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140字に収まらない『ムーランルージュ!・ザ・ミュージカル』の感想(望海風斗さんのサティーンと井上芳雄さんのクリスチャンについて)

自分で想像していた以上に夢中になっている2023年の夏を過ごしています。帝劇の地下に住みてえ〜〜〜!!!手拍子で盛り上がれる大ナンバー、豪華絢爛な客席、贅沢すぎるキャスト、紙吹雪まで降らせてくれる客席。好きな要素しかないし、取り憑かれてるな〜って我ながらすごく思う。でも帝劇の地下に住むファントムになってクリスティーヌの歌声をずっと聴いていたい…みたいな気持ちにすらなっています。ずっとこの空間で、この盛大なお祭りを浴びて、余韻に浸っていたい。


7月16日。望海風斗さんがサティーン、井上芳雄さんがクリスチャンを演じる回。
この組合せは本初日以来2度目の観劇。

Twitterにそのまま流すには少し恥ずかしいほどベタ惚れの内容、かつ140字に到底収まらない下書きを量産してしまったのでここで思う存分書き散らすの巻。今回も望海風斗さんと井上芳雄さんの話が9割です。(目的と違うけどここまで来てしまった…という方はここでお戻りくださいね…!)

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https://www.instagram.com/p/CuVwgBuvlHY/?igshid=OGIzYTJhMTRmYQ==

この二人の並びが心の底から好きです。まじでムーランルージュで共演してくれてありがとうございますおかげておたくの寿命伸びましたの感謝の気持ちをどこに届けたら良いのか。ツーショットありがとうございます望海さん…そして芳雄さんお誕生日おめでとうございました。貸切公演楽しかったな!

あまりにも歌の上手い人って客席中の空間に声を響かせるだけじゃなく、客席で聴いてる者の体内にまでぐわーっと共鳴させるほど聴かせてくれるなぁと思ってて、私にとって宝塚時代の望海さんがまさにそれで、おこがましくも望海さんの声が自分の中でびりびりと響く感覚に贅沢さを感じる瞬間がとても好きだったんだけど、今回の観劇時のCome What Mayでそれをすごく感じて、そしてそれは芳雄さんと望海さんお二人から享受できる現象で、二人の「愛してる」を内臓に届くまで交互に浴びるので、この心地良さたまらないなと痺れながらもものすごくうっとりするような気持ちに浸っていた。甘さだけでなく、帝劇の屋根を吹き飛ばすくらいの突き抜けるような強さも最高。実在のムーランルージュでショーを観ていた方々もこんな気持ちだったのかな…。このシーンはムーランルージュのギラギラな電飾や象も登場しない、簡素なクリスチャンの家で歌われる二人のデュエットだけど(窓から遠くに見える風車も好き)、舞台セットの華やかさがどうであれ、役者がもたらしてくれる感情の機微に(ここでサティーンやボヘミアンが大切にしてる合言葉の一つを使っちゃうけど)“真実”を見出すような気持ちにすらなった。

お一人ずつでのソロや、別々に出演されてるところでもそのお力と魅力を存分に振り撒かれているお二人だけど、二人が揃うとこんな無敵なことあるんですか…?と改めてしみじみ感じてしまった。相乗効果ってこういうことなんだなと。

そしてこのお二人、感情の動きの見せ方がとんでもなく上手いので、起承転結が割とシンプルなこの作品の中でも、すごいドラマを見せてくれて猛烈に鳥肌が立つ。揺さぶられる、という表現が相応しいかな。
サティーンは、愛してると言われて嬉しいけど自分は彼にとって“ファンタジー”だし、誰も愛さないし誰の愛も要らないの。でも愛される喜びを知り、いざ自分も愛してみると、今まで体験したことの無いほどの幸せがそこにあった。でも幸せは長続きしないことは、悲しいかな自分が一番良くわかっているので、みんなの為にもこれが最後の頼みの綱かもしれない公爵との関係を終わらせることができない。そして、自分の愛や身体を犠牲にしてでもクリスチャンの歌を世の中に披露することが、サティーンなりの愛の形の結末。華やかさ、カリスマ性、儚さ、そして悲劇性。同情を誘うわけではない、ロマンチックで憧れてしまうような悲劇の見せ方が望海さんは本当に上手いな〜…と、ありえないくらい夢中になってる。「可哀想の達人」には心を持っていかれがちなところもあるけど、サティーンという役を通して、望海さんの表現の引き出しの豊かさを垣間見ているような気持ちだったりするのです。

