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ブランドコンセプトから考えるロゴデザイン

※こちらの記事は2021年時点での考え方をベースにしています。現在はよりお客様の力になれるようにプロセスにかなり改変を加えております。

お客様から、「ロゴをつくってもらったが、満足いかない。」「今のロゴを使い続けていいのか迷っている」

というご相談を受けることがよくあります。

事業の状況によっては、大幅にロゴを変更せざるを得ないこともあると思いますが、多くの場合、そもそも本来のありたい姿が不明確であることから迷われている状況に思えます。

このような問題を避けるために、私たちが、普段お客様と取り組んでいてご満足いただけることが多い「ブランドコンセプトから考えるロゴデザイン」のプロセスをお話しさせていただきます。

冒頭のようなことをご経験ある方、またはこれからロゴ制作を検討されている方の何かしらのヒントになれば嬉しいです。


なぜ納得いかないロゴデザインになってしまうのか?

納得いかないロゴデザインになってしまう原因の1つには、そもそも事業のブランドが曖昧なまま、ロゴ制作に取り掛かってしまっていることがあると考えています。

ロゴは本来ブランドの旗印となるものであり、ブランドが決まっていない状態でロゴだけ作ろうとしても、何を基準に決めていいのか分からなくなりやすいです。

下の図でいうと右側のグレーの部分から始めてしまっていることに原因があり、「意味のある」ロゴデザインを制作するためには図のゴールドの部分からしっかり詰めていく必要があると考えています。

どういったブランドなのかを定義づけた上でロゴをデザイナーに依頼すれば、より納得感のある「意味のある」ロゴデザインを受け取ることができる可能性が上がります。

そもそも「意味のある」ロゴデザインとは?

前述で「意味のある」ロゴデザインという言葉が出てきましたが、意味のあるロゴデザインとは一体何なのでしょうか。

グリズリーデザインでは「意味のある」ロゴデザインを以下のように定義しています。

※お客様の状況によっても「意味のある」は異なってくる場合もありますしデザイナーによって考え方は異なるのでこれが正解です!といっている訳ではありません。

文章だけだと少しわかりにくいと思うので、1つずつ簡単にですが解説をさせていただきます。

① 会社やブランド・サービス全体をコントロールするための旗印

ロゴがあることによって、会社や商品、サービス、そして事業者様や社員様が向かっていけばいい場所がわかるということです。

ロゴが単なる飾りで作られたものであれば、どこに向かっていけばいいのか示してくれる旗印(目印)にはなりません。

会社やブランド・サービス全体をコントロールするための旗印があることでどこを目指して歩いていけばいいのか(サービスや商品を作っていけばいいのか)見えてきます。

ロゴが地図の旗印(目印)になってくれているイメージです。あの山に登っていけばいいのね!と言った感じで目印になってくれます。

② 会社やブランド・サービスの世界観をつくる際の旗印

ロゴが旗印となっていることで、他のクリエティブの基準を定めることができます。

何かクリエイティブを作る際の旗印(目印)になってくれるイメージです。

そういったクリエイティブの旗印がない場合は下記のように全てのクリエイティブがバラバラの方向に作られてしまい、お客様からするとサービス・企業として何を目指しているのかわからない状態になってしまいます。

参考:ニューヨークのアートディレクターがいま、日本のビジネスリーダーに伝えたいこと

反対にロゴが世界観を構築する旗印の役割を担ってくれていると、全てが旗印を目指して一貫性を持ってつくられ企業やサービスとして目指しているものがお客様に伝わりやすくなります。

③ ブランドやサービスを利用してくれるお客様にとっての旗印

これは当たり前の話なのですが、ロゴが印字されていることによって一目で「〇〇のブランド」の商品だとわかります。

似たような様々な商品があった時にロゴが入っていないと、どこのブランドのものかわからず迷ってしまいますが

ロゴが入っていることで、一目で「〇〇」のブランドだ!とお客様に認識してもらうことができます。

簡潔な説明になってしまいましたが、私たちは上記の3つの条件を押さえたロゴデザインを「意味のある」ロゴデザインだと定義をしています。

どうしたらこの3つの条件を押さえたロゴデザインになるのか?

