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【三体】宇宙人VS地球最強のアニキ【読書感想】

めちゃくちゃ話題になってる中国のSF小説『三体』読みました。内容が難しそうなSFだし長編を読み進めるタイミングを掴めなかったけどようやく読めました。

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正直、本編内に出てくる「三体問題」や宇宙的な難しい話とか中国の歴史背景も分からん部分も多かったです。でも、そういった知識が無くてもハチャメチャに面白いです。バーナード嬢曰くで神林が「SF小説は難しい用語を抜きにしても面白い!」と言ってたのは真実。

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ナノテクノロジーの開発者汪淼(ワン・ミャオ/おうびょう)はある日突然、〈科学フロンティア〉なるアヤしい組織にスパイとして潜入してほしいと言われる。この時、訪ねてきたのが警察官の史強(シー・チアン/し・きょう)だ。この本を読んだらこの男を史強〈アニキ〉と呼んでいることだろう。それほどにカッコいいキャラなのです。

史強の風貌を本文から引用させてもらうと、「図体がでかく、いかつい顔つきで、汚いレザー・ジャケット姿。全身から煙草のにおいがするうえ、話し方が乱暴で、しかも声が大きい」とめちゃくちゃ印象悪い。実際、出てきた当初から皮肉交じりにイヤミっぽく喋るし、スパイを断ろうとする汪淼に「逃げんのか?お?」と煽ってきていかにもな「イ、イヤなやつゥ~~~」となるおっさんなのだ。

けれど物語中盤、地球科学の常識が覆され、明るみになった宇宙人の存在など様々な事件に疲弊する汪淼に「お前ら知識人は難しいこと考えすぎなんだよ。たいていの問題は酒飲んで寝て忘れちまえばいい」「難しく考えるな、シンプルにいこうぜ」と励ましてくれる。粗暴だけど地に足のついた史強の生き方は、いつの間にか汪淼と読者の心の支えになってくれるのです。

さらには「宇宙人に来てもらって地球を滅ぼしてもらおう!」とかいう危ない組織の集会にカチコミかけて首謀者をひっ捕らえたり(この場面での立ち回りや機転の利かせ方が超カッコいい!)、組織が抜き取った宇宙人からのメッセージを奪取するために各国の偉くて頭の良い人たちが思いつかない大胆な作戦を立案して実行させたりと、さながらアクション映画の主人公のような存在。難しいSF話がおもに進む中で、史強が出てくると一気にエンタメ感を出してくれます。最高。

そしてこの巻の最後の場面が一番カッコいいシーンで「史強のアニキがいれば宇宙人なんか怖くねぇぜ!」と思わせてくれます。台詞が最高にシビれました。

この『三体』は三部作で、今回読んだのはまだ序章といった具合なのに、めちゃくちゃ楽しく読めました。やはり話題になる作品には、話題になるだけの理由があるなと実感。長いし(第2部は上下巻!第3部はもっと文量あるらしい!)読むのは大変だけど、読んだ甲斐あったなと感じる一冊でした。





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