https://togetter.com/li/1397820

このエントリの何が興味深いかというと，飼料用コーンはアメリカで大量生産されていて，作りすぎて余っているので日本が前倒しで買い付けたことに端を発する．日本も飼料用コーンの不足が叫ばれているのであるが，それよりも消費増税に伴った食料品の価格上昇が懸念されている．さらに食料自給率の低さと消費増税の煽りの2点が組み合わさり，日本もとうとう食べるものを選んでいる状態ではないというのを予感させるエントリだった．

飼料用トウモロコシには様々な品種が存在する．それこそ鳩用のエサから牛用の飼料まで様々だ．食用に適さず，デンプンだけ大量に含まれているのがデントコーンという品種になる．上記のエントリもデントコーンを食したのだろう．

調べた中だと入手が最も簡単そうだったのが鳩のエサだった．

https://item.rakuten.co.jp/saitoucopo/us-5kg/

トウモロコシの栄養価

トウモロコシは米と比べると栄養価が高い．まずミネラルとビタミンが豊富だ．カロリーベースだと米に劣るものの，ビタミンB類やビタミンEが含まれているのは食料として優秀だ．

ミネラルもカリウム，カルシウム（少々），マグネシウム，亜鉛と，日常的に食していれば栄養不足で困ることはないだろう．

米はカロリーは高いもののビタミン類が少ない．米は確かに旨いのであるが，その旨さは炭水化物が異常に多いからにほかならない．

トウモロコシの加工

一番上のエントリでも紹介されている通り，飼料用コーンは「歯ごたえのある虚無」という評価以外つけられないだろう．加工なしでは食事するのがつらい．

湯通しや焼くなどの方法を検討しているが，そもそもトウモロコシには何で構成されているのか検討しなければ加工方法も選べない．

トウモロコシの加工食品としてコーンスターチが挙げられる．コーンスターチは言うなれば片栗粉だ．片栗粉はジャガイモを原料として，そのほとんどがデンプンで構成されている．

コーンスターチは第三のビールやトルティーヤなどの原料として使われている．使いみちは様々であるが，トウモロコシの豊富な栄養素は殻に宿っている．コーンスターチに加工すると栄養価がガタ落ちする．

できれば臼か何かで粉々にしたほうが，栄養価が高いままで食せるのであるが，臼を稼働するには手間がかかる．かと言って殻は硬すぎる．

殻はアルカリ性の重曹や灰などに漬け込むことで一応除去することはできる．アルカリ水に漬け込む作業のことをニシュタマリゼーションと呼ぶらしく，オルメカ文明では重宝していたらしい．

この処理を行うことで必須アミノ酸やナイアシンの吸収率が高まるらしい．トウモロコシの殻を柔らかくすることで，加工しやすくなるだけでなく，欠乏性疾患の予防にもなる．

このまま食べると大量のデンプン摂取によって膵臓が疲弊する．デンプンを糖に分解するため，膵臓はアミラーゼを大量に分泌しなければならない．アミラーゼは唾液にも含まれている．

アミラーゼによる糖と発酵

精神衛生上あまり良くないかもしれないが，一旦加工済みのトウモロコシを噛んで唾液と混ぜたものを吐き戻して発酵させる方法もある．

唾液にはアミラーゼが含まれており，日本古来から口噛み酒として親しまれていた．何かの映画で見たような気がしないでもない．アミラーゼはデンプンを糖に分解する．そこへ野生酵母が存在すると糖を分解して発酵し，アルコールが生成される．野生酵母は米麹でも代用できると思う．

発酵した液体を蒸留すればバーボン，そのまま飲めばコーンリカーになる．どちらも立派な密造酒だ．

しかしながら，アミラーゼがデンプンを糖へ分解するのは魅力的で，どうなるかわからないが甘みが出てくるのか大変興味が出てくる．精神衛生上あまりよくないが．

いずれにせよ，アミラーゼが含まれているのはダイコンと唾液ぐらいしかない．舌を楽しませるにはダイコンを使うしかないが，ダイコンでデンプンを分解すると大変臭いらしい．口噛みで我慢しよう．

食感と味

いずれにせよ，デンプンは歯ごたえのある虚無だ．歯ごたえがあっても虚無であってはならない．ニシュタマリゼーションで殻を取り除きつつ，唾液も投入して糖を作る．これで多少は甘くなるはずだ．

あとは醤油につけて焼くとか，すりつぶして固めるとか，文化圏ごとの調理方法が楽しめる．ニシュタマリゼーションのおかげで柔らかくなっているので，煮たり焼いたり好きにできる．

ただし，どうやらトルティーヤにするには小麦を混ぜなければ固まらないらしい．片栗粉にしかならないとなると，調理に使うには難しい……．