「意味のある」ロゴデザインについては定義しましたが、どうしたらこの3つの条件を満たすことができるのでしょうか。

その答えは、ブランドの本質である「ブランドコンセプト」を形にすることです。

※「ブランドコンセプト」については後ほど詳しく説明をしています。

「ブランドコンセプト」を元にロゴデザインを考えていくことで

①会社やブランド・サービス全体をコントロールするための旗印

②会社やブランド・サービスの世界観をつくる際の旗印

③ブランドやサービスを利用してくれるお客様にとっての旗印

先ほどの3つの条件を満たすことができると考えています。

ブランドコンセプトを定義するためにブランディングから考える

「意味のある」ロゴデザインを作るためにはブランドの軸を定めることが非常に重要になってきます。

ブランドの軸を定める為に、ブランドコンセプトの策定をどのように進めていけばいいのか、このnoteでお伝えしていきます。

それぞれの詳しい内容については後ほど説明していきますが下記のような順番でブランディングを進めていきます。

⓪ブランドストーリー

①ターゲット・ペルソナ

②プロダクトベネフィット

③ブランドの価値

④ブランドの人格

⑤ブランドの目指す未来

⑥ブランドコンセプト

⑦ブランドの位置づけ

⑧ブランドが顧客に約束すること

⑨ブランド起点の施策発想

⑩タグライン

そもそもブランド、ブランディングとは?

実際のブランドコンセプトの策定プロセスを説明する前に、私たちの考える「ブランド」「ブランディング」についての定義をさせていただきます。

あくまで私たちの考えであり正解ではありません。現状「ブランディング」という言葉は人それぞれ定義が違う状態です。どの定義も間違いではないと思いますし、必ずしも正解というわけではないと思います。

そもそも「ブランド」や「ブランディング」とはなんでしょうか?

よく「ブランディング」と一緒に出てくるキーワードである「マーケティング」と「デザイン」の関係性を定義させてください。

本来、事業を構成する要素はもっと沢山ありますが、下記の図はわかりやすいようにキーワードを絞っています。

ブランドとはこの木の全体を意味するものであり、ブランディングとはそれを形作っていく事であると私たちは定義しています。

木の根や幹にあたる部分を「Brand Concept(ブランドコンセプト)」

木の枝の部分を「Marketing(マーケティング)」

葉や実を「Design(デザイン)」

として捉えています。

そしてこれを具体的に表現すると下記のような図になると考えています。

ブランドコンセプトは木で例えると土台に当たる部分になります。ここが貧弱だとどれだけマーケティングやデザインに力を入れても意味のない状態になってしまいます。

そしてこれも具体的に表現すると下記のようになると考えています。ブランドコンセプトが定義されてないことで、様々な施策が様々な方向性に作られ、摩訶不思議なブランドが完成します。

摩訶不思議な状態だとお客様からすると、このブランドは訳のわからないブランドとなり、良いなと思ってもらいにくくなると考えています。

木の土台部分である根や幹がしっかりしてないと、枝葉や実に栄養はいきません。なんならちょっとした風が吹けば折れてしまうかもしれません。

それは事業でも同じで、やはりブランドコンセプトがしっかりしていない事業はどれだけマーケティングやデザインに力を入れても成果が出にくい状態になってしまいます。

参考:ロゴを軸とした強いブランドデザイン実践講座

だからこそ、根や幹に当たる「Brand Concept(ブランドコンセプト)」の部分をしっかり定義する必要があると私たちは考えています。

そしてこの根や幹に当たる部分をまずはじめにしっかり定義していくことを私たちは大切にしています。

そしてロゴデザインについても、この「ブランドコンセプト」から滲み出た「らしさ」を形にすることが大切だと考えています。

このブランドコンセプトをしっかり定義していくプロセスをこれから説明させていただきます。

ブランドコンセプトシートについて

私たちが普段、お客様と取り組んでいて、ご満足いただけることが多いブランドコンセプトシートを元に、進め方をご説明いたします。

各シートの目的、気を付けているポイント、よくいただく質問などに絞ってお伝えします。

ブランドコンセプトシート(旧版:2021年)はExcelファイルにて添付しておりますので、ご興味ある方はこちらからダウンロードいただけます。

※1 こちらのシートは旧版(2021年)のものになります。配布用で平均的に使えるものにアレンジしているものになります。実際にグリズリーデザインでお客様のお手伝いをさせていただく際はシートをお客様の状況に合わせたものに変更しております。

