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コーポレート・ガバナンス関連ニュース(2019/10/2)

社外取締役が3割突破 上場企業、女性・外国人も最高

【記事の注目ポイント】取締役に占める社外取締役の比率が、2019年になって初めて3割を突破。監査役や執行役を含む役員では女性が1000人を上回り、外国人役員がいる企業数も100社を超え過去最高となったとのこと。一方で、社外取締役の割合が8割を超える米国をはじめ海外企業と比べると、日本は未だに低水準に留まる。また、スルガ銀行やかんぽ生命などのように社外取締役が存在していても不祥事が発生するケースが相次ぐなど、取締役会の実効性自体に課題は残っているとのこと

【コメント】社外取締役比率がついに3割を超えた。まだまだ諸外国に比べると低水準であることは事実だが、2015年のコーポレートガバナンスコードの施行開始時に社外取締役2名以上の導入について、あれだけ日本の経済界が大反対を合唱していたことを振り返ると、わずか4年でここまで変化してきたというのは隔世の感がある。恐らく、そう遠くない時期に主要企業では半数が社外取締役というのが普通になるだろう。一方で、記事の後半にあるように、そもそも取締役会自体が実効的に機能できているのか、という疑問がある。これは相次ぐ企業不祥事で、社外取締役が全く機能していなかったということからもわかる。ただ、だからと言って社外取締役が不要ということではない。問題は個々の「取締役」だけでなく、「取締役会」全体が機能しているかどうかなのだ。それを見直すためには、そもそも自社の「取締役会」が何をするところで、そのために取締役にはどのような要件が求められているかを明確にすること、そして、その要件に相応しい取締役候補者が選ぶことが重要になってくる。ただでさえ、なり手がいないと言われる社外取締役候補者だが、だからこそ取締役会の目指す方向性と求められる取締役の要件を明確にすることが、今後多くの日本企業で経営課題になってくると思われる。


相次ぐCEO辞任で株価は?

【記事の注目ポイント】米国株式市場の動向について米国みずほ証券・兼松渉氏が解説。8月にCEO辞任を発表した米国企業は159社で月間ベースで過去最多とのこと。景気の先行き不透明感が強まっている中で、以前ほど取締役会がCEOを野放しにすることが許されなくなってきていることの表れで、自由市場がきちんと機能している良い証拠であると考えられる。米国ミズーリ大学が行った調査によると、取締役会との戦略の違いで辞任した場合は、辞任前に株価が低調なケースが多く、そのためにCEOが辞任した後は株価が改善する傾向が明らかになっており、必ずしもネガティブな話ではないと考えられるとのこと

【コメント】これは短いニュースだが、非常に興味深い内容だ。まず、今年の8月に米国企業(上場企業)で159社もCEOの辞任が発表されており、それが月間ベースでは過去最多であるという事実を初めて知った。しかも、その事象が取締役会が正しく機能していることのシグナルとして市場では好意的に受け取られ、必ずしもネガティブではないとされているとのことである。日本の場合、社長がコンプライアンス問題以外で任期途中に辞任するケースはまだまだ少ないので、1か月に100社以上の上場企業で社長交代が報じられたら、非常に大きなマイナスのインパクトを日本経済に与えることになると思われる。CEO辞任を「取締役会が(ふさわしい)CEOを新たに選んだ」とみて、コーポレートガバナンスが正しく機能している証左として受け止められるというのが、米国経済の強みであることは間違いない。



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