見出し画像

拝啓、18歳の僕へ。

おす、少年。
ワイは、n年後の未来の君や。(ただし、5 ≦ n ≦ 10)

この文章は『シュタインズゲート』のDメールみたいなもんや、と言ったらわかりやすいかな。

あまり時間もないし、君の目下の課題である受験と進学について、いくつか忠告しておくわ。

あ、謎のエセ関西弁は昔からのクセやけど、めんどいから以降は普通に話すな。


君に現役合格はできない。

まず、受験に関する話をしよう。
と、その前に。


君は、大学受験に失敗して浪人します。


今一番知りたくない未来だろうが、すまんな。
ただ、1浪で無事に九大に受かるから、そこは最低限安心してほしい。

できることならとにかく浪人は避けたいはずだけど、
君は冬生まれだから、18歳になったときには既にセンター試験も目前に迫っている。
よって、今からアドバイスをしても結果を変えるには時間が足りないし、現役時の受験失敗の運命を変えるのは難しいと思う。

まあ、1つ言えるとすれば、
「2次試験会場にセンター試験の受験票を持っていくのを忘れるな」
ってことぐらいかな?

なんとか入試を受けることはできたものの、人生で5本の指には余裕で入るレベルで焦って、試験どころじゃなくなるから。

別にその焦りが原因で入試に落ちたというわけではないけれども、
マジで心臓が口から出そうってレベルで死ぬほど焦ったし、n年経った今でも夢に見るぐらいにはトラウマになってるから、単純に自分のトラウマを増やさないために、十分気をつけてくれ。笑


ところで心臓といえば。
高校を卒業し、入試の結果も出て浪人が確定して少しした頃に、
離れて暮らしている君のお父さんが、心臓の病気で倒れます。

早朝、君のお母さんが尋常じゃない様子で、真っ青な顔で君を起こしに来たときの衝撃は、いまだに古傷として僕の中に残ってる。

卒業、受験失敗、浪人、(μ'sの活動休止)、それに加えてこれだ。

まだ高校生の君にとって、世界の大部分は学校と家庭が占めているから、
まさに「世界が終わってしまったんじゃないか」という気分でしばらく過ごすことになる。

ちなみに当時よく聴いてたμ's末期の曲とか久保ユリカさんの1stシングルの曲は、その時の記憶が癒着してて未だにあんまり聴けない……笑

君が救われる道は「自宅浪人」にある。

さて、ひとまず安心してほしいのは、不幸中の幸いと言うべきか、
君のお父さんはなんとか助かるということです。
一時は運が悪ければ本当にヤバかったらしいけど、今は健在でいらっしゃるのでね。

で、そんな風でまさに修羅場をくぐってきたばかりのお父上から、
「宅浪をしろ。行きたければ予備校に行っても良いが、それなら俺は応援はしない」
とのお言葉をいただきます。

状況が状況だし罪悪感もすごいし、もう実質的に強制宅浪ルートだよね。

自宅浪人をするよう命じられたのは、「罰」や「試練」としてだと思ってた。
浪人生は予備校に通うのが常識なのに、自分はプロの講師の授業も受けられなければ、研究され尽くしたカリキュラムも何もない!ハンデしかないじゃないか!と。

でも、これが功を奏したっぽいから不思議だよね〜〜。

「基礎」をナメてるから落ちる。

君は受験に失敗するわけだが、その原因はやはり「基礎固め不足」と言っていい。

基礎固めをしろ、とはホントに耳タコだろうが、今の君はまだその言葉の理解度が浅い。腑に落ちていない。

「基礎」というとどうしても「初歩」「簡単」みたいなイメージを抱きがちで、教科書の例題とか英単語が一通り出来るようになってれば基礎はOKなどと思うかもしれない。

ところが、単に例題が解けるとか単語帳を覚えたとかのレベルでは、「基礎固めができた」とは言えないと思う。
それらがただ解けるだけでは不十分で、目指すべきはそれらが反射で処理できるレベルにすること、それらの処理に割く脳のリソースを極限まで減らすことだ。

なぜなら、問題を解く上で、「脳のリソース、脳の筋力」は、君が思っているよりもずっと重要だから。

これは英語の長文を例にすると分かりやすくて、
中学2,3年にもなると基本的な単語も文法も大体覚えたと思う。
ところが、いざ長文を読むとなると、1文1文の単語と文法を処理するのに苦労して、最後まで行く前にバテバテになっていたのではないだろうか?

