「偽ブラックカード」に騙されるな

クレカオタクをやっていると事あるごとにブラックカードの記事を目にする。そこでは、当然のように「JCBザ・クラスはブラックカード」だとか、「楽天ブラックカードはブラックカード」と書いてある。

しかし、これらは正確に言えばブラックカードではない。
なぜそう言えるのか、今回は深掘りしていく。

あまり他サイトを掲示するのは好きではないが今回は「ブラックカード 一覧」とGoogle検索して1番上に出てきたサイトを参考にしていく。

https://www.hrgroup.jp/media/blackcard-osusume/#01-03

このサイトで掲示されているのは、

これらである。このうち、下3つは偽ブラックカード(プラチナ相当)である。
一つ一つ解説していくが、本物のブラックカードとはどのようなものか概説を述べておく。

1.年会費がべらぼうに高い
年会費55万円など、到底一般人がクレカ1枚のために維持できるような額ではない年会費を平然と請求する。

2.サービス内容がプラチナカードを凌駕する
航空会社の上級会員が付帯していたり、空港からの無料送迎などが付いている場合が多い。

3.パーソナルコンシェルジュが付く
電話において自分専用の応対スタッフが付く。


このようなところである。
必須要件ではないので絶対こうなっているとは言えないが少なくとも年会費5万円のカードと55万円のカードでサービス内容が違うということは想像が付くだろう。
では、実例に移る。

1.アメックスの「センチュリオンカード」
通称雨黒。これは本物である。入会金55万円、年会費55万円と一般人にはかなり厳しい維持費。
加えて空港送迎やエミレーツ上級会員などアメックスプラチナにはない特典が付帯している。さらに会員制のプライベートクラブなどを利用でき、真の金持ちでなければ付帯しているベネフィット自体に意味がないと感じられるレベルである。
ブラックカードのルーツはこれなので基本的にこれ以外のブラックカードは本当にブラックカードであるか疑ってかかるべきである。

2.ダイナースクラブの「ロイヤルプレミアムカード」
通称王茄子。これも本物である。これが出るまでは「プレミアムカード(黒那須)」と呼ばれるものが存在したが、実際にはプラチナ級の特典で年会費も143,000円とセンチュリオンに比べてはあまりにも安かった。
センチュリオンに対抗するためか2021年に王茄子を発表。入会金、年会費ともに55万円とセンチュリオンに並び立った。

3.ラグジュアリーカードの「ブラック・ダイヤモンド」
こちらも本物。通称は未定(あまり2chでは話題に上がらないため)。王茄子と同様2021年に発表された。入会金110万円、年会費66万円。1人の顧客に対し3人のパーソナルコンシェルジュが付くと言う。確かに8時間労働だとすると3人いれば24時間パーソナルコンシェルジュが回せる。
ラグジュアリーカードは元々「ブラックカード」というものがあったが、実際にはさらにその上に「ゴールドカード」と言うものがあった。こちらも年会費22万円で安くはないのだがセンチュリオンに並び立つほどではなかったのでブラック級かと言われると難しいところではあった。
そこで今回「ブラック・ダイヤモンド」が出たので晴れてブラックカードと言えるカードがラグジュアリーカードにも表れたのである。

4.JCBの「ザ・クラス」
これは偽ブラックカードである。通称は階級。
JCBは決済ブランドとしてだけでなくアメックスやダイナースのようにクレジットカードそのものを自社発行している。そのオリジナルシリーズ(OS)と呼ばれる自社発行カードの最上級カードがザ・クラスだ。確かにインビテーション制でコンシェルジュも存在するがパーソナルコンシェルジュではない。また、年会費も55000円とブラックカードと呼ぶには安すぎる。今となっては「JCBプラチナ」が出てしまったので、「ザ・クラス」はブラックカードなのかとより勘違いする人が出てしまっているが、元は「一般カード」→「ゴールド」→「ゴールド・ザ・プレミア」→「ザ・クラス」という順で昇格していくのでこの並びを見てもプラチナカードであることは一目瞭然である。
じゃあ今出てきた「JCBプラチナ」はなんだと思う人がいると思うがあれは偽プラチナである。「三井住友プラチナ」に対する「三井住友プラチナプリファード」のようなものなのでプラチナカードだと思ってはいけない。

5.楽天カードの「楽天ブラックカード」
これも偽ブラックカードである。
年会費33000円で付帯してるサービスがプライオリティパス同伴者2名。
これだけである。これではブラックカードとは呼べない。
ただ、プラチナカードとしての機能(プライオリティパス同伴2名、コンシェルジュなど)は付帯しているためプラチナカードとして見れば最もコスパが良い部類には入る。インビテーションの条件がよく分かっていないためセンチュリオンを取るより難しいという説がある。楽天関連のサービスを愛用していることが条件だろうと言われている。

6.スルガ銀行の「VISAインフィニットカード」
サービス終了しているカード。2023年1月に終わった。
もちろん偽ブラックカード。
そもそもVISAブランドにはインフィニットカードという概念があり、これを背負っているカードが現状日本だとスルガ銀行発行のカードしかないというだけである。
インフィニットの能力自体はプラチナカード相当なので、やはりプラチナカードという扱いになる。年会費も132000円なのでブラックと呼べるほどではない。


いかがだっただろうか。
現状本物のブラックカードは「センチュリオン」、「ロイヤルプレミアム」、「ブラック・ダイヤモンド」ということになる。
それ以外のカードはプラチナカードなのでカード取得の選定基準にしていただけたら嬉しい。
もちろん、カードランクに縛られず好きなカードを持つことが一番楽しいと思うのでこの記事はあくまで参考程度にしていただきたい。
ご高覧感謝申し上げる。

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