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[解説と設問を発表]WikiLeaksと「報道の自由」「国民の知る権利」及び安全保障【英語で学ぶ大人の社会科】第71回 3/17(日)20時@オンライン

「報道の自由」「国民の知る権利」と安全保障のバランスはどうあるべきか、について英語で議論。


2024年3月前半の「英語で学ぶ大人の社会科:世界の知性が語る現代社会」のワークショップのお知らせです。2024年3月17日(日)夜20時@オンラインで開催するワークショップは、CBSの記事「What to know as Julian Assange faces a ruling on his U.S. extradition case over WikiLeaks secrets」を使い、英語で議論します。このワークショップの解説と設問を発表します。

【ワークショップ】

あなたは、2006年に設立され、「戦争、スパイ、汚職に関連する多くの機密または制限付き公式報告書を含む、1000万以上の文書を公開した」と言われるウェブサイト「ウィキリークス」をご存じですか?

日本では、あまり報道されていませんが、その創設者、ジュリアン・アサンジ氏が収監中の英国の刑務所から米国への引き渡しを巡って、英最高裁で争っています。ウィキリークスは、2010年に、イラクの首都バグダッドで民間人が殺害される様子を映した米軍ヘリからの映像を公開したことで一躍有名になりました。

彼は別件で、スウェーデン警察から追われていましたが、ここから米政府にも訴追されうる、と主張し、長年在ロンドンのエクアドル大使館に亡命していました。その後、英警察に大使館内で逮捕され、英国の刑務所に収監中だったのですが、上記の機密文書漏洩の案件で米捜査機関から英裁判所に対して身柄の引き渡しを求められています。彼の弁護士は、彼が米国で有罪になれば、最高で175年の懲役刑に処されることになる、と危惧しており、引き渡しの可否を巡って、裁判で争っているわけです。

英国・米国政府とも、彼の行いは「国家の安全保障」にかかわる深刻な違法行為だと見做す一方、彼の支援者たちは、彼は「国民の知る権利」を行使し、ジャーナリストとして、報道の自由のために果敢に戦っている、と主張しています。彼の支援者はレディ・ガガなどの著名人やリベラル系の報道機関、人権機関など、多岐にわたり、素行には問題のある人物ながら、「ダーク・ヒーロー」として、世界で支持を集めています。

海外での事例なので、ピンとこない人もいると思いますでの、争点を日本の類似のケースと並べてみます。アサンジ氏の件は、1971年の沖縄返還協定について、新聞記者の西山太吉氏が取材で得た機密情報を国会議員に漏洩し、国家公務員法違反により最高裁判所で有罪判決を受けた西山事件、別名、沖縄密約事件と比較できるかもしれません。西山氏の事件も、取材源が外務省に勤務していた女性職員だったことから、後に大きな醜聞に発展しました。

元新聞記者・西山太吉さんと2つの裁判―外務省秘密電文漏洩事件・沖縄密約情報公開訴訟 | 憲法研究所

このケースでは、西山記者は、当時の佐藤内閣が、沖縄返還にあたり、沖縄の米軍基地だった土地の地権者に対する土地原状回復費400万米ドルをアメリカ合衆国連邦政府が支払うと発表したものの、実際には日本国政府がその費用を肩代わりして支払った密約であった、という情報を外務省職員から秘密裡に取得し、それを野党の国会議員に漏らしたことで訴追されました。

アサンジ氏と西山氏のケースは、情報の取得方法が違法であった一方、公表された内容が、国家の紛争に関する「国際法」や人権規約違反、もしくは「社会正義」に反する内容であり、それらの情報の暴露は民主主義に貢献した、と捉えられる側面があることです。反面、国家の機密情報が洩れると、様々なリスクが予見されます。例えば、国家組織がテロや犯罪のリスクに晒されることもあり得るため、これらを守るための法律も必要です。

ちなみに、WikiLeaksそのものは、今も活発に活動を続けているのみならず、多くの名だたる主流メディアとパートナーシップを組んでいます。

WikiLeaks

非常に難しい問題ですが、あなたはアサンジ氏の訴追について、どう思いますか?ご関心のある皆様の参加をお待ちしています。

このワークショップの詳細は以下のとおりです。教材として、下記のBBCの英語記事を利用します。

日時: 2024年3月17日(日)20時~21時30分

場所: オンライン
定員: 10名程度まで
費用: 見学のみ: 500円、初回参加者:800円~

【教材】

What to know as Julian Assange faces a ruling on his U.S. extradition case over WikiLeaks secrets

【参考資料】

Julian Assange: Who is he and what secrets did Wikileaks reveal?

チケットの申し込みは以下のYahooチケットサイトから、または銀行振り込みでお願いします。

【チケット】

WikiLeaksと「報道の自由」「国民の知る権利」及び安全保障【英語で学ぶ大人の社会科】第71回 3/17(日)20時@オンライン

【銀行振込での申し込み】

振込用紙は以下のサイトからダウンロードお願いいたします。

このワークショップの設問は参加申し込み者、サロン会員、有料ニュースレター購読者及び後日発表するnote記事購入者にのみ送付します。過去のワークショップと同様の設問を設定しますので、以下のマガジンの2020年4&5月の記事(設問を公開しています)を参考にしてください。

【英語で学ぶ大人の社会科】世界の知性が語る現代社会

解説

ウィキリークス創設者のジュリアン・アサンジ氏は、現在、スパイ容疑(espionage)で英国から米国への身柄引き渡しを求められており、それを阻止するために英最高裁で争っています。アサンジ氏側が、その根拠として挙げているのは「英米間の犯罪人引渡し条約違反(breach of the extradition treaty between the UK and the US)」ですが、このケースで争われているのは、実は何度も映画の題材にもなっている「国家の敵(Enemy of the State)」とは何なのか、ということに尽きるようです。

ウィキリークスの暴露は、米リチャード・ニクソン政権がニューヨーク・タイムズ紙とワシントン・ポスト紙によるベトナム戦争に関する米国国防省の最高機密文書=通称「ペンタゴン・ペーパーズ」の報道を阻止しようとした事件とも類似性があります。この事件は2017年に映画化され、複数のアカデミー賞を受賞しています。

ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書

そして、極めつけは、ニクソン大統領の辞任に繋がったウォーターゲート事件でしょう。こちらも後に、その内容が「大統領の陰謀」として、映画化され大ヒットしました。

ウォーターゲート事件

大統領の陰謀

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