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少女を旅に誘った作品問題

今回は割と息抜き回です。あまり論拠はなく、個人の印象で語っています。昭和の鉄道についてはこの後まだ頑張って本を読む予定です。

昔の若い女性が旅に出たい、旅行したいと思うきっかけについてについて考えていました。まだ決して治安もよくなく、ほとんどの人には経済的にも豊かではない時期、少女達はどんなきっかけで「旅に出たい」と考えたのでしょうか。

身の危険があってどこでもいいから逃げ出すというのでもなければ、何の知識もない、存在すら知らない場所に出向こうとは思うはずがないので、何かしらの知識を得ているはずです。しかもわざわざ行きたいと思うのなら、よい前情報があってのことでしょう。

自分が感銘を受けた相手に関する「推し」関係の場所や、その場で行われる重要イベント(コンサートや舞台など、その場でないと体験できないことは多くあります)、今もいろんなところで大きな経済効果を出している聖地巡礼(もちろん宗教的な意味ではなく)、他にも特定の国の文学や映画などに親しみ、馴染んでいる場合、その国自体にポジティブなイメージを抱くと思います。

今回は過去に聞いたことのある、トラベルミステリと結びつきやすそうな『具体的な立地指定があり、多くの観光を誘致した女性ユーザーの多い作品』について考えてみたいと思います。(『少女トラベルミステリ』に繋げるための考え事なので、時代的にかなり古いものから選んでいます)


ローマの休日

1953(昭和28)年に公開された、グレゴリー・ペックとオードリー・ヘップバーン主演の、今も尚愛され、この映画に影響されてローマ観光する人が今も多くいる作品です。しかもヒロインのアン王女はローマに親善訪問に来ています。旅する女性でもある訳です。もちろん王女の公務なので観光ではありませんが、大使館から抜け出した王女のひとときの休日では楽しい観光をしています。旅、グルメ、恋と一通り揃ったキラー作品です。

銀河鉄道の夜

ちょっと違うかもしれませんが、旅をモチーフとした作品として『銀河鉄道の夜』を挙げたいと思います。宮沢賢治の有名な童話で、作中では具体的な場所をモデルとしていませんが、賢治作品に登場するイーハトーブが岩手をモチーフとしていると言われているので、聖地巡礼するファンも多い作品です。
映画、アニメ、演劇、ミュージカル、プラネタリウム番組など多くのメディア展開をしています。



ベルサイユのばら

1972(昭和47)年、週刊マーガレットで連載開始した、誰もが知るあのベルばらです。

漫画、アニメ、宝塚と恐ろしいロングセラーを誇る名作で、ベルばらブームを巻き起こしました。ベルばらがきっかけでフランス旅行、フランス語の勉強を決意した人も数知れず。
しかも新作劇場アニメの企画も立っており、今も尚新たなファンを増やしている作品です。

赤毛のアン

こちらも「プリンスエドワード島に行きたい!」という人を大量に生んだ、昔から愛される作品です。日本ではハイクオリティなアニメ版を見てファンになった人も多いと思います。

プリンスエドワード島に行きたいと願うファンは今も多く、観光ツアーも探しやすくなっています。

他にも、昔は内地だった台湾、朝鮮、満州、樺太など、知人が住んでいて興味を抱くパターンもありそうです。

ただし、古い時期となると経済的にそれほど遠くの場所に行きづらく、新婚旅行として選びやすい場所は「自分だけで行きたい」とは思わない可能性も高いですが、女性同士の仲間内でグループ旅行をするなら、趣味の近い友達がいれば一人旅と近い場所が候補に上がるかもしれません。

今は作品の舞台への聖地巡礼にしても、世界中にあちこちあるので、いろんな場所を選べそうです。
トラベルミステリ全盛の頃なら、女性受けする観光地を舞台にしている作品も多く、そういった場所に行ってみたいと思う旅行者も増えただろうと思います。(その頃なら『ゴールデンカムイ』あたりは女性客を呼べるコンテンツとして認識されなかったでしょう。時代は大きく変わりました)

ただ、こうして考えてみると、いきなりトラベルミステリブームの頃に降って湧いた訳ではなく「女性があまり旅行をしなかった時期にも旅行、一人旅自体のニーズはずっとあった」ように思います。
いろいろ考えさせられます。

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