2005PRIR-11_のコピー

ウォームビズで表す センスと良識 -メディアが見たイメージ戦略 vol 7- :『PRIR』寄稿記事

※本記事は『PRIR』 11月号(2005年)に掲載された日野江都子の寄稿記事からの転載です。

ーーーーーーーーー

2019年10月6日現在の所感

10月に入り、めっきり秋めいてきて、朝晩10度くらいになる日もあるNY。一方日本はまだ暑さが残っているようで、15日からの日本出張に持って行く服をどうしたものかと悩む。それでも、今年のクールビズ期間も9月末で終了し、ビジネスシーンでのビジネス・アタイアは通常モード。さらに小売業は完全に冬モード。

14年前、最初の「クールビズ」が終わった後、冬には「ウォームビズ」とされていて、日本橋高島屋に協力していただき、PRIRに記事を書いたのだが、よく考えると「ウォームビズ」の事をすっかり忘れていたというか、聞かなくなっていたというか・・・

定着しなかった感のある「ウォームビズ」だけれど、逆を言えば、わざわざキャンペーン的にしなくとも、この14年の間に暖かさに関しては新素材がたくさん出てきて、その素材が使われた服が一般市場に広まった証拠とも言えるのは事実。

それに、極論だが、寒ければ格好の良し悪しを問わなければ、とにかく重ねて着る、着込めばなんとかなる(南極・北極などは例外)。

しかし、逆は不可能。暑いのはどれだけ脱いでも解決できない。冷感素材なども出ているが、防寒素材ほどの効果は得られないのが事実。その上年々日本の夏の暑さが厳しくなっているからこそ、「クールビズ」は重要な課題として名前が出てくるのであろう。

ただ、ウォームビズとは、暖房による二酸化炭素排出の増加を抑えるため、室温を低め(摂氏20度)に設定することの呼びかけ。暖かい服が増え、オフィスや商業施設などで室温を従来よりも高く設定しないで済んでいるのであれば良いのだけれど、実際そこはどうなのだろう?とふと思ったり。

その一つが、日本の冬の電車の中の暑さ。あれは異常。寒い外を歩くコートを着たまま乗るのだから、普通に考えてもっと温度下げていい、否、下げてくれないと貧血起こす。多分日本を訪問する外国人でも、そういう人は多いと思う。

ちなみに、暑さが本当に苦手な筆者は、夏には仕事の効率上、我慢できずにつけてしまったエアコンで沢山の二酸化炭素を輩出しているであろうから、冬には着るもの・巻くもの・履くものの選び方などで自らを暖かくするべく、ささやかだけど未来の地球のために努めようと思う。

ーーーーーーーーー

画像1

「COOL BIZ(クールビズ)」 の推奨により、男性のビジネスシーンにおける服装に、さまざまな意味でメスが入り、変化がもたらされました。この体験は、カジュアルダウンのスタイルを身近なものとしてとらえる良い機会にはなったはずです。

そして、10月1日、今度は「WARM BIZ(ウォームビズ)」です。 その課題はオフィスの室温を20度に設定すること。この温度ですと、通常のスーツにワイシャツだけでは肌寒いですよね。そこで必要になるのが「重ね着」です。

ビジネスウェアへの重ね着で、最初に思い浮かぶのは、やはりベストやセーターといったもの。先行でメディアが取り上げているスタイルもニットを取り入れたコーディネートで、夏に引き続きカジュアル化されたものがほとんど。しかし、このような場合でも経営トップはイメージを大切にすることを忘れてはなりません。

まずは「百聞は一見にしかず」、いち早く「WARM BIZ」コーナーを設けた日本橋高島屋にてお話を伺いながら、実際の商品とスタイル案を見せていただきました。

そこで、今期のトレンド と「WARM BIZ」の兼ね合いがとれている上に、 経営トップの装いによるイ メージ戦略には有効な、ぜひ取り入れていただきたい スタイルを発見しました。 それが久々に登場した英国 調の三つ揃いスーツスタイ ルです。これは、エグゼクティブの威厳と、品格を表しながら、「WARM BIZ」に対応できる、もってこいの、ドレスアップした ビジネススタイルなのです。

このスタイルを取り入れようとするなら、スーツを新調するのもいいですが、手持ちのスーツに何かを加えるのも一案。その場合、三つ揃いスーツのスタイルをお手本に、お手持ちのスーツに合った、同じくスーツ生地のベストを取り入れるのが、シリアスなシーンにも対応できる、エグゼクティブの「WARM BIZ」スタイルです。ニットのベストやセーターは、いくら高価で良質なものであったとしても、どこまで行ってもビジネスシーンではカジュアル感が出てしまいます。また、ニットのベストの場合、バランスの取り方を誤ると、どうしてもお年を召した印象が漂うものです。

ここで重要なのがTPOによる使い分け。例えば、ニットはオフィス内やカジュアルでも可能な場面で着る。そして暖かい素材のジャケットに、ハイネックのセーターのコーディネートは、素敵でお洒落なビジネスカジュアル、というように。

男性のビジネスシーンの装いが、夏以上に社会的広がりを見せるであろうこの秋冬。TPOによって使い分けができるか否かで、あなたのセンスと良識が試されます。「ドレスアップマンデー、カジュアルフライデー」。このようにも言われるこのごろです。女性とは違い、ついついルーティンになりがちなのが男性のビジネスシーンの装いですが、この機会に、また新しい目でご自分のビジネススタイルを見つめ直してみましょう。時、場所、目的、立場に適した装いが自然にできるようになれば、日本のビジネス・パーソンはより一層輝きます。 そのセンスと、判断の基準となる良識が、ビジネスセンスやビジネスの良識と受け取られることは言うまでもないのですから。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?