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『Rock’n’Rool Shooter』感覚ピエロ横山直弘と6人が狙い撃ちした、禁断の扉の鍵【Finally楽曲語り】

ライブで騒ぐ曲か、聴き惚れる曲か。

これまでのFinallyらしさか、これまでにない斬新さか。

アイドルテイストか、ロックテイストか。

色香か、気品か。

感覚ピエロ・横山直弘氏のフルプロデュースによる、Finallyの5ヶ月連続配信リリース第一弾Rock’n’Rool Shooter」は、これらを含む無数の対立項を、絶妙バランスの上で完璧に両立させた。

そしてFinallyの6人は、それら対立するニ極の切れ目にある針の穴ほどの隙間を、精密極まりない歌声の狙撃で撃ち抜き、今まで開かれることのなかった禁断の扉の鍵を、鮮やかに破壊してみせた。

その中にある新たな魅力が解放された今、彼女たちのチャレンジは、最高のロケットスタートを切った!


最速で聴いてから一晩経ってもリピート止まらないのでちゃんと感想書くことにした

どうも灰色です。今回は、11/30配信リリース予定のFinallyの新曲、「Rock’n’Rool Shooter」(以下、公式に基づいて「ロッケン」)の感想を思いつくままに書いていきたいと思います。

なお、なぜ11/30配信の曲について今語っているかというと、FinallyのLIVE会場にてミュージックカードを購入することで曲をDLでき、いち早く聴くことができるからです!ちなみに次のLIVEは11/25(金)夜および11/26-27の土日です! 

※11/29追記:新型コロナウィルス感染症の影響で3日間のLIVEが中止になったため、こちらでの購入は不可能となりました。

さて、本曲はFinallyが来年3月26日に不退転の覚悟で仕掛ける大勝負・初の生バンドワンマンin新宿BLAZEに向けての、5ヶ月連続新曲配信リリースという企画の第一弾です。ただでさえ毎月リリース企画は大変なのに、セルフプロデュースで活動している彼女らにとっては輪をかけてめちゃくちゃにキツく、想像もできないほどの試練になることは間違いありませんが、いちファンとしてはこの5ヶ月ひたすらその勇姿を追いかけたいと思います。

ちなみに3/26チケット(昼/夜の部)の購入代行はいつでも受け付けていますので、気軽にお声がけください。今ならnote読者様向け特典としてワンドリンク代金もサービスします。

曲の紹介に戻りましょう。ロッケンは、人気ロックバンド・感覚ピエロ(以下、感エロ)のVo.&Gt.をつとめる横山直弘がフルプロデュース。グループとしてはまだデビュー1年少しのFinallyにとっては、一つ前の曲「WILD BRAVE」(LiSA「紅蓮華」の作曲を担当した草野華余子フルプロデュースに続く、大物アーティストからの破格の楽曲提供となります。彼女たちのアイドルの枠に収まらない歌唱力と表現力、そして成長性が音楽業界でも広く認められていっている証拠に他ならないと思いますので、本当に嬉しい限りです。

そして待ちに待った11/23。Juri様生誕祭の熱狂冷めやらぬ中、特典会の解散直後に帰り道でイヤホンオン。直後、その落雷のごときインパクトに私は一瞬で心を奪われ、22時にDLしてから2時間半ぶっ通しでリピートしてそのまましばし意識を失い、目覚めてからも午前2時半に身体の限界が来るまでずっと聴き続け、延々と悲鳴をツイートしてました

最後は記念に悲鳴ツイートをそのまま冷凍保存して泥のように眠ったのですが、朝起きても朝7時半から頭の中で鳴り響き続けるロッケン。脳内のおもちゃ箱をひっくり返したかのように無限に浮かんでくるキャッチコピーやキーワードめいた言葉たち。全く入ってこない読書。進まない作業。

これ、早くちゃんと記事に書いて成仏させとかないと生活に支障出るわ

というわけで、ここからはロッケンの具体的な感想を(おそらく世界最速で)記事にして参ります。なお、今回に限らずですが本題から語尾が変化することはご了承ください。あと11/30以降も度々セルフリツイートするんで、この曲が大ヒットしたら「俺、もう書いとるで?」ってドヤ顔させてください。


不安は消滅し、期待は遥か上を飛び越えられ、音の弾丸が耳から脳を貫いた

横山氏による楽曲プロデュースが発表されたのは11月4日、fm仙台のラジオ番組でのこと。当日は同時に12/20(火)仙台Rensa宮田"レフティ"リョウ氏プレゼンツによる感エロ&ASH DA HEROの対バンイベントの開催、そしてそのオープニングアクトとしてFinallyが出演することが発表された。まさに冬の仙台ロック祭りだ!!泊まりで行くぞ!

