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伝わるニュースリリースは「資産」になる

先日、自分が書いたニュースリリースがPRTIMESデイリーニュースリリースランキングで1位を獲得しました。リリースのタイトルは「フラー、寿司100人前を用意」。ふざけたタイトルですが、大真面目な確信犯です。結果として過去最高のPVを達成しました。

ニッチなランキングとはいえ、人生で1番を取ることなんて本当になくて、嬉しくてその日は丸亀製麺のかけうどんに牛皿大盛りを追加したほどでした。


現代のニュースリリースは、そもそもインターネット以前のマスコミ向けのニュースリリースと明らかに性質が異なります。

どうしたら1位を取れたのか、また、どんなことを考えながらニュースリリースを書いているのか、ちょっと書いていきたいと思います。

この記事を読めば、「伝わるニュースリリース」を書く際のポイントを抑えることができるでしょう。順番に解説していきます。

・1つのリリースで言いたいことは1テーマに絞る
・どんな読者にどういう行動をしてもらいたいかを考える
・タイトルは伝えたいことをシンプルに短く
・キーワード設定は人気のものによせる
・前文に伝えたいことをすべて書く。
・「なぜなのか」を書き込む
・具体的な数字や規模を書く
・ポイントを箇条書きにし、その後詳細を短く解説
・イベントは主催者、日付、時間、場所、住所、連絡先、料金、申し込みの有無、地図などを盛り込む
・「どうありたいのか」「どうしたいのか」を書く
・遷移先のURLは詳細説明の後に必ず入れる
・会社概要と連絡先は正確に
・トップクリエイティブは「シンプルで目を引く」にこだわる
・古いリリースはどんどんアップデートする。
・配信時間帯はとことんこだわる
・配信日もこだわる
・SNSで拡散する際は最低3時間は張り付く
・ニュースリリースの最適化をしよう

1つのリリースで言いたいことは1テーマに絞る

伝えたい情報が複数になると、読者はどちらが重要かわからなくなります。結局、いずれも選択できずに離脱する可能性が高まるのです。

もし、2つ以上書くテーマがあれば、迷うことなく記事を分けるべきです。リリースが多い分にはまったく問題ありません。むしろ、様々な情報が出てくる会社というポジティブな評価となり、読者はチェック対象とするでしょう。

どんな読者にどういう行動をしてもらいたいかを考える

リリースは行動や意識変容を促すための手段です。単に情報を盛り込むだけでなく、読んだ人にどうなって欲しいのか、ストーリーとして落とし込むことが大事になります。企画シートのようなフレームワークを使って、最初に思考を重ねておくのが良いです。

商品のことを認知してもらって、LPに飛んで欲しいのか、イベントの申し込みをしてほしいのか、サービスの無料登録を増やしたいのか、会社の認知を高めたいのか、目的に応じた次のアクションを考えてからリリースを書くといった具合です。

タイトルは伝えたいことをシンプルに短く

タイトルが目について初めて、記事本文を読むきっかけが生まれます。ウェブのリリースや記事の場合、最初の露出はこのタイトル部分しかない上、新聞や雑誌のように見出しの大きさなどでも差別化できない場合がほとんどです。

タイトルに読みたいと思う価値が盛り込まれていることはもちろんですが、タイムラインの中で目立つための「逆張り」や「意外性」も常に考えるようにしましょう。

他のリリースのタイトルが盛り盛りだったらあえてシンプルに、逆にシンプルならあえて盛り盛りにしてみましょう。

キーワード設定は人気のものによせる

基本的に新しい情報を発信するのがニュースリリース。その名の通り、ニュース(新しいもの)をリリース(公開)するのだから。ですから、トレンドワードを意識して必ず入れ込めるようにしましょう。

特に、タイムライン形式のリリースプラットフォームを活用する場合、検索流入や人気のワードのタグ付による流入を意識することが超重要。自社のイリース内容に沿っているのが前提ではありますが、解釈を広めにしてなるべく上位またはニッチなワードをキーワード設定するようにしましょう。

ちなみに、僕の場合、まずPRTIMESの最近の旬のワードランキングをチェックし、上位から自社のリリースにフィットしそうなキーワードをタグ付けしています。勝手に「PRTIMES最適化」としています。

