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マネジメント経験に関わらず、ベンチャーでマネージャーをやってるorこれからやるなら、絶対に読んでおくと良い本

今までにない切り口のマネジメント本を読みました。

ベンチャー企業(急成長志向であり、環境変化が激しく、事業基盤が弱い)において、0→1で起業家が生み出したサービスを1→100で大きく育てていく、ベンチャー環境特有のマネジメントスキル(=型)に特化した本です。

本書の構成を大きくまとめるとこうなります。

1、役割(1章)
→ベンチャーマネジャーは何のために存在するのか?
2、基本動作(2~9章)
→ベンチャーマネジャーの基本動作はどのようなものか?
3、ピープルマネジメントの技術(10~11章)
→人を動かす際に必要な技術は?
4、立ち位置と心得(12章)
→ベンチャーマネジャーはどのような存在であるべきか?

秀逸だと思ったパートは2つ。1章と12章(特にP315~321)です。この2つの章にベンチャーマネジメントの本質があると感じました。

まず第1章(役割)

マネージャーには4つの役割があると書かれています。

・「経営」からオーダーされた成果を残す
・人的資源を維持・活用する
・人を育てる
・会社の中でチームを機能させる(≒部署間調整)

この4つの役割はベンチャーマネージャーならではのものではありません。ベンチャーでも大企業でもマネージャーの役割はこの4つでしょう。

しかし、ベンチャーは資源に乏しい。結果を出すまでの猶予は短く、人員は潤沢でない。組織体制・マネジメントルールも整っていません。

だからこそ、ベンチャーマネージャーが理解、意識、覚悟しておかねばならないことがあります。

それは、「成果を出すスピードにこだわる。人的資源は1ミリも遊ばせない。育てる人に優先順位をつける。自分が最後の1人の感覚で意思決定する。経営や人事に頼り切らずに自律駆動する。」といったことです。

また、この4つの役割の比重はステージによって変わってきます。

例えば、シードベンチャーであれば、育成や部署間調整は発生せず、今いる人員で成果を出すことのみにコミットします。ただ会社規模が大きくなるにつれ部署間調整の比重と重要度があがってきます。

この事実に対して、本書では下記のように書かれています。

今自分の会社はどのステージで、4つの役割はどのような比重で求められるのかを認識し、その会社におけるマネジャーの役割定義を自分なりにおこなってから業務に臨める人は、どんなベンチャーでも活躍できるマネジャーになれるでしょう

会社の成長に伴い、組織間調整タスクが増えてきた時に「自分はこんなことに毎日の時間を割いていて良いのだろうか?」と、モヤモヤすることもあると思います。しかし、そのフェーズ下では、その役割が求められることであり、不安に思う必要はないということですね。

なるほど、確かにです。

であれば、4つの役割の内、自分の「強み」や「好き」がどこにあるかを考えることも、マネジメント職で生きていくにあたりとても大切だと思いますね。

例えば、育成や部署間調整が苦手なのであれば、その比重の少ない環境に居続ければよい、ということです。好きかつ得意な役割に身を置き続けることが継続的に成果を出し続ける秘訣であり、健全なメンタルを保ち続ける術かもしれませんよね。

続いて12章(心得)

慢性的な退職が続いているなら、構造的欠陥に当たりをつける必要があります。(構造的欠陥がなければピープルマネジメントのやり方、経営陣を含むマネージャーのあり方・人間性の欠陥を疑います)

この欠陥特定に役に立つのが、筆者独自の「マネジメントの地図」です。抜け漏れなく俯瞰的に組織を眺め、欠陥箇所の仮説を考えるにあたり、この「マネジメントの地図」はよくまとまっています。

詳細は割愛しますが、興味がある方はぜひ本書を。

ちなみに2~9章(基本動作)

マネジメントの要諦にフォーカスしてまとまっています。教科書的に総ナメでありつつも具体で使えるフレームワークやフォーマットが散りばめられています。

ベンチャーマネジメントに特化した内容か?というと、そうでもなく。どの環境でも共通性のある内容です。

最後に10~11章(ピープルマネジメント)

ピープルマネジメントは奥深いので、この本はスタートラインに過ぎず、他の本を合わせて読むことをお勧めします。

1on1の本、フィードバックの本、コーチングの本、傾聴の本。などなどピープルマネジメントの構成要素ごとに良い本があります。各分野のお勧めの本を1冊ずつご紹介します。

ということで。

マネジメント経験が豊富でもそうじゃなくても、ベンチャーでマネージャーをやっているならorこれからやるなら、絶対に読んでおいた方がよいなと思える、良書でした。



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