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変化に適応して進化する レジリエンスな組織:Galapagos Supporters Book⑩

シリーズAで累計13億円の資金を調達したAIR Designのガラパゴス。
そこには株主や顧問、社外取締役という形でガラパゴスを支える、たくさんの支援者の存在があります。
ガラパゴス・サポーターズブックでは、そのような外部の支援者と、ガラパゴス代表・中平の対談を通して、ガラパゴスとAIR Designの魅力をお伝えしていきます。

第十弾は、前回のプレシリーズAからガラパゴスに株主としてご参画いただいた、みずほキャピタル株式会社の代表取締役社長 大町さんとシニアインベストメントマネジャー 原田さんです。

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■大町 祐輔 プロフィール
みずほキャピタル株式会社 | 代表取締役社長
香川県小豆島生まれ。同志社大学経済学部卒業。卒業後、1990年に富士銀行(現みずほ銀行)に入社。みずほ銀行では、大企業から中堅中小企業の営業、マーケット部門企画、金融商品開発、法人戦略企画部門、超富裕層戦略部門等、営業部門から企画部門まで幅広く経験。2019年より現職。数多くの優れた経営者との出会いを通じて、実践的リーダーシップを学んでいる。

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■原田 暢 プロフィール
みずほキャピタル株式会社 | シニアインベストメントマネジャー
秋田県秋田市出身。慶應義塾大学卒業後、日本アジア投資株式会社にてベンチャー投資を担当。2000年9月より、みずほキャピタルに移籍し、現在に至るまで、投資担当者として多数のベンチャー企業をサポートしている。

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経営者に求められるチャーミングさと素直さ

ーー大町さん、原田さんの順番で自己紹介をお願いします。

大町:みずほ銀行で本部の企画や営業を経験して2年半前にみずほキャピタルの社長に就任しました。出身が小豆島なのですが、私の祖父が単身ニューヨークに渡って貿易商で成功した人で。「とにかく多くの人の役に立つ事を大切にして人生を生きろ」という祖父の教えを胸に、今の仕事を天職だと感じてやっています。

原田:私は大学を卒業後、他のベンチャーキャピタルを経て、2000年にみずほキャピタルに入社しました。通算すると25年ほど投資業務をやっています。AIR Designサービス初期から中平社長とディスカッションさせていただいて、今の良い関係につながっているかなと思っています。

中平:振り返るとみずほキャピタルさんとは2019年の1月ぐらいからの、長いお付き合いです。最初当社にはどんな印象を持ちましたか?

大町:私自身はキャピタリストが持ってきた案件をジャッジする立場ですが、一番重要視しているのは経営者、人なんです。30年以上、色々な経営者を金融の仕事を通じて見てきましたが、中平さんは、成功する経営者だなと、会ってすぐに感じました。

中平:本当ですか!当時は今よりもっともっと未熟でしたが、大町さんも原田さんも真摯に話を聞いてくれて、すごくありがたかったです。

大町:当時からデザインの産業革命、というような話をされていましたよね。世の中に「デザイン思考」とか「デザインシンキング」などのキーワードが出始めたばかりの頃でしたが、もうすでに「デザインで革命を起こす」という目標を掲げられていて、非常に共鳴したことを覚えてます。何よりも、人から愛されるというか、チャーミングなんですよ、中平さんは。

中平:嬉しいです(笑)

大町:コンセプトがしっかりしていることに加えて、経営者のチャーミングさが非常に大事。それが2019年4月時点で感じたファーストインプレッションですね。

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中平:育った環境も良かったのかもしれませんね。僕も大町さんと同じく祖父に影響を受けています。

大町:どのような環境だったんですか?

中平:祖父は立川の昭和記念公園を創った人なんです。国交省に勤めていて、全国に公園を創る財団を設立、運営していたんですよ。そんな祖父を見ていたことで、僕自身も大きなことを成し遂げる使命を小さいときから植え付けられてきたのかもしれません。寡黙でありながら人を惹きつける魅力がある人でした。家族には本当に、ひたすらに愛情を注いでもらいましたね。

大町:だからなのかな、中平さん、ものすごく素直ですよね。成功する経営者の一つの資質として素直さはとても大事。優秀な経営者は、最後のジャッジは自分でするものの、いろんな人からの意見を聞く、学ぶ姿勢がものすごくあるんです。心理的安全性が担保される組織は経営者が素直で話を聞ける組織だってよく言いますよね。聞く耳を持つとは、「知らなかった、教えて」と素直に言えるということなんだろうなと。

