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全力で逃げようと思ったら逃げ切れた

8月に部署異動となり、不慣れな仕事によるストレスと、コロナ禍の不安とでメンタルが疲弊していた11月初旬。
毎日、何事もないような振る舞いで職場に向かい仕事はできていましたが、心の中では「辛い、逃げたい」と曇天を抱えていた。

どうしよう、どうしようと気持ちを反芻すると累乗でストレスが増え、知らぬ間に涙が流れることもあった。

逃げたいなら逃げよう!そう思い立ち、逃げ込んだ先が「十角館」だった。

20日で「館シリーズ」を読破する

突然始めた、綾辻行人著『十角館の殺人』から始まる「館シリーズ」一気読み。

実は『十角館の殺人』は、高校時代に一度読んだことがある。
その時にも衝撃を受けた記憶があるが、当時は殺人事件の起こるミステリーをあまり読んでいなかったので刺激が強く、「人を大量に殺すためにここまでする行動力や、動機が凄まじい。この作者が怖い!!」と震え上がり、それ以上のシリーズを読むことを放棄してしまった。そんなトラウマ本だった。

ただ、たった数行で世界が変わったどんでん返しの衝撃は覚えていて、半端なミステリーより「本格」なミステリーを貪りたい!と思ったときに浮かんだのが『十角館の殺人』だったのだ。

仕事以外の時間はすべて館シリーズを読むこと以外何も手を付けなかった。シリーズ9作、講談社文庫で既刊は14冊ある。読書は現実逃避とはよく言ったもので、その間はストレスを反芻することがなく、無我夢中で館シリーズを求めた。

そして、『十角館の殺人』読了と同時に、久しぶりにTwitterを、読書垢として再会した。

推理のカタルシスを享受したい

ミステリーの何が好きって、自分にとっては「カタルシス(精神の浄化作用)」。そのため、伏線を疑いながら読んではいくが、本気で推理しようと思って読んではいない。そういう意味では素直に騙されやすい読者だ。

個人的に一番カタルシスが〝美味しかった”のは、『時計館の殺人』だ。タイトルから推察しても、トリック絶対「時計」に関わるだろうから推理しやすそうだと思っていて、読み進めながら怪しいところを徹底的に疑ったが、予想を超えたどんでん返し。そして印象的なラスト!
結末を知ってさらにもう一度読みたくなった。

また、文庫4冊分冊で出ている『暗黒館の殺人』は、約1週間かけて読了した。作者の趣味趣向が色濃く出ている暗黒館。
現実よりも鬱々としたストーリーであるが、積極的に迷い込み、畸人や凄惨な殺人をびくびくしながら読んだ。


逃げたいときは全力で逃げる

現行、迷い込める館は9種類。一気に読んでいくなかで、ある程度ミステリーのパターンが掴めるのでは?と思っていたが、毎回どんでん返されて目が回った。読んでも読んでも、たくさんの館のミステリーを楽しめる充実さ!著者の綾辻行人さんの構想では全10作となるようなので、今後も期待。

苦しくなったら、思いつめたら、ミステリーを読もう。
殺人が起きたり、おかしな謎がたくさん出てくるけど、現実を忘れてパズルを楽しみ、ロジカルな解決とカタルシスを味わえば現実のストレスも併せて不の精神の澱が落ちて解放される。夢中なことがあると、人のメンタルは強化される。

Twitterで「#読了」をつぶやけば記録にもなるので、最近は積極的につぶやくようになった。

コロナ禍の影響で自粛ムードであるが、個人的には引きこもりは大の得意だ(映画館に行けないのはさみしいが…)。12月も引き続き、我を忘れるような読書を楽しんでいる。

ありがとうございます!映画代・書籍代にします!面白い映画や本があったら教えてください!