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コーポレート・ガバナンス関連ニュース(2020/5/23)

コロナ禍で注目、企業の役員報酬の行方

【注目ポイント(記事一部引用)】実店舗を構える大半の小売業と同様、英宝飾品店チェーンのHサミュエルやアーネスト・ジョーンズが新型コロナウイルスの打撃を被っている。英国の両ブランドのほか米ケイ・ジュエラーズを経営する米宝飾品販売大手のシグネット・ジュエラーズは、販売不振を受け、経営トップの給与を半減し、株式報酬の付与を延期した。
【コメント】日本においてもそうだが世界中でコロナの影響により業績が悪化している企業ほど役員報酬の削減に取り組んでいる。記事の中でもあるようにその対応が、あくまで対外的なポーズとしか見られないケースも多々あるだろう。多くの企業は報酬全体のうち大部分を占める業績報酬ではなく、固定報酬の一部削減に留まることからもそのことは見て取れる。


ソニー、アクティビストかわす金融子会社化

【注目ポイント(記事一部引用)】米有力アクティビスト(物言う株主)サード・ポイントのダニエル・ローブ最高経営責任者(CEO)は、ソニーが本来の企業価値を実現するためには事業のスピンオフ(分離・独立)が必要だと考えている。だがソニーの吉田憲一郎社長は、正反対の方向に進んだ。金融事業を非上場の子会社にする吉田氏の判断には一理あるかもしれない。
【コメント】元々サード・ポイントが指摘していたのはソニーに対してコングロマリットディスカウントを解消せよということで、過去にはゲーム・エンタメ事業についてもスピンオフを提案していたこともあったように、金融事業はその1つでしかない。今回のソニーの判断は、アクティビスト対策や金融事業の利益の取り込みということよりも、事業ポートフォリオの再構築の一環として、金融事業を中核に据えるという意思表示とみることができる。どのような戦略を描いているか、その詳細が気になるところだ。


新型コロナが企業に問うESGの「S」

【注目ポイント(記事一部引用)】コロナ危機のなかでESGを重視する投資家が、企業に様々な要求をしている。脱炭素など環境面の取り組みはもちろんのこと、雇用維持や下請けの保護といった社会的課題へと、市場の声は広がりを見せる。大恐慌以来の経済危機は企業と投資家の関係をどう変えるだろうか。
【コメント】先日別の記事でも、ESG投資のSがこれまで以上に重視されつつあるということを触れた。恐らくこの流れは不可逆だろう。記事内のインタビューでもあるように、投資収益はもちろん気にしているだろうが、今回のような緊急事態への企業の危機対応能力と今後の成長余地を冷静に投資家としては見極めようとしていると思われる。それは、本質的に企業の中長期の持続的な成長が可能かどうかを見極めるということと同じである。


ゴーン事件で「サラリーマン取締役」は変わるか

【注目ポイント(記事一部引用)】瀕死の日産を救った伝説の経営者であり、ダボス会議でも注目を集めた一流のグローバル・エリート。華々しい経歴の裏で、私腹を肥やす資金工作の疑惑で逮捕され、2019年末に衝撃の国外脱出を敢行した。カルロス・ゴーンとは、いかなる人物だったのか。
【コメント】「経営幹部だけでなく従業員全員を制御する役割を担うはずの日本の取締役会は、執行役員の集まりにすぎない」
この言葉は、今の日本企業のコーポレートガバナンスの諸問題の根本原因を明確に示している。



「気候変動の情報開示、日本が世界をけん引」伊藤邦雄氏

【注目ポイント(記事一部引用)】一橋大学大学院の伊藤邦雄特任教授(68)は「世界はより良い資本主義に向かう」と力を込めます。2014年に経済産業省が公表した「伊藤レポート」は日本の企業統治改革をけん引しました。今度は世界的な気候変動や環境などの問題の解決に向け、経営者と投資家、従業員の対話の活性化に力を尽くす考えです。
【コメント】より良い資本主義に向かうかどうかはわからないが、特に昨年から顕著になったESG経営の強化の流れは今後益々加速するだろう。企業が自社の利益追求だけ行えば良いという考えは、今後急速に支持を失うと思われる。

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