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録音、ミックス関連

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自宅録音やミックス、リモートでの制作に関連しそうなトピックで人気のあるもの、特に重要だと思うものをマガジンに纏めました。
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記事一覧

Cubaseでモーターフェーダーを選択中のトラックに追従させる

出来るようになることこの記事を読んで出来るようになるのは次の動画の通りです。 Cubase/Nuendoの問題としてMCU(Mackie Control Universal)のコントロールサーフェスを使った時に選択中のバンク(8トラック)の外で選択したトラックの情報を取得できないという非常にクリティカルな問題がありました。 特に大規模なオーケストラテンプレートを使用していると人によっては数百〜数千トラックになるため、プロジェクトの端から端までバンクを移動させるために何十回

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ラウドネスノーマライゼーションの問題点

YouTubeやApple Music等、音楽をストリーミング配信するプラットフォームにおいてラウドネスノーマライゼーション(以下LN)が導入されて以来10年近くが経とうとしていますが、時間が経つことでいくつか新たなトレンドの変化、問題点、課題も浮き彫りになっています。 本記事ではLNがもたらした音楽文化の変化や、その結果失われた/損なわれたものについて言及していきます。 ラウドネスとは何か、LNとは何かについては下記の記事をご参照ください。 やっぱり起こる音圧戦争CD

初めて曲/動画を作る人のための「音量」入門

本記事ではわかりやすさを優先して、厳密な正確さを一旦無視する表現が出てきます。 本記事の狙い本記事は、初めて音楽や動画を作った人が極端に音量を小さくしたり大きくしたりしたせいで視聴者やリスナーに心地よくない体験をさせてしまうことを防ぐのが目的です。 音量には2種類ある我々がスマホやタブレット、PC等で音を再生する時、2種類の音量に触れています。それは以下の2つです。 スピーカーやイヤフォンから実際に出ている音の大きさ 再生している音楽、動画のデータ自体が持っている音の

部屋の音響調整、具体的に何をやってもらえるの?

この記事はスピーカーを新調したものの思ったほど音が上手く聞こえない、ミックスのクオリティに良い影響が出ない等の悩みを抱えている方向けの記事です。 うちのスタジオはワイヤリングからスピーカーのキャリブレーションまですべてONZUの井上さんに面倒を見て頂いているわけですが、時間を取って起こし頂くことでどんなことをやってもらえてどれくらい性能が向上するのかは意外とクローズドな情報だと思ったので僕のケースを書いてみようと思います。 記憶が曖昧な部分もあるので順不同だと思って下さい

Intel iMac 5K RetinaからMac Studioに乗り換えるまで(準備編)

本記事は、Mid 2019の27インチIntel iMacからM2 MaxのMac Studioに乗り換えるにあたって考えたこと、準備、調査したことを纏めたものです。 移行前に書いたのが大部分なので、移行後に気が変わった部分も含まれることを予めご了承下さい。 実際に移行してみて直面した問題や得られたメリット、未解決の問題などは下記の記事をご参照下さい。 移行した理由2019年のIntel iMacは十分にスペックが高いため、音楽制作においてスペックが限界を迎えているわけ

「明瞭な音=良い音」で本当にOKなのか

先日「邦楽は低音が足りないのか」というトピックで配信の中で、邦楽は低音が足りないのではなく明瞭さを追い求め過ぎているという考え方について解説しました。(14:24あたりから) この記事では「明瞭さ=良い音」という価値観の危うさについてもう少し掘り下げてみます。 料理で喩えると分かりやすい良い音を言葉で表現する時に頻繁に使われるのが 明瞭な 解像度の高い スピード感のある レスポンスの良い レンジが広い といった言い回しですが、これらは大体似たようなことを指して

David Royer氏の生み出したダイナミックマイクMA-D

PR記事であることを最初にお伝えしておきますが、僕がかれこれ8年間RoyerやMojaveのマイクをメインで使い続けているRoyerファンであること、MA-Dが国内入荷したら直ぐに使いたい旨を昨年の夏から宮地楽器さんにご相談していたこと併せてお伝えすることで、この記事の真剣度を感じ取って頂ければ幸いです。 さて、名機R-121を生み出したRoyer LabsのDavid Royer氏の名前は、音楽家なら知らない人が居ないくらい有名ですが、そのRoyer氏のマイクブランドMo

