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お酒造りと納豆にまつわるはなし

お酒をづくりにまつわるよく聞く話「お酒づくりをする人は納豆を食べてはいけない」これは一体なんなんでしょう?

お酒は菌や酵母、つまり微生物の力を借りて作られます。そのため特定の微生物を効果的に働かせるための環境づくりが重要となります。ビールの場合は主にビール酵母を使うので、酵母がその他の菌に支配されないように気を配る必要があるのです。

納豆には納豆菌という菌がいて、これが非常に繁殖力が高く厄介で、酒造りの場にこの菌を持ち込まないために「納豆を食べてはいけない」と言われています。

納豆菌

納豆菌は枯草菌の一種で、稲の藁に多く生息しています。その名の通り納豆を作るのに有益な菌で、藁に包まれている納豆があるのもこの菌を利用する理にかなった方法なのです。
この菌はタンパク質やデンプン、脂肪を分解することでナットウキナーゼ、ビタミンK2、アミノ酸類(グルタミン酸)などを生成し、さまざまな温度帯や乾燥状態でも生息できるため、お酒づくりに絡むととても厄介な菌です。

日本酒と納豆菌

「納豆を食べない」は日本酒蔵でよく聞く話ですが、これは酒造りの工程で蒸した米に麹菌をふりかけ菌を繁殖させる麹室での作業において納豆菌が繁殖してしまわないように、という意味で言われています。また麹室は麹菌が繁殖しやすい室温30℃程度、60~70%程度の湿度に保たれているが、これは同時に納豆菌にとっても繁殖しやすい環境であるため、納豆菌をはじめとしたリスクのある微生物を外から持ち込まないようにする必要があります。
でも今は純粋培養された納豆菌がほとんどなので、藁に住み着いている菌ほど強くないのと、醸造機材もステンレス製のものが増えているので、言われているほど絶対納豆食べてはいけない!ていう程ではないかと思います。

ビールと納豆菌

一方ビールは仕込みの工程に煮沸があることや、密閉式のステンレスタンクを使うことが主流なため日本酒と比較して納豆菌が混入するリスクは低いといえます。とはいえ醸造機材や道具からの混入リスクもあるので、洗浄と殺菌はしっかりやりましょう。
ビール醸造は単行複醗酵と呼ばれる糖化と発酵が別々に行われる手法であるため、腐敗菌の繁殖リスクが最も高いのは発酵が始まるまでの期間であるが、アルコール発酵が始まると納豆菌を含む腐敗菌はアルコール耐性がないものがほとんどなので生き残ることはできません。

なのでブルワーも納豆食べてもそんなに問題ないと思います。
でもオープンファーメンターを使うブルワリーはちょっと注意が必要ですね。

まとめ

納豆食べてヨシ!

ちなみに俺は納豆食べません。

おわり

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