※2 こちらのシートはgooglesheetsをExcelに変換したものになります。レイアウト等が少し崩れておりますので、ご活用いただく場合はご修正ください。

尚、ブランドコンセプトシートに取り組む際は、事業主(ブランドオーナー)のみで書き進めていただく形でも問題ありませんが、第三者(チームメンバー)と一緒に進めることでより客観的に考えることができます。

参考資料

私たちが上記の方法を行うにあたり、下記の本を特に参考にさせていただきました。

それではブランドコンセプトの策定プロセス⓪〜⑩を項目ごとに分けて説明させていただきます。

⓪ブランドストーリー=PURPOSE

【目的】

ブランドコンセプトの策定に取り掛かる際、まずはブランドオーナーがご自身のことをよく理解するところから始めます。

会社や事業、ご自身のバックグラウンドを記入していただきます。私たちがご一緒にお取組みさせていただく際には、ご回答を深堀します。

そうすることで、ご自身が何に価値を置いて会社や事業を立ち上げ運営するのか丁寧に理解していただきます。

【気を付けている点】

ご自身で思っていることは包み隠さず、素直に書いてみてください。一つの感情・想いに対して、なぜ自分はそう思う・考えたのか自問自答してみると、自己理解が進みます。

(例えば、事業を立ち上げてもっと売上を上げたい。という想いに対し、なぜ売上を上げたいと思ったのか、売上を上げた先に得たい感情は何なのか、その先に何を望むのか。と深堀していくことが大切です。)

【よくある質問】

Q. 人生において目指したい未来が明確になっていません

A. 自己を理解しようとするプロセスが重要です。必ずしも現時点で明確にさせる必要はありません。これからブランドコンセプトの策定を進めていく中で見えてくる部分もあります。

Q. 気持ちを言語化できません

A. もしもご自身で上手く言語化できない場合は、第三者にインタビューしてもらうなど話をしてみるのがおすすめです。

※オートクライン効果といって、自分が話したことば(内容)を自分で聞くことによって、自分が考えていたことに気づくことがあります。誰かに話すことで結果的に自己理解に繋がることがあります。

①ターゲット・ペルソナ

【目的】

ターゲット、ペルソナを決めることで明確に誰にとってのブランドであるかを考えるようになります。

このシートから決めていくことで、お客様目線の客観的な視点を持ちながら、ブランドの各項目を検討することが可能になります。

【気を付けている点】

ターゲットに関しては市場規模やニーズ、競合環境などを可能な限り調べ、ビジネス機会があることを事前確認できていることが望ましいです。

ペルソナはターゲットの中でも特に際立っている人物像であり、具体的に実在する人物であることが望ましいです。

実在する人物であれば、今後マーケティング施策等を検討する際にも、その方の反応などを想起しながら検証を行うことが可能になります。

【よくある質問】

Q. ペルソナは、どこから探せばいいでしょうか…

A. ご自身の身の回りで事業に興味をもってくれそうな人やSNSなどで競合となる商品を愛用している人などを参考にしてみてください。事業に親和性の高い商品・サービスは何だろうと考えて、周辺環境からあたっていくと検討しやすいです。

Q. 事業がBtoBの場合、ペルソナはどのように決めればよいでしょう

A. あくまでご自身が直接やり取りするであろう方を対象者とする方が望ましいです。仮に対象者に決裁権限がないことも考えられますが、どのように決裁を出来るように伝えていくかが重要になるため、あくまで直接影響を伝えることが出来る方を対象にする方が良いでしょう。

②プロダクトベネフィット

【目的】

既に発売済みまたは展開予定の商品やサービスについての顧客への利点について書いていただきます。

この時は前回ご作成いただいた ①ターゲット・ペルソナ に沿ったものになっているか確認します。ターゲット・ペルソナにとって何が価値と思ってもらっている、またもらえるのか考えます。

