見出し画像

プラントベースフード開発の軌跡#1:事業を新たに立ち上げようと思ったきっかけ

事業を新たに立ち上げようと思ったきっかけ

2020年夏ごろに観たカウスピラシーというドキュメンタリー映画がきっかけです。当時妻がエシカル協会の講座を受講していて、どこかこの領域が気になっていたんだこともあり、ふとこのコンテンツを選んで観たんですが、これまで全く知ることのなかった情報が詰まっていて。どこか感情に訴えかける、定性的だったり情緒的な環境関連のコンテンツが多いなか、この映画は定量的に、ロジカルに人間の食べるものと環境問題について説明してくれるので、スッと腹落ちしたんですよね。

この映画でフォーカスされているのは主に畜産・酪農と環境問題の関係性。家畜として飼育されている動物たちの生育にかかる環境負荷を詳らかに説明してくれているんです。

画像3

家畜とメタンと温暖化

例えば家畜の中でも特に反芻動物が多く輩出するメタン。牛は胃が4つあって、第1胃にいる微生物が植物性繊維を発酵分解する際の副産物として水素が発生します。これを胃の中の微生物がメタンに変換するという流れでメタンガ生成されます。それでも、家畜のゲップやオナラと言われても正直僕もほんとにそんなことある?ゲップとオナラで温暖化?と懐疑的だったのですが、メタンは二酸化炭素の約20〜25倍程度温暖化効果が高いと言われています。つまり少量でも排出されることで温暖化に繋がりやすいことが分かります。

国連のデータによると、家畜の環境インパクトはげっぷやおならに関連するメタンガスの排出だけでも、自動車とトラックのCO2の排出を合わせたよりも害が大きい。人類の活動に関係する温室効果ガス排出の9%ほどを占めていると言われている。そして、なんと世界のメタンガス排出全体の37%が動物の体内で発生するガスに由来する。(WIRED NEWS

画像4

家畜が排出するガスの量

次に家畜の排出するガスの量が多いこと。牛は最大で320ℓ/日のメタンガスをゲップやオナラとして排出すると言われています。成人した人間が最大で2ℓ/日のガスを排出すると言われているので、人間の160倍程度の量になります。牛一頭ごとでも多いガスの排出量に家畜として飼育されている牛の頭数が掛け算されます。現在全世界で飼育されている牛は実に15億頭と言われています。ガス排出量が人間の160倍程度なので単純な掛け算をすると人間2400億人程度のガス排出量になります。地球3個分の人口ですね。

ただ、牛は自然増で15億頭まで増えたわけではなく、人間の食生活を支えるために人間に増やされてきたので罪は全くありません。象の生息数が50万頭程度と言われているので、その数の多さが分かりますよね。

画像4

家畜の生育に必要な餌と土地

そしてもう一つ非常に気になったのが、生育に必要な餌の量と面積です。家畜の牛に必要な飼料は10kg/日程度、飲む水の量は100〜200kg/日と言われています。また食用肉として育てられた牛が成長して800kg程度になったとしても、スーパーで精肉として販売される際には約30%(248kg)程度に。生育に必要な飼料・水等は大変多いですが、歩留まりが良いとは言えず、食料としての生産効率が高いとは言えません。因みに環境省が提供しているバーチャルウォーターというサービスを使うと食べるものの生産に必要な水の量が計算出来て参考になります。

面積について言うと、野菜は600平方メートルあたり17トンの生産が可能だとされる一方で食肉は同じ面積で170kgの生産量になる。じつに1%程度の生産効率だと言われている。これが結果的に南米などで特に注目されている熱帯雨林等の伐採に繋がる。例えばアマゾンの伐採の91%程度は畜産に起因するものだと言われている。生産効率の悪い食肉を、多くの人が欲すること、これに加えて人口増加と肉食人口が増えることで、全世界的に莫大な飼料と土地が必要になるという流れが上記から理解出来ます。なお、人類は21.6万人/日増えている。物凄いペースです。これが2030年には動物性タンパク質の供給が需要に追いつかなくなると言われる所以です。

画像5

事業立ち上げに至った経緯

上で記述したことを知ったらもういてもたってもいられなくなりました。毎日人が増えて、食べるものが必要になって、食べるものの環境負荷がとても高いものを選んでいるとしたら地球は近いうちに持たなくなる。この可能性を知ったと同時に、自分の子供たちの将来に不安を感じました。というか、不公平さを感じました。この子達が大きくなった時に暮らしづらい地球、社会になってたら今の大人の責任だなと。で、「考えて動ける大人としての責任を全うしよう」と思ったわけです。

僕らは2020年まで法人向けのサラダ定期配送サービスを運営してきましたが、2020年8月頃から本格的に上記課題解決につながる糸口を探し始め、10月ごろに現在の事業アイデアの原型が出来上がり、こちらによりフォーカスをしてリソースを充てるためにも、2021年1月に一般消費者向けのサラダ事業は一旦クローズしました。

2020年10月に現事業(冷凍プラントベースフードの定期配送サービス)の原型が出来上がってから学生時代や社会人になってからの同期を中心に事業に興味を持ち、共感してくれた仲間とサービスの構築を本格的に始め、現在は4月から始めるクラウドファンディングの準備や商品開発に追われています。自分たちのサービスが少しでも早く、少しでも多くの人に使ってもらえればそれだけ地球にも次の世代にも良いことだと信じて、毎日取り組んでいます。

画像5

温室効果ガス排出に課題を感じ電気自動車に乗る人がいるように、僕らの場合は食事を選択することで同じ課題に取り組める環境を作ります。車の乗り換えは3〜5年程度のサイクルだと思いますが、食事は日に3回という高頻度で発生するイベントで、人にとって身近な選択だと思います。1日1食を変えると言うことからも取り組めて、負荷は高くないはず。どちらかと言うと食事と環境問題が繋がっていると言うことを知ってもらえるかどうかが課題だと思っています。

地球を良くしたいという感覚はみなさん等しく持っている感覚です。より多くの人にこういった情報を得てもらい、そこに選びやすい選択肢を用意するということがサービスを通して出来れば幸いです。将来的には上場を目指しており、こういった思考を持った奴らが上場する時代なのかと社会に訴えかけたいのと、上場により資金を得ることでこれまで以上に食の環境負荷を下げることに邁進出来ればと考えています。

事業に協力したいという方、bosyuもしていますのでお気軽にDM下さい!


サポートありがとうございます。新しいレシピ探しに出てきます。