ギターキャビネットのマイキングの始め方

ギターの音作りにおけるマイキングの重要性はどれだけテクノロジーが進化したとしても揺らぐことはありません。どんなプロギタリスト、プロエンジニアであっても、マイキングを疎かにする限り良いギターサウンドを録音物の中で実現することは出来ません。 では良いマイキングとはどんなもので、それを実現出来るのはどういう人なのでしょうか。この記事では、良いマイキングを知り良いギターサウンドを出せるようになるためのヒントと、初めてマイキングに挑戦する時の具体的な始め方について提言します。 更に

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今更人に聞きづらいディザリングの意義

前置き本記事は計測ではなく人間の認知を優先しています。 そもそもディザリングを何のためにするのかディザリングは限られた解像度でディテール(小さな音)をより豊かに表現をするために行うものです。ディザリングを行うことで、16bitのオーディオであっても16bit以上の表現力を得る事が出来ます。 何故表現力が足りないのかこの章では解像度が不足すると何故表現力が足りなくなるのかを説明します。 例えば0と1の2通りの数字で量を表現する装置のことを考えます。入力に0や1が来てくれれ

自宅録音のススメ

本記事では2020年4月に投稿した「どこまで出来れば『宅録可』なのか?」という記事のレベル0〜2を細かく説明します。 以前投稿したこちらのTips記事よりは初心者向けです。 どうすればいいかの丸覚えよりは何故そうする必要があるのかを重点的に解説します。 レベル0: 機材を買い揃えるここに関しては正直楽器屋さんに問い合わせるのが一番だと思います。何故なら、機材を買う人の音楽制作のスタイル、好み、予算等に応じて必要なものが全く異なるからです。記事の形で一方通行的に全ての答え

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アナログとデジタルの違い

アナログとデジタルの違いを把握出来ていると人生がちょっとだけ生きやすくなる気がするので、なるべくかたい用語を使わずに解説します。 ※注意: 本記事では量子化の説明の比重が大きいです。※注意2: 本記事では量子力学的な議論を行いません。(僕がわからないので) それぞれのメリット定義的なことを考え始めるとあまり楽しくないので、先にアナログとデジタルにそれぞれどんなメリットがあるか音楽家向けに書きます。 アナログのメリットは2つあって ・デジタルでの完璧な再現が出来ない音

Listentoで回線が安定しない時の対処

コロナ禍ですっかり市民権を得たAudiomoversのListentoですが、Source-Connectとは違い接続がP2Pのためインターネット回線が十分に強くない国や地域、施設でセッションを組んだ時に配信に問題が生じがちです。 接続が安定しない時のTipsは ・音質を下げる ・遅延を伸ばす ・ファイアウォールのポートを確認する(TCP80と443を開放) といった例が公式のFAQで挙げられていますが、それでも受信側でListentoに接続する人が増えれば増えるほど切

作曲とミックスでプロジェクトを分ける利点

DAWとバーチャルインストゥルメント(ソフト音源)で音楽を作っていると、作曲しているプロジェクト、セッションでそのままミックスをすることがよくあります。一方で、ミキシングエンジニアにデータを渡す場合は一般的に音源類は波形にレンダリングしてから渡すことになります。 ここで、自分でミックスする場合は制作セッションのままミックスすべきか一旦波形にしてからミックスすべきかという問題が生まれます。 本記事では双方の利点と問題点を列挙し、状況に応じたワークフローを選択出来るためのアイ

モデリングアンプで極力実機に近い音を録りたい人が知るべきこと

アンプシミュレーターで音作りが上手く行かない理由は次の2つに大分されます。 ・生のアナログアンプに触れていない ・マイクレコーディング、ミキシングに慣れていない いずれにも当てはまる人であっても上手に音を作れる人はいますがそれはそれとして、この2点を抑えておいた方が良い理由と具体的にどんな訓練が有効と思われるかをご説明します。 時間をかけて感覚を養っていくのはまだちょっとハードルが高いのでもう少し気軽にそこそこ良い感じの音を出したい方には下記の記事の方がオススメです。

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