https://twitter.com/xxx3220amo/status/1675345515922472961?s=20

クリスチャンは、サティーン出会ってしまい舞い上がる気持ちと焦がれる気持ちを同時に知るも、彼女を一方的に愛させて欲しいと懇願する。自分の「愛したい」という欲さえ満たせれば十分だと捉えられてしまいそうな振る舞いだけど、自分が愛する人にも愛される喜びを知ることとなる。初めは一方的な愛のはずだったのに、ハッピーエンドを信じたくなるほど徐々に夢に近づき現実からは遠ざかる。どこか小さなところで暮らし、トゥールーズおじさんがやってきて、僕たちの子供と遊び… いつの時代のどこに住んでる誰でも叶えることができそうなほど、こんなに細やかで小さな願いなのに、当時の二人にとってはそれすら叶うことができない状況というのがとても切ないなぁと思う。向こうみずな愛とはいえ、現実的では無いとはいえ、愛する人との将来にまで思いを馳せることがクリスチャンの作曲の原動力だったんだろうな。象の部屋の中で「馬鹿なの?」とサティーンに言われ「そうなんだ(キリッ」と答えるシーンも好きだけど(笑)、自分の気持ちに迷いがないクリスチャンの潔さに気持ちよさすら感じる。
実年齢を忘れさせるほど、みずみずしくて体当たりなクリスチャン像を演じている芳雄さんが新鮮で、もう可愛すぎて仕方なくて悶える気持ちを抱えながら観劇しているようなところもあるけど、芳雄さんの真骨頂とも言われるような、2幕後半から畳み掛ける苦しい展開に至る前だって、サティーンと迎えたい幸せの形や、自分自身の愛の形が変わっていくのが本当に見応えがあるので、ファンながらも惚れ惚れしてしまいます。Your Songの1曲を例えに出したって、自作の曲を恐る恐る披露するような緊張感から、両手広げて声量も上げてサティーンに思いっきり気持ちを伝える真っ直ぐな勢い、そしてソファに飛び乗ったり自由になる解放感。見ていて本当に清々しいし大好き。
迷えるサティーンと迷わないクリスチャン。この対比が好きです。アブサンを煽ったって、クリスチャンはサティーンに拒絶されるまでは彼女への気持ちが変わることなく、更に加速しただけ。絶対に迷わない。迷えるサティーンだけど、Elephant Love Medleyの後半でクリスチャンの真っ直ぐな愛を受け入れて自己解放するシーン(愛と青春の旅だちの曲)が本当に清々しい。夜空とエッフェル塔が登場する1幕ラストシーンで、青いドレスに着替えたサティーンが客席を見渡す表情が、初めてムーランルージュに来たクリスチャンの無垢な喜び、驚き、感動の表情と彷彿とさせるなぁと、望海さんを拝みながら涙腺が終わる。クリスチャンが見せてくれる夢をサティーンと一緒に客席も味わせてもらっているのだと思うと。サティーンの心が溶けていく過程をクリスチャンと一緒に客席も見守らせてもらっているのだと思うと。1幕ラストはまじでガチ泣き案件です、私の中で。確実に死ぬ間際の走馬灯に出てくる名シーンだと思う。