しかしその一方、放送内では横山氏からのコメントとして「あえて彼女たちのことをあまり調べずに曲を作り、先入観にとらわれないようにする」との発言があった。

現行の最新曲としてイナズマロックフェスをはじめ、リリース後からLIVEを毎回燃え上がらせていた「WILD BRAVE」は、草野華余子女史によるメンバーへの入念な事前ヒアリングに基づき、「これぞFinally!」という王道を突っ走る熱血系の歌詞・曲調に。彼女たちの現在や、未来へのスタンスを象徴する代表曲となった。

それだけに、横山氏のコメントには今までにない新鮮なテイストを期待する一方で、それが既に確立されているFinallyの世界観とハレーションを起こすことがないか、という不安をわずかに感じてしまったというのが、ラジオ直後の率直な気持ちであった。ただ、これには当時の私が感エロの存在をよく知らなかったことも大いに関係しており、その後に彼らの楽曲を知れば知るほど期待の方が高まってはいったのであるが。

ちなみに、本家の曲も聴いてみようと思ったのはメンバーのHarunaが感エロ大好きで、以前からよく聴いてたとツイートしていたのがきっかけだったのだが、そのおかげでまた新たに素敵なアーティストを知ることができた。Haruna様ありがとうございます!!

3週間弱という時間はあっという間に流れ、指折り数えながら待っていた配信当日。抱えていた不安は全てが杞憂に終わり、膨らんでいた期待は数百倍になって大爆発。そしてまんまと冒頭の通り、再生一週目でどハマりしたというわけである。

なぜ、それほどまでにロッケンは私の心を撃ち抜いたのか。その一因にはもちろん、自分がFinallyにハマって以来初めての新曲リリースでテンションが爆上がりしていたということもある。

しかしそれ以上に、たった3分18秒に仕上げられた異様な完成度の高さ、中でもキャッチー&トリッキーなメロディと先読み不可能な転調ラッシュが、すぐさま私を楽曲の世界観に引き込んだ。

何より最大のポイントは、この曲がFinallyの新たな魅力を初めて引き出したことにある。そして、私の考えるその魅力とは、彼女たちにとってある種の「禁断の扉」の中で、静かにその時を待っていたものだったのだ。

この曲の抗いがたい力の前ではもはや、私は動くことなく額と心臓を立て続けに撃ち抜かれた射撃の的人形に過ぎない。いや、それすらも不適切な表現だ。ただの的は、撃ち抜かれるときに陶酔を感じることなどないのだから。


「ロッケン」により、解放されるべくして解放された彼女たちの新たな魅力

いかにこの曲が衝撃的だったかを存分に語るため、先に少しだけ時を遡りたい。以前私がメンバー6人と代表曲のMVを中心に据えてグループ紹介のnote記事を書いた際のことだ。

1万字弱の記事全編を通じて、最適ではないと判断して使用するのを避けていた表現がある。それは「大人の魅力」「刺激的」「色気(色香)」、といったワード群だ。それらは、今までのFinallyが全面に出していた要素ではなく、それゆえに楽曲やパフォーマンスの表面だけに触れているだけでは、あまり感じ取れなかった。

それよりも常に感じられるのは、キーワードとしても繰り返し出てくる「決意」「覚悟」「絆」「諦めずに夢を追う」といった、力強く普遍的なカッコよさだ。

シンプルにまとめれば、「熱くカッコいい真っ向勝負」というのが私のFinallyに対する最大のイメージであり、そんなグループとしての魂や姿勢に芯から共鳴したからこそ首までどハマりしたのだが、ここまでの楽曲はロックテイストの中でも特にストレートでクリーン、健全で爽やかな印象が強かった。

Trash Talk」などは攻撃性に思いきり振った曲ではあるが、それでも真のメッセージはdisラップのような罵詈雑言ではなく、「未来なんて自分次第」というものだった。

また、紹介記事で触れた二大ラブソング「リナリア」「淡恋」も、ピュアさや切なさ、儚さが核であった。

総じて、ロックテイストの「ブラックカラー」とエモーショナルテイストの「ホワイトカラー」、双方の楽曲とも、ブレずに安定した世界観と高い完成度を保っているがゆえに、それをあえて自ら破壊して全く新たなFinally像を描くという賭けには、まだ踏み出していなかったとも言える。

無論、グループとしての活動歴がわずか一年数ヶ月の中でこれだけ曲のバリエーションがあり、LIVEごとに違うテイストを演出できるということが既に驚異的であり、私が1ヶ月でリリース済みの全曲を何十周もした異常者であるがために出てくる身勝手な無理難題であることは、私自身重々承知してはいるつもりなのだが。