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▲ 「多くの人の役に立つ」強い使命感で仕事に向き合う大町さん。歴戦の銀行マンとして多くの経営者を支えたご経験をもとに、今は起業家の支援に情熱を注がれています。

「為さざるの罪」の文化が「レジリエンス」を育てる

中平:2019年の11月に大町さんと二回目にお会いして、ガバナンスを強化するようアドバイスいただきました。元々の創業メンバーにプラスして、ボードメンバーに厚みが増してきたタイミングだったんですが、ガバナンスというキーワードをいただいてから「経営チーム」のあり方を特に意識し始めた気がします。

大町:ユニコーンとして突き抜けるためには、経営のガバナンスが必要です。あとは変化に適応できる力。今はディスラプティブ(予測できない破壊的な変化)な時代じゃないですか。中平さんはその面でも優れているんじゃないかと思っています。

中平:社名がガラパゴスですので、強い者ではなく変化するものが生き残る、というのは大事にしたい考え方です。19年に初めてお会いして、20年に投資の決断をしていただく時、おそらく驚かれたと思うんですよ。「前言ってた内容とビジネスモデルが全然違うじゃん」って。

大町:原田君、そのあたりはどうでしたか?

原田:正直、あまり心配してませんでしたよ。

大町:心配していないどころか、「もっとやりたい」という話で、大型投資になったんですよね。ビジネスのピボットについて、実は我々の評価は高かったんです。理由はそれができる優れた経営者だと考えていたから。求められる変化に適応できる力を持ち、破壊と創造を並行してできるリーダーと組織。ピボットはまさに破壊と創造ですが、ガラパゴスであればそれができると判断していました。

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原田:大町が大事にしている「レジリエンス」という考え方に通じる話ですね。

大町:大きく成長している経営者にはいくつかの共通項があって、その1つが「レジリエンス」なんです。逆境から学び成功につなげる力、失敗をばねにするということですね。「何をすべきか」とか「こういうことをやらなきゃいけない」と絵を描ける経営者は多いんですよ。でも、実際にリスクを認識して実行に移すことができる経営者は多くない。

中平:それができる経営者は何が違うんでしょう。

大町:ヤマト運輸の小倉昌男さんという創業者の方はーまさに運送のディスラプティブをやった人ですがーとにかくコーポレートカルチャーとして「為さざるの罪」という考え方を持っていたんですよね。失敗を恐れて何もしないことは、果敢にチャレンジして失敗することよりもずっと罪が重いと。

中平:すごくいいですね。

大町:「やらないことが罪である」という考えが組織にも浸透している。「レジリエンス」ってそういうことだと思うんです。ただ、単にチャレンジとか冒険をすればいいということでもなくて。冒険する以上は、リスクをしっかり認識した上で、でも「こういう意義があるのでチャレンジしよう」と考える。リスクも捉えて実際のアクションを起こす、中平さんにはその力が備わっていますよね。

中平:私たちのバリューのひとつである「Fail&Grow」も近い考えですね。早く失敗して早く成長しよう、まさに「為さざるの罪」だと思っています。「どうせ難しい課題に立ち向かってるんだから、失敗はしていいんだ。ただ、その先に必ず成長しようぜ」って。

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大町:同じコンセプトですね。

中平:偶然ですけど、嬉しいです。

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大町:大きく成功する経営者はそういう哲学を持っています。ただ、経営者が一人でやっていてもダメで、他の経営チーム、社員が同じ考えを持ち、コーポレートカルチャーとして浸透させられる組織が強いんです。良い経営者には良い盟友、良い経営チームがついてくるものだと思います。最近の例で言うとソフトバンクの孫さんにも、みずほ出身の笠井さんという方がいて、黎明期からずっと横で支えていたんです。孫さんが躊躇したり悩んだりした時に「世界に羽ばたく、グローバルに名を馳せる会社を目指すんでしょ、孫さん」といつも背中を押していた。「お金の件は自分に任せて、孫さんは事業を前に進めてよ」と。

中平さんが非常にチャーミングで人から愛される魅力を持っていることで、「類は友を呼ぶ」の言葉通り優秀な盟友である経営チームができる。優秀な経営チームができると優秀な人材が育つ。そこに「失敗を恐れずに成長してやろう」というコーポレートカルチャーが徹底されれば、もうほとんど成功ですよね。

