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情景描写だけで歌詞を書いてみてください。

情景描写で感情表現をしてみてください。おすすめです。

曲は出来るけど歌詞が出てこなくて曲作りに行き詰まるソングライターは多いです。言葉が出てきたとしてもよくあるフレーズばかりで陳腐なものになってしまいがちです。思ったことをそのまま吐き出そうとすると、「好き好き大好き愛してる」か「会いたい会えない悲しいなぁ」などの類型的ラブソングか、「辛い、苦しい、孤独だ、でも生きる」のようにあなたの現状の気持ちをそのまま直接的に書いただけのものになりがちです。

私が最も好きなのは情景描写で感情表現した文章です。小説などでは多用されますが歌詞にはあまり無いように思います。あまり皆んながやらないことをやる、それだけでも価値があると思ってトライしてみませんか?

例題をあげます。きのこ帝国の「国道スロープ」の冒頭を引用します。

246号線をまたぐ歩道橋
東京は地上に星がある
街に雨が雨が降って降って
赤い傘さす少女が歩く

凄い歌詞です。たったこれだけでものすごい情報量です。そして感情量です。主人公は上京して間もない人であること。雨の中、歩道橋の上で物思いに耽ってること。少女を見て幼かった頃の自分、更には故郷に思いを馳せてること。ホームシック。そして東京の生活の中でなんらかの行き詰まり、焦り、悩みを感じてるだろうこと。

私はこれだけのことがサッと頭に浮かびました。見事な詩です。これぞ文学です。佐藤千亜妃が書いた最高の歌詞は「国道スロープ」の特にこの冒頭だと思ってます。

情景描写をすると自ずとリスナーの頭の中に映像が浮かびます。頭が想像力を発揮する準備をし始めます。そしてその情景の中から感情的なものが自ずと滲み出してきます。それは「悲しい」、「寂しい」などの直接的な表現を使うよりはるかに繊細かつ強く、重く、リアルになります。リスナーの頭の中であなたの発した感情が育ちます。

そしてこういう想像力を喚起する曲こそ記憶に残る曲でありファンにとって大切な曲になります。

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