【気を付けている点】

競合を意識しても、していなくても構いません。ターゲットがご自身と異なる場合は、独りよがりにならないよう注意しましょう。

例えば、実際のお客様の声などを入れるとよりリアルな強みを発見できます。

【よくある質問】

Q. 競合に比べて優位な部分が見当たりません

A.必ずしもこの段階において競合より優位な部分を見つける必要はありません。それよりもお客様にとってどう喜んでもらえるかを考えることの方が重要になります。優位な部分はその結果生まれるものであるとご理解いただければと思います。

③ブランドの価値

【目的】

ブランドの提供する価値を機能的属性と感情的属性の両面から組み合わせていきます。

②プロダクトベネフィット で記入した利点を機能的属性に細分化します。

次にお客様に思ってほしい感情を感情的属性として細分化します。

【気を付けている点】

機能的属性は商品やサービスの実質的な強みのため、普遍的な要素が多くなります。

感情的属性はお客様に感じてほしい感覚を形容詞や名詞で表現すると分かりやすいです。

【よくある質問】

Q. ブランド価値の文章がうまくまとまりません

A. 文章自体をうまくまとめる必要はありません。ブランドオーナーやチームのメンバーが理解できることが重要で、理解できるものであれば問題ありません。

④ブランドの人格

【目的】

ブランドに人格を持たせた場合に表現できる形容詞や名詞を記載します。

そして、具体的な芸能人や世界観のイメージがあれば記載します。

ブランドに人格を持たせることでよりブランドからの発信に統一感、世界観が生まれます。

【気を付けている点】

まずは思いつくままに列挙し、その中から、特に大切だと思うものを数個(5個程度)絞ります。

その商品、サービスのどういう点がその形容詞、名詞に繋がっているのか考えるとやりやすいです。

【よくある質問】

Q. 相反する形容詞、名詞が並んでしまいました(例:挑戦的⇔手堅い)

A. 問題ありません。相反する性質も持つこともブランドの人格として十分に有り得るからです。

Q. ぴったりイメージできる芸能人が見つかりません

A. 無理に見つける必要はありません。あくまでもブランドをあらわす形容詞、名詞を引き出すためのきっかけとお考えください。

⑤ブランドの目指す未来=VISION

【目的】

ブランドストーリーと似ていますが、改めてここまで棚卸した内容を踏まえて、どこを目指すブランドか考えます。

【気を付けている点】

初回に記入した ⓪ブランドストーリー から、①ターゲット・ペルソナ、③ブランドの価値 等の記入内容を見返して、再考します。

【よくある質問】

Q. ブランドストーリーと少し変わってしまったのですが

A. 客観性が入っているため、変わるが場合が多いです。

Q. 言語化できません

A. ⓪ブランドストーリー 同様この時点でも、インタビューしてもらうのがおすすめです。

⑥ブランドコンセプト=MISSION

【目的】

②〜⑤の内容を整理した上、特に重要な要素を抜き出し「ブランドコンセプト(このブランドはどんなブランドか?)」を一言でまとめます。

【気を付けている点】

「ブランドコンセプト(このブランドはどんなブランドか?)」を記入したら、少し時間をおいて、見返してください。

違和感がなく、しっくりくるかどうか確認していただきます。

カッコいい文章にする必要はありません。お客様に見せるためのキャッチコピーではなく、あくまでこのブランドはどんなブランドか定義したものになります。

【よくある質問】

Q. ブランドコンセプトを作ってみたのですが、しっくりきません

A. ブランドの価値と違い、ブランドコンセプトはブランドの旗印となるものです。何度も書き直して、自分の伝えたい表現、腹落ちする表現を模索する方がよいと思います。一度決めたら、そう簡単に動くことはないものとお考え下さい。

Q. ブランドコンセプトがうまくまとめられません

A. ②〜⑤の中で特に重要だと思う単語を抜き出し列挙してみてください。列挙したものを叩き台でいいので文章に変えてみると少しずつブランドコンセプトが見えてきます。

⑦ブランドの位置づけ

【目的】

競合となるブランドと比較してどういう立ち位置にいるブランドでありたいのか明確にします。

最終的には4象限にてブランドのポジションを決めます。

【気を付けている点】

軸を考える際には、自社ブランドが他社ブランドと明確に差別化できている軸であること、軸がお客様にとっての価値になっていることの2点を踏まえて考えてください。

軸はあくまでお客様視点での言い方に変えると良いです。(例:種類が多い→お客様が最適なものを選べる)