成長を支えてきたキャピタリストが感じるクラフトマンシップ

中平:原田さんには、全く営業のリードがない頃から、お客様を30社以上ご紹介いただいて。お付き合いももう3年弱ほどになりますね。

原田:最初にお会いした時から、デザインの領域にAIを実装してより良いサービスを作っていく、というコンセプトに魅了されました。失敗を乗り越えていくところを隠さず見せていただいたこともすごく良かった。僕自身のキャピタリストとしての勉強にもなりましたし、そういう信頼感を持っているからこそ、より長いお付き合いになっていると思います。

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中平:2019年5月ぐらいに、「こんな悩みがあるんです」って原田さんにメールを送ったら、週末にも関わらずブワーって長い文章で返信してくださって。こんな人いるんだ、って、一人でオフィスで読んで、泣いちゃったんですよ(笑)

原田:思わずプライベートの時間を使って返信してしまいました(笑)経営者の孤独にちゃんと寄り添うキャピタリストでありたい、と常に思っていますから。

中平:本当に、もう感謝しかないです。

原田:30社以上ご紹介したという話がありましたが、実際にお客様が判断して、導入する確率がすごく高いんですよ。AIR Designってひとことで言うとかっこいいサービスなんですよね。デザインをAIで解析する、と一口で言うのは簡単なんですけど、LPのデザインを因数分解するってポイントがすごく多いはずなんですよ。この難しいテーマを非常にロジカルに解き明かしていく、その作り込み度合いにガラパゴスさんのクラフトマンシップを感じさせる。そんなプロダクトです。

顧客に提案する内容もどんどん変化していますよね。はじめは早くて安いっていうクリエイティブ制作の課題をダイレクトに解決するって感じでしたけど、今はもっと深い、本質的な課題解決に貢献できるサービスになっていて。この進化のスピードは本当にすごいなと思っています。

中平:そうですね、お客様のセンターピンをどんどん突いていって、成功していただくことを強く意識しています。広告の費用対効果を上げるところもさらに磨き込むべきなんですが、さらにもっと進化する伸びしろはあると思っていて。広告のデザインをテストすることを通してマーケットが理解でき、そのテストがマーケターを育て、組織が強くなるという一連のバリュープロポジションを築けるはずなんです。まだまだ成長を楽しんでいただきたいですね。

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▲ あきるの市・小澤酒造の酒蔵での一枚。無類のお酒好きであまり酔いが表情には出ませんが、つい飲みすぎてしまうことも。

伴走者が考える、ガラパゴスで活躍できる人物像

中平:改めて今回の資金調達をさせていただく時にも、みずほ銀行さんをご紹介いただいて、One MIZUHOでお手伝いをしていただいたことがありがたかったです。

大町:投資先の中でもガラパゴスさんは特に期待が大きいですし、成長を実現するために我々もあらゆるリソースで支えていきたいなと思います。

中平:それでは最後に、一番長くガラパゴスと伴走していただいているお二人の目から見て、今のガラパゴスではどういう人が活躍できるか、ご意見をいただけると嬉しいです。

大町:自分の可能性を最大限追求して実現する場を求めているような人には、すごく合うと思います。そういうタイプの人は、良いリーダー、良い経営チーム、さらにその下の組織含めてすべて優秀な人材が揃ってるところに行った方が絶対いい。多様な価値観を学べるし、お互いにリスペクトできる。ガラパゴスにはそんな環境があります。スタートアップってとにかく忙しいんですけど、人生と仕事、ワークとライフのシナジーを生みながら両方を楽しめる人、楽しみたい人もいいんじゃないかな。中平さんも、社員の皆さんも人生と仕事を両方楽しんでるからね。

中平:今、本当に面白いフェーズだと思ってます。

大町:我々も歴史あるメガバンク系キャピタルとして、ガラパゴスさんの信用力をますます後ろ盾できればと思っています。多様性を受け入れる本当のプロフェッショナル集団です。プロとしてチャレンジしたい人はぜひ。

原田:売上1兆円まで行く事業計画を立てられているので、それを見たい人もぜひ参加して欲しいなと思います 。

中平:2043年ですね(笑)本日はありがとうございました!

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▲ 感染症の流行以前はハワイでの家族バカンスが大町さんの毎年の楽しみでした。原田さんお薦めの『ハイズ』でのステーキ三昧など、話題は尽きません。

ガラパゴスでは、デザイン産業革命に取り組むメンバーを募集中です!

(文責:武石綾子・髙橋勲)