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【note】幸せとは何か?経済学の視点から考える

 みなさんは、幸せとは何だと思いますか?お金や物がたくさんあれば幸せになれるでしょうか?それとも、人間関係や自分のやりたいことが大切なのでしょうか?

 経済学では、幸せとは「効用」と呼ばれるもので測ることができます。効用とは、人が自分の選択肢にどれだけ満足しているかを表す指標です。例えば、アイスクリームを食べると効用が上がりますが、虫歯になると効用が下がります。人は、自分の効用を最大化するように行動すると考えられます。

 しかし、効用は人によって違いますし、お金や物だけで決まるわけではありません。人は、自分の価値観や目標、感情や環境などによって、幸せになる要因が変わります。では、経済学は、人の幸せにどのように関わっているのでしょうか?

 この記事では、経済学における「幸せの決定要因」について、以下の三つの観点から紹介します。

  • お金と幸せの関係

  • 人間関係と幸せの関係

  • 自分の選択と幸せの関係

▼お金と幸せの関係

 お金は、人の生活に必要なものを買うために使います。お金があれば、食べ物や服や住まいなどの基本的なニーズを満たすことができます。また、お金があれば、趣味や旅行などの楽しいことをすることもできます。お金は、人の幸せに影響する重要な要素の一つです。

 しかし、お金があればあるほど幸せになれるとは限りません。経済学者のダニエル・カーネマンとアンガス・ディトンは、アメリカの家庭の所得と幸福度の関係を調査しました。その結果、所得が年間75,000ドル(約800万円)を超えると、幸福度はほとんど上がらないことがわかりました。つまり、ある程度のお金があれば、それ以上のお金は幸せに貢献しないということです。

 なぜでしょうか?それは、人は自分のお金を他人と比べてしまうからです。経済学者のリチャード・エイスターリンは、人の幸せは「相対的な所得」によって決まるという仮説を提唱しました。相対的な所得とは、自分の所得と自分が比べる対象の所得の比率です。例えば、自分が月に100万円稼いでいるとします。自分と同じくらい稼いでいる人と比べると、相対的な所得は1です。しかし、自分より月に200万円稼いでいる人と比べると、相対的な所得は0.5になります。このとき、自分は自分より稼いでいる人に対して不満や嫉妬を感じるかもしれません。このように、人は自分のお金が多いか少ないかではなく、他人と比べてどうなのかで幸せを感じるのです。

 また、人は「適応レベル」というものを持っています。適応レベルとは、人が慣れてしまうと満足できなくなるレベルのことです。例えば、最初は安い車に乗っていて満足していた人が、高級車に乗り換えると幸せになります。しかし、しばらくすると高級車に慣れてしまい、さらにもっと高い車に乗りたくなります。このように、人は自分の状況が良くなると、それが当たり前になってしまい、新たな欲求が生まれます。これを「ヘドニック・トレッドミル」と呼びます。ヘドニック・トレッドミルに陥ると、お金による幸せは一時的なものになってしまいます。

 お金と幸せの関係をまとめると、以下のようになります。

  • お金は、人の基本的なニーズや楽しみを満たすために必要なものである。

  • お金は、ある程度以上になると、幸せに貢献しなくなる。

  • 人は、自分のお金を他人と比べてしまうため、相対的な所得によって幸せを感じる。

  • 人は、自分の状況が良くなると、それに慣れてしまい、新たな欲求が生まれるため、お金による幸せは一時的なものになる。

▼人間関係と幸せの関係

 人は、社会的な動物です。人は、家族や友人、恋人や同僚など、さまざまな人と関わります。人間関係は、人の幸せに大きな影響を与えます。

 人間関係が良好であれば、人は支え合ったり、励まし合ったり、楽しい時間を共有したりできます。人間関係が良好であれば、人は孤独や不安を感じにくくなります。人間関係が良好であれば、人は自分の存在や価値を認められたり、愛されたりすることができます。人間関係は、人の心の安定や充実に欠かせないものです。

 逆に、人間関係が悪化すれば、人は対立や争いに巻き込まれたり、傷つけられたりすることがあります。人間関係が悪化すれば、人は孤立や孤独に陥ったり、自信や自尊心を失ったりすることがあります。人間関係が悪化すれば、人はストレスや不幸を感じることがあります。

▼自分の選択と幸せの関係

 人は、毎日さまざまな選択をします。何を食べるか、何を着るか、どこに行くか、何をするかなどです。人は、自分の選択によって幸せになると思っています。しかし、実際には、自分の選択が幸せにつながるとは限りません。なぜでしょうか?

 それは、人は「選択のパラドックス」というものに直面するからです。選択のパラドックスとは、選択肢が多いほど、人は満足できなくなるという現象です。例えば、スーパーでジャムを買うとします。ジャムの種類がたくさんあると、どれを選ぶか迷ってしまいます。そして、選んだジャムに対して、他のジャムの方が良かったのではないかと後悔したり、期待外れだったと感じたりするかもしれません。このように、選択肢が多いほど、人は自分の選択に不安や不満を抱くようになります。

 また、人は「選択の責任」というものにも直面します。選択の責任とは、自分の選択によって生じる結果に対して、自分が責任を負わなければならないということです。例えば、進路を決めるとします。進路の選択は、自分の将来に大きな影響を与えます。しかし、進路の選択は、自分の意思で行わなければなりません。もし、進路の選択に失敗したと感じたら、自分を責めたり、後悔したりすることがあります。このように、選択の責任が重いほど、人は自分の選択にプレッシャーや不安を感じるようになります。

 自分の選択と幸せの関係をまとめると、以下のようになります。

  • 自分の選択は、人の幸せに影響する重要な要素の一つである。

  • 自分の選択は、選択のパラドックスや選択の責任によって、幸せを妨げることがある。

  • 自分の選択に対して、自分を信頼したり、満足したりすることが、幸せにつながる。


 この記事では、経済学における「幸せの決定要因」について、お金と幸せの関係、人間関係と幸せの関係、自分の選択と幸せの関係の三つの観点から紹介しました。経済学は、人の幸せに関するさまざまな知見や理論を提供してくれます。しかし、経済学は、人の幸せを決めるものではありません。人の幸せは、人それぞれによって違います。経済学は、人の幸せを考えるための一つのツールに過ぎません。

 では、人はどうすれば幸せになれるのでしょうか?それは、自分自身が答えを見つけるしかありません。自分の幸せとは何か、自分にとって大切なものは何か、自分はどう生きたいか、自分は何を選ぶか、自分はどう感じるか、自分はどう行動するかなど、自分自身に問いかけてみることが必要です。そして、自分の答えに従って、自分の人生を歩んでいくことが必要です。

 経済学は、人の幸せに関する興味深い話題を提供してくれますが、人の幸せを決めるのは、経済学ではなく、人自身です。みなさんは、自分の幸せを見つけることができるでしょうか?

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