【よくある質問】

Q. 業界調査を綿密にしている必要はありますか

A. もちろんしていることが望ましいですが、ここでの位置づけは、こうありたいという位置の把握であるため、市場規模等の定量的データよりは顧客視点での見方が重要になります。※ただし、ブランドを立ち上げる前に市場規模等の業界調査は行っておくことは重要です。

Q.軸をどう決めたらいいかわかりません

A. 他社と比べて際立っているもの、顧客にとって一番価値の高いものを踏まえて厳選した2軸を取ることが望ましいです。

⑧ブランドがお客様に約束すること=VALUE(行動規範)

【目的】

ブランドが社会やお客様に約束することを考えます。

そのためにブランドのどのような価値を磨いていくべきか明確にします。

【気を付けている点】

磨くべきことが ③ブランドの価値 と繋がっていることを確認してください。

今後ブランディングをしていくにあたり、約束したことを維持し続けることが重要です。

【よくある質問】

A. この約束はどういうときに使いますか

Q. 例えば、何か新しいマーケティング施策を検討する際に、約束を反する内容になっていないかなどの確認に使います。

⑨ブランド起点の施策発想

【目的】

お客様にどのような体験をしてもらえば、 ③ブランドの価値 を体現できるか具体的な施策を考えます。

【気を付けている点】

機能的属性と感情的属性がしっかりと繋がるような施策であることが重要です。繋がらない場合は繋がるような施策に変える必要があります。

【よくある質問】

Q. 考えた施策が全ての感情的属性に繋がりません。

A.どれか一つに繋がっていれば大丈夫です。複数の案がある場合はそれぞれの感情的属性に繋がるような施策であれば、ブランドの幅が広がります。

⑩タグライン

【目的】

ここまで整理した項目を一言でまとめます。⑥ブランドコンセプト、⑦ブランドの位置付け、⑧ブランドがお客様に約束すること、を参考にしていきます。

【気を付けている点】

ペルソナが十分に理解できる文章になっているか確認した方がいいです。

タグラインとはブランドの世界観をよりわかりやすく、浸透しやすく定義したものになります。

キャッチコピーは消費者を魅せるためのもの、タグラインはブランドを定義するためのものです。

【よくある質問】

A. 考えたタグラインから全てが伝わりません

Q. タグラインはここまで整理したブランドの世界観を端的に表したものになります。タグラインをお客様が見たとき世界観を少しでも感じられることが大切です。※少々抽象的な文言になります。

ここまででブランドコンセプトシートは一旦完成になります。

ただしブランドコンセプトは市場の状況や、社会情勢、ブランドオーナーや社員様の状況の変化なども考慮し少しずつ補正をかけていく必要もあります。

一度できたら完璧ではなく、定期的に見返し軌道修正を行なっていくことでより良いブランドになっていくと私たちは考えています。

続いてブランドコンセプトシートで決めたことをもとに、どのようにロゴデザインを制作していくのか見ていきたいと思います。

「意味のある」ロゴデザインを制作するためのプロセス

noteの序盤でどのようにしたら「意味のある」ロゴデザインができるのか、そして中盤からはその肝であるブランドコンセプトの策定の進め方を説明させていただきました。

ただし、これでロゴデザインに進めば完璧!ではなく、、、「意味のある」ロゴデザイン制作とするためには、プロセスもとても重要になってきます。

私たちもブランドコンセプトから共に考える場合は、少なくとも10時間以上のヒアリングを行っていますが、長年ともに過ごしている家族のことですら100%理解できていないので、お客様のことを100%理解できているというのは嘘になると思っています。