前文に伝えたいことをすべて書く。

ほとんどの読者はリリースの前文はほぼ100%読んでいます。ここに伝えたい重要情報をすべて入れ込むべきです。新聞でいう「逆三角形」の文書構造で、最初に一番言いたいことを書き、その後、重要度が高い順に情報を書き込んでいくのが王道です。前文は200文字以内を目安に入れましょう。

ちなみに、新聞の前文は大体200文字の範囲に収まっています。

焦点がぼやけて言いたいことがわからなくなるので、長すぎないことを意識しましょう。伝えたいことが全部入っていれば、短い分には大きな問題はありません。

また、URLへの遷移を目的とする場合は、前文の最後に必ず入れましょう。前文を読んで興味を持った人は必ず次のアクションとして詳細が見られるURLをクリックするはずですので。

「なぜなのか」を書き込む

読者は「なぜこの商品なのか」「なぜ今なのか」「なぜ発売するのか」「なぜこの施策を取り入れるのか」「なぜ新しい何かをするのか」といった「なぜなのか」を常に考えましょう。

前文で書いた一番伝えたいことに対し、「なぜそれをするのか」という背景情報を書き込むことで、リリースにストーリーが生まれ、共感や意外性、気づき、魅力度アップ、興味関心の向上につなげることができるからです。

具体的な数字や規模を書く

読者は具体的な数字を欲しがるものです。

スケールやリリースの価値をより意識しやすいからです。

全国初、世界初、日本最大、世界最大などの規模感、◯人、◯時間、◯万円などの数字は開示できる範囲でできるだけ盛り込みましょう。ストーリーに対する価値判断の精度を効率的に高め、読者の行動・意識変容を促すことができるはずです。

書けるものはどんどん書いたほうがいいと思います。

ポイントを箇条書きにし、その後詳細を短く解説

詳細説明では、有用度が高い順にポイントをまとめて紹介しましょう。1つのポイントあたり100文字程度でまとめるのです。

限られた時間の中で、読者は、ニュースのポイントがどこなのかを知りたがるものです。先回りしてポイントをコンパクトにまとめれば、その後の記事化などのハードルがぐっと下がるはずです。

イベントは主催者、日付、時間、場所、住所、連絡先、料金、申し込みの有無、地図などを盛り込む

イベントなどの場合、開催概要はできるだけ、いや、思っている以上に詳しく書くことが大切です。実際にいきたいと思っている読者がそのリリース1枚あればその場所に正確に行けることを念頭に、全てを書き込んでいくのです。

この中で意外と抜けがちなのが、主催者です。特に記者・ライターは主語に持って行く単語をどうするかに悩みます。実際、記者時代に「主催者は誰ですか?」という問い合わせをたくさんしました。明確に記述してあげるのがとても優しくて良いと思います。

「どうありたいのか」「どうしたいのか」を書く

リリースで一番伝えたいことを遂行することで、会社や組織としてどうしたいのか、どうありたいのかを明確にすることが大切です。

未来のビジョンなど、会社が目指す姿を示すことで次の姿が具体化し、読者が引き続きウォッチする対象として判断する材料となるからです。

遷移先のURLは詳細説明の後に必ず入れる

遷移先のURLは、前文の後に加え、詳細ポイントの説明の後にも入れましょう。ウェブで見られることを意識し、ランディングページ(LP)への遷移を促す構成とするためです。紙ベースのものと両方作る場合、ウェブ版のみURLは別で配置してもいいくらいです。

ただし、他のLPへの遷移と同様に、多すぎるとうざくて離脱するので注意が必要です。

会社概要と連絡先は正確に

基本的なところだけに案外見落としやすいところです。問い合わせはリリースの連絡先に来ます。リリース当日は絶対に誰かが対応できる体制を作っておきましょう

最近は時間が経ったリリースでもキーワード検索で掘り起こされ、後から連絡が来る場合が多いです。代表電話などはさけ、必ずリリースの当事者や広報担当に直ぐにつながる連絡先を記載しましょう。案外ベンチャーはここで引っかかる気がします。