これが数学でも物理でも、あらゆる科目で起こっているのだ。
公式や定石の解法は知識としては頭の中にあるけど、目の前の問題に対してどれをどう適用していいかわからない。問題を読みほぐしていけない。


アニメ『Fate/stay night [Unlimited Blade Works]』より

たとえるなら、『Fate/stay night (UBW)』終盤の 衛宮士郎 vs ギルガメッシュ戦において、自身の固有結界内に先に剣を用意していた衛宮士郎がギルガメッシュの一手先を行ったのと同じ感じかな。


「自分に必要なことを自分の力で」やらないから落ちる。

参考書学習が優れているのは、「自分に必要なところだけを、自分のペースでやっていける」ところだ。
予備校の授業、それも集団授業ではこうはいかない。
情報の媒体として書籍・テキストが優れているのは、自分のペースで実質的に時間を加速したり減速したりが自在にできるところだ。よって、動画媒体が流行っている現代でもテキストは一定の需要がある。

また、何より、授業を聞いてわかった気になるのが良くない。

当然、プロの授業はわかりやすいと思うけど、わかりやすすぎるのも問題だと思うのよ。
なんというか、顎の力が弱くても飲み込みやすいように加工されてる感じ?
それよりも、初めは分かりにくくても、問題集の解答・解説の文を自分の顎の力で噛み砕く方が、得られる栄養は豊富、みたいな。

多分、自分の顎の力で噛み砕く方が、回答に至るプロセスを自分の頭であれこれ考えるから、結果的にポイントに気付いたときの学びが大きいんだと思う。
また、自分で頭をひねって考えたりあれこれ調べて得る気付きには、ストレートな結論以外の周辺情報あるいは「ノイズ」がくっついてくる。そこで、一見無駄に思えるそのノイズが、本質的なポイント同士を結合する橋渡し役になり得るのだ。

目の前の問題を解決するためには、当然その問題自体についてググるなり質問するなりして「こういう時はこうすればOK」というストレートな結論のみをゲットすれば良い。

ただ、ストレートな結論ばかりを集めても自分の頭の中には離散的なネットワークしか構築されず、知識同士が有機的に結びついていないから応用が効きにくい。
だからこそ、知識同士を結合するために、周辺情報あるいは「ノイズ」は必要なのだ。

イメージとしては、
ストレートな知識は「岩」、ノイズは「砂や泥」みたいな感じだろうか。



「受験生たるもの、寸暇を惜しんで勉強すべし。」
「遊びません、受かるまでは。」
みたいな価値観は、君らの学校の教室だけでなく世間にもあると思う。

まあ正論ではあるんだけど、

モンスターハンターで、武器の切れ味の低下を無視して戦い続けるよりも、少し攻撃の手を休めて武器を研いだ方が、結局は効率的にモンスターを倒せるよね?

わかってたと思うけど、やっぱりそれと同じだと思う。

そして、当たり前だけど、別に遊ばなかったからといって問題が解けるようになるわけでもないし合格可能性が上がるわけでもない。
娯楽を我慢したからといって、苦痛に耐えたからといって、それ自体は試験の答案になんの影響も与えないし、誰にも評価されない。

我慢を美徳とする価値観に浸ってきたんだろうけど、結果に寄与するかどうかをよく考えよう。


進路について

君はいまだに自分がどの学部に行くべきかわかっていないし、ぶっちゃけその辺はあんまりこだわってないよね。入りたい部活は決まってるくせに。笑

結局、「就職強いって聞くし、まあ無難に」みたいな理由で君は工学部に行くことになるけど、ぶっちゃけ微妙だったね。
理学部の方があってたのかな、どうかな〜って感じ。

でもしょーじきなところ、卒業した今でもどこ行くのが正解やったかはマジでわからんのよwwww
大学入って興味が色々散っちゃってるし、特に興味ある進化と人類の話は扱ってる研究室がない?っぽいし……。(近そうなのは一応あった)

ただ、どうせ学部とか研究室関係ない就職をするんだったら、工学部じゃなくて理学部で学問をキチッと学びたかったかな?




さて。
他にも言いたいことは山ほどあるが、キリがないのでこのくらいで。


エル・プサイ・コングルゥ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?