それでも、たとえば私の最愛曲の一つである「愛迷」にて、刹那的かつダークな雰囲気をも易々と歌いこなし、聴くものをうっとりと酔わせられる彼女たちであるからこそ、ありとあらゆるジャンルに挑戦してみてほしい、という贅沢すぎる思いもあった。6人の作り出すステージに深く惚れ込んでいくほど、そんなわがまますぎる夢が日に日に募っていくのを止められなかった。

加えて言えば、LIVE一本単位、レッスン一回単位でその歌唱力と表現の幅を進化させ続けている彼女たちのパフォーマンスは、YouTubeに一年以上前にアップロードされた動画群とはもはや別物と言えるほどになっており、「今この瞬間のFinally」で再び変化球を見せてほしい、聴かせてほしいという思いもどんどん膨らんでいった。(それだけに名古屋で愛迷がセトリに入った際は狂喜乱舞し、特典会のトークに駆け込んだ)

そんな私にとって、ロッケンは表立って書きこそしなかったものの密かに抱え続けていた上述の欲求を完璧に満たしてくれる、それどころか大いに許容量をオーバーして一日中酩酊させてくれる、脳天破壊ソングであった。

以前から楽曲のカラーについては、TwitterでRinkaを筆頭に「これまでと違う一面が感じられる」「大人のテイスト」「カッコよくてsexy」「カッコたのしい」「LIVEで絶対に盛り上がる」とのヒントのようなものがメンバーからたびたび出されていた。しかし、かえって想像がつかず「結局どんな曲なんだ……」と謎が深まるばかりだったのだが、どっこい本当にこれが全部当てはまっていて度肝を抜かれた。数十回聴いた程度では「カッコ楽しくてsexyでLIVEが楽しみ」という言葉から離れられないほど、結果としてみんなのコメントは大変的確であった。

まずもって、この曲をアイドルソングと分類していいのかどうか、私には到底判断がつかない。ズブの素人で楽器もできなければ楽譜すら読めない私でさえ驚嘆で開いた口が塞がらないほどの、転調に次ぐ転調で先を読ませず、絶対に飽きさせない構成。疾走感と複雑さが共存し、生バンドで絶対に聴きたいと思わせるロックサウンド。存在感のありすぎるベース。そして全編の根底で華麗さを維持しながら踊り続けるピアノ。相当強固な歌唱の基礎と歌い方の引き出しがなければ、そもそもレコーディングすら不可能ではないかとさえ思わされる。

それを、Meg様が抜群のセンスでパート割りし、6人の声が重なったとき、曲は劇的な化学反応を起こし、稀代のパワフルガールズソングが生まれた。この曲のジャンルをあえて決めるなら、「Finally」。今の私にそれ以外の言葉は浮かばない。

初めて聴いて真っ先に衝撃を受けたのは、Finallyのメンバー6人、その一人一人の個性が圧倒的な表現力として形をなし、一曲の中に溢れ出るほど詰め込まれているという贅沢さだ。そのことからも、彼女たちにとってのキャリアの長さはそれ自体が極めて強力な武器の一つであると、私は改めて確信した。

LIVEのステージに多く立っている、たくさんのパフォーマンスを経てきているということはすなわち、表現の経験値が数限りなく積まれてきたということに他ならない。つまり既にFinallyには、どれほど前衛的な曲、変化球の曲であっても見事に乗りこなせる、絶対的な地力があるのだ。

舞台女優のごとき華と風格すら漂わせるTina。

超正統派アイドルであるがゆえに、無限にギャップを生み出せるHaruna。

新曲ごとに「次はどんなチャレンジをするんだろう?」と期待させてくれ、そして殻を破るところを見せてくれるAoi。

メンバー随一の切れ味とスピード感溢れるラップに加えて、リーダーとしてみなぎる気迫を歌に載せることもできるJuri。

リードボーカルの2人についてはもはや言うまでもないが、それ以外の4人もこれほどタイプの異なる表現の力を持っており、そのカラフルなオーラに日々磨きをかけているのだ。

そんな6人が、ロッケンで満を持して拓いた新境地。今まで開けられることのなかった扉の奥。そこに詰まっていたのは、刺激的で危険な、歌声からさえも漂う色香。あるいは甘さと妖艶さの混ざり合う、抗えない魅惑の挑発。

そんな、「大人カッコいい女性」とでも言うべき魅力だ。これは、あどけなさや未熟さ、キラキラ・ゆるふわ・不思議な世界観……などをコンセプトにした10代アイドルが出すことは到底不可能なものだろう。この路線こそ、今までのFinallyになかった、しかし圧倒的な説得力でハートを鷲掴みにする、彼女たちの最強新兵器である。