今回の観劇でものすごく胸に来たのがCrazy Rolling。ここはChandelier、El Tango De Roxanneと後半畳み掛けるように続く、苦しさを存分に見せながら歌い上げるクリスチャンを堪能できる展開で、そのしんどい流れのクライマックスに位置付けられてるのがCrazy Rollingだけど、「もうやめて これ以上」の歌詞はこっちのセリフだよ!と思ってしまったほど(笑)しんどすぎる。上手いからこそしんどい。別々の方向を向いてる二人が息ぴったりだからこそ込み上げてくるものがある。
私は劇評を書く人でもないし、ただ推しと推しの共演で相当舞い上がってる&ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカルにハマりすぎてるただのミュオタという立場だけど、二人が引き込んでくれる世界への没入感が凄すぎて、あまりにも感動して観劇後は夜まで何も見たくないし何も聴きたくなくて電車の中でとにかくぼーっとしていた。それは後半のこの展開だけでなく、Shut Up and Raise Your Glassも、Your Songも、前述したElephant Love Medleyも、全部。様々な曲調の楽曲が続くけど、シーンに合わせて世界観をガラッと変えていくのは、衣装やセットの力だけでなく、歌唱でもここまで引き込んでくれるんだなとめちゃくちゃに感動した。

アブサンを煽ってChandelierが終わり、ロクサーヌが始まった頃の芳雄クリスチャンのガンギマリ具合(言い方)が恐ろしくて、放つ殺気の強さと、それと引き換えに気力体力を消耗しているだろうであろう脆さと、何かを得たら何かを手放さないといけないようなアンバランスさ、不安定さが彼から伝わってくるので目が離せない。そういう時にすごい燃えるのでオペラでロックオンしちゃうんだけど、スーパー井上芳雄タイムとも言うべき(呼ばせてほしい)この芳雄さんの真骨頂のシーンも“魅せる”“引き込む”という言葉が相応しいかな。Crazy Rollingで、暗闇に佇むクリスチャンのソロが終わってアップテンポになるところで、髪を掻きむしるような仕草をしたり地団駄踏んだり、えッッ、ここまで荒れてたっけ…?と実は今回かなり同様してしまってそこから目が離せませんでした… 不意打ちのヤケクソ展開に心臓撃ち抜かれた私がいます。。

からの劇中劇本番の「僕を見て?サティーン…」で私の情緒はおしまいです。Crazy Rollingで完全にキマっちゃった状態でピストルに弾を込めてたのは、恋敵を狙うためではなく、彼女に愛されないという現実を初めて知った自分を消すためだったわけでしょう。ラストチャンスに込めるような芳雄さんの絞り出すような声で情緒が終わる。そして更にか細い声でYour Songを歌い出す望海サティーンの声を聴いてここから涙腺が終わる。前述したとおり、二人の愛の形が変わりつつあって、同じ方向を向いているか危うい瞬間があれど、最終的には「この物語を語り継いでいけば、どんな時でも二人は一緒にいられる」というゴールにたどり着くのも、おとぎ話のようですごく好き。ある意味ハッピーエンドとも言えるのかな。クリスチャンは「僕たち」の物語を描く曲をまた作り始めるし、サティーンがクリスチャンに教えてくれた「真実、美、自由、愛」のキーワード、そして彼女自身はクリスチャンの中で生き続けるのだから。

命が消えかかっているサティーンの最後の足掻きのような絶唱は後半で続くけど、劇中劇本番でのYour Songは本当に虫の息と言っても大袈裟じゃないほどで、なんでそんなか細い声でここまでちゃんと聴かせられるの…?って望海さんの歌の凄さに本当に驚く。望海さんの舞台を堪能したい自分と、望海さんの技術が素晴らしすぎる自分の人格が分裂する瞬間。決して舞台に集中してないわけじゃないんだけど、上手すぎるのでそういう観点でもものすごい感動しちゃう。息をするように歌う人だなぁと前にTwitterに書いたことがあったけど、セリフと歌の区別があまりないような、そんな繊細な造り込みが本当に好きです。