トップクリエイティブは「シンプルで目を引く」にこだわる

トップクリエイティブは、タイトルとともにタイムライン上で一番最初に見られるもの。とはいえ、大きさは小さいので、タイムラインでのサイズを念頭に製作しましょう。

こちらもタイトルと一緒で、タイムラインを見てその逆張りを意識することが重要です。文字情報は盛り込みすぎると見づらいのでなるべく入れない方がおすすめです。

トップクリエイティブそのものを記事などで使う可能性を意識し、なるべくシンプル、かつ素材そのもので勝負するのです。もしクリエイティブがない場合でも、無料素材など使えるものは積極的に活用しましょう。

古いリリースはどんどんアップデートする。

既存のニュースリリースは一度書いたら情報を追加したり更新したりすることは不可能でした。しかし、PRTIMESのようなウェブベースのリリースの場合、リリース後に記事を追記することが可能です。キーワード設定も変更できます。

定期的にリリースの内容をチェックし、トレンドに合わせたキーワードへと変更するだけで実際に見てくれる人が増える可能性が飛躍的に高まります。

リリースで紹介したイベントが終了した後でも、そこにアクセスした人に関連情報を提供するランディングページに誘導したり、次回のイベントに誘導したりすることができます。

リリースのアップデート(情報の更新)は可能な限りするべきです。

特にPRTIMESをはじめとするリリース配信サービスは、プラットフォームのパワーがめちゃめちゃ強いので、自社のメディアやサイトにリリースを置くよりもはるかに高いエンゲージメントが期待できます。規模が小さいベンチャーや中小企業にとって発信エンジンとして非常に魅力が高いと思います。

配信時間帯はとことんこだわる

昔は既存のメディアの締め切りにあわせて14時のリリースが多いような印象がありました。その既存のメディア向けセオリーが、今もそのまま流用されているように感じます。ある時間にリリースが殺到するため、タイムラインから流れてしまう可能性が高く、逆に露出機会の損失になります。

いかにタイムライン上に長く、上位に残すかを意識した配信時間帯の設定が重要です。試しに一度タイムラインを計測してみて、一番ニッチな時間に流すと、露出量が増え、エンゲージメントの向上につながります。

寿司リリースの場合、15時のピークをわざと外して15時15分とすることで、 タイムラインが穏やかに流れ、露出時間も長く確保できました。

配信日もこだわる

さらに、ニッチな配信日を見つけることも重要です。寿司リリースの場合、いわゆる「ネタ枯れ」が起きやすいお盆(平日だが休んでいる人が多く、実質経済活動が停滞しているためニュースがあまりない)を狙ってリリースを投下しました。

その結果、 PRTIMESトップページへの露出時間が長くなり、過去最高のPVとランキングを獲得したのです。すべてのリリースが日付を選べるわけではありませんが、ある程度調整できるようだったら、それぞれのリリースの性格にあわせて、配信日もこだわるべきです。

SNSで拡散する際は最低3時間は張り付く

リリースを公開したら、SNSですぐに拡散します。PRTIMESの各メディアへの転載は、タイムラグがあります。先回りして自社でどんどん発信していくことが重要です。社内のリソースをフルに活用し、シェアをあらゆるSNSでしてもらえるよう、普段からコミュニケーションをとってお願いしやすい環境を構築しましょう。

さらに、ツイートへの反応としてのファボりや、コミュニケーションをすることでさらにリリースが拡散する可能性も高まります。リリース発信から6時間は張り付きたいところですが、難しければ3時間でも拡散対策に集中しましょう。

ニュースリリースの最適化をしよう

ニュースリリースの価値は10年前と比べ全く変わっていきています。今の形に合わせて、いかに最適化を図っていくかが重要だと感じています。

一方で既存メディアへの対応も可能なリリーススタイルも重要です。そのバランスを取りながら、総体としてニュースリリースがコンテンツとして資産化し、それぞれの会社の活性化につなげることこそが、広報やPRの重要な役目だと思います。

新聞記者時代は、企業や団体が発信するニュースリリースをたくさん読んできました。そして今、逆にニュースリリースを書く側になっています。書くという仕事に変わりはありませんが、逆の立場になったからこそみえる世界があります。

伝わるニュースリリースは僕の大きなテーマでもあるので、こちらの記事は、随時加筆していきたいと思います。

最後までお読みくださいましてありがとうございます。いただいたご支援につきましては、どんなことに使ったのかnoteで随時紹介させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします♪