全体を通して最も私が推したいポイントは以上の通りだ。続いて、現状では歌詞がなく一部の歌割りも把握できていないものの、特に印象に残ったパートの感想や、耳に残るワードの解釈も可能な限り書いていこう。

なお、既存のラブソングである「淡恋」「リナリア」と比較することでロッケンの斬新さが特に際立つため、そこからの引用が多くなることはご了承いただきたい。

特徴的なドラム&ベースと「Are you ready?」の掛け声に続いて、切り込み役を担うのはRinka。前向きソングの作詞が多く、リナリアでも切なさ全開のサビを担った彼女が、低く深い声を響かせて情感たっぷりに「その指絡めて抱きしめ合えれば 秘密の私を手に入れられる」とエンジン全開。この時点で、既存のFinallyの歌を知っている人ほど異常事態に気付くだろう。それにしても、ダークトーンのRinkaボイスのなんと素晴らしいインパクトか……。

続いてTinaパート。淡恋のMVで「アイス片手に時間を忘れて」と歌ったり、はじける笑顔でシャボン玉を飛ばしたりしていた彼女が「よそ見しないでよ 私以外なんてつまらない」とストレートに距離を詰めてくるのは、いくらなんでも殺傷力が高すぎる。リナリアの落ちサビで彼女が指の先まで使って伝えてくる胸の苦しさを思い出せるほどのファンなら、ここだけでも間違いなくKOされてしまう。俺が。

次も容赦なく、最も可憐なビジュアルのHarunaが「『ただ慰め合えればよかった』なんてもう要らない!」と、互いの関係を先へ進めようと思い切り踏み出すような、有無を言わさない前のめりさを歌い、ついにサビへ入る。ただこの部分の歌詞はちょっとヒアリングに自信がないので、「身体慰め合えれば」とかかもしれない。30日に確認することとする。

サビから1番の終わりまでは、特に横山氏の作詞のバランス感覚が卓越していると感じさせられる。「Rock’n’Rool Shooter 狙い定め撃ち抜くわ」。サビでは恋愛に関する直接的な表現を使わず、分かりやすく格好いい表題フレーズを用いることで、これまでのFinallyのイメージからかけ離れすぎることを防いでいる。加えて、満を持して響きわたるMegのパワフルボイスも「Finallyらしさ」を常に担保する至宝だろう。

さらに「さぁ歌え!」→ラララ……のコーラスで、思い切りアイドルソングらしさに急ハンドルを切る。振り付けこそ分からないが、LIVEでも盛り上がるであろうことが容易に予想できる、みんな揃って楽しめそうなポイントだ。この辺りから、ロッケンの目まぐるしいジェットコースターソングとしての本性がいよいよ発揮されてくる。

と、王道のアイドルLIVE感に浸っていたところへ、「ねぇねぇねぇねぇ!」と甘い空気を真っ二つに切り裂いて入ってくるRinkaが、今度はJuriと共に超高速ラップを繰り出してくる。WILD BRAVEラスサビ前をさらに進化させた、バトル調なJuRinkaラップのリリックは現段階だと到底拾いきれないが、途中でこれまでなら絶対に出てこなかったような過激なワードもぶっ放されているのは間違いない。聴くものを怯ませるほどに圧倒する2人のbeatは、グイグイと迫ってきて半端な態度を許さない女性のパワフルさも想起させる。

そこからの「振り向かせるわ私に」から、Aoiのわがままめいた「私以外何もかもどうだっていいわ!」までのパートでは、前半同様に恋の攻め手に積極的な女性像も思い浮かぶのだが、私の頭にもう一つよぎった解釈は「Finallyとしての、またはその中の一人のアイドルとしての、観客へのアプローチ」だ。

目移りするの?あの娘がいいの?」「そんなものくだらない」という、反論を一切許さない美声が奏でる嫉妬と強奪のフレーズ。ここでの「Rock’n’Rool Shooter」はまるで、別格感漂うロックテイストのステージでアイドルファンの心を次々と撃ち抜いていき、その魅力で「推し変」さえもさせてしまう自信に満ちた、Finallyやメンバーたち自身のことのように思えてくる。

そう考えると、二度目のコーラスからの聴こえ方もまた変わってくるのが面白い。「それじゃあ行くよ」という部分は、ここまでに比べるとグッと子供っぽく無邪気な、アイドルっぽさもある響きだ。そして間髪入れず、「F.i.n.a.l.l.y! Let me show you Finally!!(Finallyをあなたに見せてあげる)」と自分たちの名前を観衆の脳天に叩き込み、「私はRock’n’Rool Shooter!!」と高らかに宣言する。