私、この物語のサティーンがヒロインとして理想すぎて、サティーンを楽しみにムーランルージュに通っているようなところもあるけど、地獄から這い上がり“輝くダイヤモンド”まで上り詰めた賢さ、傾くムーランルージュの経営を目の当たりにして私が“家族”を支えなきゃと誓う強さ、パリの娼婦の自分が誰かと愛し愛される関係になってはいけないんだとクリスチャンからのアプローチを頑なに拒む頑固さ、病気による肉体的な問題もあるけどこの身体が長くは持たないとわかっているからこその儚さ、ヒロイン像をより肉付けする素敵な要素が本当に沢山あって、ものすごく魅力的なキャラクターだと思ってる。そんなサティーンを望海さんがその期待値通りに、いや期待値を超えて演じてくれてるのでもう夢中になるしかなくて、登場時のSparkling Diamondはもうオペラが手放せません。ずっと見ていたい。でも彼女が掌握する帝劇の空間丸ごと眺めたい気持ちもある。長い手足で魅了し、客席を煽り、かっこよさとチャーミングの塩梅を攻める望海サティーンが好きすぎるので…。

望海サティーンが最後に公爵にきっぱりNOを示す「私は誰のものにもならないわ!」がこれまで聴いた中で一番叫んでいるような強さで、公爵だけでなく自分自身にも言い聞かせているような意地らしさもあって、ものすごく涙腺に来た。あとこれも書いておきたいのだけど、Crazy Rollingで舞台から捌けないサティーンが好き。本当に苦しくて、しんどい見せ場ではあるけど、もはや背中を見せて舞台袖に縋り付くほどの限界極まったサティーンにやられました、本当に…望海さんの真骨頂…

あとSo Excitingラスト、チャーミングさを失わずに「公爵おねがーーーーーい!!!」(超高音)をものすっごく綺麗にはめてくる望海さんへ尊敬の気持ちが止まらない。

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情緒が…という表現を何度も使ってしまったけど、そもそも出演者の技術や表現力に感動する以前に、ムーランルージュって情緒めっちゃくちゃに抉られる作品だなぁと勝手に思っている。盛大な褒め言葉です。1幕冒頭から「みんなでCAN CAN!」(紙吹雪パァァァン)で全力手拍子して紙吹雪にびっくりして、1幕の夢夢しさと2幕の悲劇的な結末を味わい、その余韻に浸り切らないうちに「みんなでCAN CAN!(紙吹雪パァァァン3連続)」なのだから、展開がジェットコースターなわけ。上げて、突き落として、涙して、そのままブチ上がって。全然休ませてくれない(笑)だからこそ劇場で体感できる喜びがひとしおなんだなぁと改めて思う。こういう心の揺さぶられ方だって、観劇がもたらしてくれる体験。本当に魔法みたいな3時間だな!

そういえば今回の観劇では本編終了後、フィナーレに入る前にスイッチが出てきてジドラーが客電を落とす時に、汗と涙とでキラッキラに輝いてる芳雄クリスチャンを橋本さとしさん演じるジドラーが「お前やってみるか??」みたいな感じで呼びつけ、芳雄クリスチャンがステップ踏みながら近づいてきたけど、結局「やっぱ俺がやるわ!!」つて客電落とす役割を譲らない橋本ジドラー(そして素直にポジションに戻る芳雄クリスチャン)、っていう平和な展開があったと思うけど、散々泣いたから幻だったのかもしれない(笑)フィナーレに向けて気持ちを引っ張り上げてくれる遊び心が嬉しいな!

観劇後に毎回ここまで長文書くことはないと思うけど(笑)、こんなに理想的なサティーンとクリスチャンに出会ってしまい、燃え上がる気持ちはしばらく落ち着きそうにありません。「僕達の物語を語り継いでいけば、どんな時でも二人はずっと一緒」だと信じて。ここまで読んでいただきありがとうございました。

本公演初日の興奮冷めやらぬままに文字を打ち込んだnoteですが、「!」の位置が間違ってることに今更気づいてめちゃくちゃに恥ずかしんでる(笑)正しくは『ムーランルージュ!・ザ・ミュージカル』です。

あまり特定のキャストの感想ばかり書いてはいけないのだろうかと実は悩ましく思っていたのだけど、二人の会員証を持ってて、推しと推しが並んでるとオペラグラスでどこ見たら良いかわからなくなってるおたくの感想ということで、どうかお許しいただけますと幸甚です。終わり!

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