そのためロゴ制作のプロセスにおいて私たちは以下の点を大切にしています。

・いきなり完成を目指さずリスクを最小限にする

ロゴデザインは1mm単位でこだわる必要があるため、完成にとても時間がかかります。お客様のブランドの中心となるデザインであり、また長年使っていただくデザインなので、検証を時間をかけて何度も行なっていきます。

そのため、ヒアリングの後にいきなり完成されたデザインを提案するようにしてしまうと、お客様もデザイナーも予算面や時間の面で後戻りすることが難しくなってしまい、最悪の場合、満足していないロゴデザインを使わないといけなくなってしまいます。

だからこそ、完成度60%~80%程度でまずはロゴデザインの方向性を確認するようにしています。

このプロセスを踏むことで、ロゴデザインの方向性を確定した後に、ロゴデザインの細部を時間をかけて詰めていくことができるので、細部を詰めた後に不要な後戻りをするということがなくなります。

お客様にとっても、デザイナーにとっても、安心した進め方を取ることができます。

・「ブランドコンセプト」を判断基準にする

よくデザインで置きがちな間違いとして「事業者の好み」のデザインにしてしまう事があります。

「事業者=ターゲット」であればまだ問題ないのですが、そうでない場合は「事業者の好み」を判断基準にしてしまうことはかなり危険です。

このnoteの序盤に「意味のある」ロゴデザインにするためには「ブランドコンセプト」を形にすることが大切であるとお伝えしました。

そして中盤で解説したブランディングを進めることで「ブランドコンセプト」が定義できた状態になっています。

ロゴデザインを提案する際は、お客様にブランドコンセプトを判断基準にしてもらうようにしています。

失敗しない「意味のある」ロゴデザインを制作するためのプロセス

※デザイナーによって進め方は様々なのでこれも正解では決してありませんが、私たちは上記のことを踏まえて以下の制作プロセスを踏むようにしています。

いわゆるヒアリングの行程はブランドコンセプト制作の際に行なっているので、プレゼンテーションの行程から説明させていただきます。

①一次プレゼンテーション

一次プレゼンテーションはブランドコンセプトシートで定めた「ブランドコンセプト」を判断基準により良いロゴデザインの方向性を探るフェーズです。

一次プレゼンテーションでは手書きで沢山考案した案の中から「ブランドコンセプト」をしっかり抑えているロゴを完成度60%~80%程度まで作り提案しています。

私たちの場合は平均2~3案を提案させていただきます。大体の場合、初回提出の2案の中から決まることが多いですが、この段階で「これで行こう!」と思える案がない場合や、追加でこういった方向性もあるのではないかと打ち合わせでなった場合は案を追加していくようにしています。

A案:方向性が決まった後に検証を行うため完成度は70%程度
B案:方向性が決まった後に検証を行うため完成度は70%程度

参考例として私たちのロゴデザインを掲載しております。

②二次プレゼンテーション

一次プレゼンテーションで方向性が決まったあとは、その決まった方向性のデザインを様々な項目で検証してデザインとしても美しく、耐久性が高くなるように設計していきます。

この段階でロゴデザインにかなりの時間をかけます。毎日つくっては印刷して壁に貼り、違和感を見つけていく、そして修正をする、この繰り返しを行なっていきます。

グリズリーデザインのロゴについても、検証を重ねていきました。

そして検証に検証を重ねたデザインをお客様にプレゼンテーションさせて頂きます。一次プレゼンテーションで方向性は確定しているため、この段階での修正はほぼありません。

OKがいただけた場合は検証に検証を重ねたロゴですが、さらに綺麗な状態にしていきます。

印刷して1日で何度も目にするところに貼り、違和感が見つかれば、色々と書き込みを行なっていきます。

そうすることでロゴデザインを完成させていきます。

ロゴは一度納品すると、簡単には修正ができないので、お客様に胸を張って使っていただくためにも、自分たちが後悔しないためにも、微々たる差かもしれませんが最後まで抜かりなく仕上げるようにしています。

終わりに

少し長くなりましたが、ブランドコンセプトから考えるロゴデザインの進め方についてお話をさせていただきました。

あくまで私たちのやっているやり方、考え方ですが、今回の記事が少しでも読んでくださっている方の参考になれば幸いです。


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