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断続的な断食がマイクロバイオームを活性化

 国際食品情報評議会(IFIC)が最近実施した調査によると、米国に住む人の10%が断続的な断食を行っているそうです。断食が年を追うごとに人気を集めているのには理由があります。
 中国の研究者たちは最近、断続的な断食がマイクロバイオームをどのように強化するかを詳述した論文をFrontiers in Cellular and Infection Microbiology誌に発表し、その中で断続的断食は特に肥満の人に有効であると述べています。
 
●腸内細菌が体重を減らす
 最近の知見は体重管理と健康増進全般において、マイクロバイオームの多様性が極めて重要な役割を果たしていることを示しています。ヒトの体内ではマイクロバイオームは細菌、ウイルス、微生物、そして特に古細菌(細胞核を持たない単細胞生物)の共同体となっています。成人のマイクロバイオームは、平均で約1,000種の固有の細菌種からなる複雑な集合体です。
 中国で行われた研究では、一般に断食として知られる断続的エネルギー制限(IER)の複雑さを掘り下げています。 この方法では通常の日は標準的な食事量を維持し、断食や厳格なカロリー制限の期間を挟みます。 この方法を実践すると、マイクロバイオームの多様性が向上し、腸管透過性が低下します。これらはどちらも体重減少に関連する重要な要素です。

 この研究は、25人の過体重または高度肥満の参加者からなる控えめなコホートでしたが、その結果は説得力のあるものでした。 これらの人々は肥満以外には特に健康上の問題がなく、4日間にわたって体系化された食事療法を受けました。研究者らは、通常の食事中のエネルギー摂取量を記録し、断食またはカロリー制限の段階でのデータを比較しました。さらに、この研究では血液と便の定期的な採取が求められました。また、参加者は以下の検査も実施されています:
- 体脂肪組成
- 血圧値
- 総体重
- ウエスト周囲径
 
 2ヵ月間にわたる断続的な断食は、肥満の参加者の体重を7.8%有意に減少させ、ています。 さらに、断食によって腸内細菌叢の組成が顕著に変化し、大腸菌が減少し、バクテロイデス、パラバクテロイデス、フィーカリバクテリウムなどの有益な細菌が増加したのです。
 
●腸内マイクロバイオームを多様化させる実践的な方法
 発酵食品や飲料はマイクロバイオームの多様性を高めると同時に、炎症性タンパク質を減らすのに役立ちます。発酵食品や飲料としては、以下のようなものがあります:
- キムチ
- 発酵カッテージチーズ
- ケフィア
- ヨーグルト
- コンブチャ
 
 また、食物繊維の摂取量を増やし、リンゴ、レーズン、プルーン、プレバイオティクスを摂取し、微生物叢の多様化を図ることも効果的です。
食物繊維は消化器系の健康に重要な役割を果たします。 複合炭水化物は、消化器系の有害な内因性酵素に対する防御機構として働き、消化器官への酵素の蓄積を最小限に抑えます。

 さらに、食物繊維はマイクロバイオーム内の生物と相乗的に作用し、有益な微生物の多様性を促進する環境を育みます。 食物繊維は、野菜、種子、ナッツ、果物など様々な食材に含まれています。

 もちろん、本当の意味での「断食」とは、少なくとも24時間はいかなる飲食物も摂取しないことですが、 しかし、「断続的断食」であっても健康上のメリットがあることは確かです。 ただ、農薬の害を最小限に抑えるために、食材は必ず有機農産物の中から選ぶようにしましょう。

 食物繊維を多く含む食材としては、オーガニックの黒豆、レンズ豆、スプリットピー、アボカド、サツマイモなどがお勧めです。 また、より良い睡眠と消化器を休ませるためにも、夜遅くに食事をするのはなるべく避けましょう。

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