そしてサビ。やめられない止まらない、Rinkaっぱえびせん気がつけばロッケンは、狙った相手を誘惑し主導権を握る女性のアピールソングとしてだけでなく、Finallyを一目見たあなたも虜にしてあげる、という妖しく蠱惑的な雰囲気に満ちている。そして、偶然ステージを目にした見知らぬ誰かへ、「あなただけは離さない 夢中にさせてあげるわ」と、彼女たちはステージの上から熱視線で撃ち抜いてくるのだ。さらに「まだよもう一回!」あなたはもう、逃れられない。

さて、フィニッシュだ。「バカにすんなクソ喰らえ!」満を持してブチかまされたのは、ど真ん中への中指突き立てキック。6人揃って吐き捨てた剥き出しの言葉が粉砕するのは、世間から地下アイドルへ向けられた偏見や先入観、メジャーとそれ以外の間にある隔たりや格差、「アイドルらしさ」のような古びた固定観念、自分たちの活動の幅を狭める障壁に埃まみれの慣習、そんなFinallyを邪魔するもの全てだ。

「アイドルの歌」だなんてバカにすんな、クソ喰らえ!

そして最後は、開幕直後と同じように「まだまだ」の連呼で終わる。始まりと終わりに繰り返される「まだまだ」は、「Finallyの幅はまだまだある」とも、「挑戦はまだまだこれから」とも受け取れる。

前者であれば、自分たちの積み重ねてきた努力と可能性への自信に満ちた、我々をいっそう期待させずにはいられない言葉だ。

そして後者であれば、従来曲のスタンスとも共通する意味となり、「夢の舞台までまだまだ止まらない」と叫ぶ姿とも重なる。実際にこの曲は、5ヶ月連続リリースのスタートでもあるのだ。昇り竜・Finallyがここから始める快進撃には「まだまだ!」という言葉こそが、何よりもふさわしい。


以上、結局ほぼ全パートの歌詞について触れてしまった。我ながら長い。長すぎる。

しかし、ゆっくりと聴き込みながら進むことで、改めてロッケンの凄まじさを認識した。まず、曲自体の展開、歌唱部分の難易度が凄まじい。Megの歌割りのセンスや、各メンバーのチャレンジ精神がなければ、即座に破綻する曲だ。

そしてリリックは、全くこれまでと違うテイストをベースにしながらも、極めて丁寧な言葉選びを徹底していることが伺える。そのため、色香はあってもsexyになりすぎず、Finallyの持ち味である気品や美しさも終始維持されている。完璧なバランス感覚だ。

加えて個人的には、従来の楽曲の歌詞に発見した「双方向性」が今回はないという点にも注目しているのだが、それについては前提の説明記事が未投稿のため、日を改めることとしたい。

また、一言一言を追って解釈していくことで何通りもの受け取り方ができる、大変にリピートしがいのある曲であることも最高に楽しめる。何と言っても、好きな人へ独占欲全開で迫る女性の歌のはずが、いつの間にかアイドル界への宣戦布告になってしまうくらいなのだから。

その上で、全員が意外性のあるパートを担当し、新たな魅力、「大人カッコいい」を存分に見せてくれたことには、ただただ拍手を送りたい。この路線のFinallyも、どんどん見たくなってしまう。

ダンスパフォーマンスも含めてロッケンを完全にモノにするまで、今もレッスンに次ぐレッスンの日々を送っているものと想像するが、そこで新曲のために進化させた表現力や技術はきっと既存の曲のパフォーマンスにも還元され、一層の色鮮やかさを加えてくれることだろう。そう考えると、直近から全てのLIVEがもう楽しみで仕方がない。

さあ、あとはただ無限リピートをしながら、LIVEで初披露されるその日を待つだけだ。ロッケンはおそらく、歌うときに今までの熱血・懸命路線とは違う表現、余裕や挑発といったバリエーションが必要となるだろう。FinallyのLIVEにおける最大の特色の一つである激しいダンスの中で、そうした点を貫けるのか?という点も、非常に注目したいところだ。果たして私を待ち受けているのは、どのような振り付け、そしてメンバーたちの表現だろうか?

いつかいつかとFinallyの次の動きを楽しみに待つ日々は、まだまだ続いていく。





……やっと終わった……。9000字超えになった……。現在朝3時半。丸一日以上かけて終わりました。お疲れさまでした。ここまで読んでくださった方がもしいらっしゃいましたら、心から感謝申し上げます。それでは、また。


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