少しみえたから。

「じゃあなんで、俺に1vs1を仕掛け続けたの?」
と聞くと
彼は「抜けると思った。」と答えた。

「おお、いいね。それ、俺以外のコーチの時もやり続けろよ。自分で選択するんだ。まぁ!俺のこと抜けてないけど!?」

そのままみんなに最後に話した。
「俺の話は聞いてほしい。理解して欲しい。だけど別に絶対俺の言うことを聞かなくても良い。彼のように理解はしても、納得ができなかったら、俺の話を無視しても良い。」

3年生の子達は、ポカーンとしながらも珍しく真剣な目を向けてこの話を聞き始めた。

こいつは何を言っているんだ?という目だった。笑

「君達には自分で考えて、プレイを選択できるようになってほしいんだ。俺の話はただのヒントや教科書。それはサッカーでは常に正解ではないんだ。
コーチの言うことを聞くだけの選手はみていて面白くないし、君らも面白くないだろう?
だ!け!ど!!自分で選択をすると言うことは、その責任を持つ必要がある。
例えば今日の彼は、俺の話を無視して、自分が自信のあるドリブルで格上の相手に勝負を仕掛けた。それは嬉しい。自分で考えて、決めてくれているから。
それで結果が出れば俺は文句は言わない、むしろ今日みたいにめちゃくちゃ褒める。
だが結果がでなけば、俺は多分試合中に少しキレる。笑
それが自分の選択に責任を持つということだ。
難しいことを言ってるけど、君らにはそれができるようになってほしい。」

ちょいと難しい話すぎたか?厳しすぎるか?と思ったが、「なるほどな!!」と3年生のお調子者が言い出した。
少しでもこれが伝わると嬉しい。



その後、彼が言ってきた。
「ケイタコーチ抜けるように、もっとドリブル上手くなるから!」

良い動機だと思った。
自由にやるために、自分で決めるためには、自分がやりたいことをするには、力がいる。
それを今日彼は少し解ったのかもしれない。

・ドイツでは、、、
少し、ドイツを振り替えると。
この自己主張、自己決定を自信をもってすることに関しては、日本よりも出来る子供が多いと感じていた。

多分わざわざこんな話をしなくても、自己主張しまくる国民性がある。
俺のみた範囲では。

しかし、日本ではコーチの言うことをまじめに聞く選手が評価されるし、そんな選手が多い印象。

だから、今日の彼だけじゃなくて、コーチの目を気にしないで、こんな風に自己主張、自己決定が出来る環境を作っていくことをより意識していくのが大切なのかな?と感じている。

それはドイツ人にはあって、日本人には少ない国民性や教育の結果ではないか?と感じる。

どっちが良い、悪いではなく、日本には足りてないことの1つではある気がする。
だから意識的に引き出す必要がある。

日本で2週間活動を再開して感じた1つのことは、サッカーの中では、日本社会、日本文化のあまりよくない部分を排除し、足りない部分を意識的に引き出すことが大事なのか?と思う。

今日のこの話のように、目上であるとされている、コーチを無視して自己主張する、反論する。
これは日本社会では、あまり見られないことだが、サッカーでは必要なことなはずだから。

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