見出し画像

本日の読書 #026 「消えていく職人たち」

参考書籍:『ナショナルジオグラフィック』2024年1月号


作成した読書記録より引用。

消えていく職人たち。
イギリスのステンドグラス職人はいま、60人にも満たないそうだ。

イギリスに限らず、伝統的な工芸品の職人は世界中で激減している。
これは言うまでもなく、大量生産・大量消費の社会が引き起こした、工芸品に対する「需要の低下」と、
少子化・核家族化などが招いた「後継者不足」のせいである。


日本でも「伝統工芸職人」のうち約4割が廃業の危機に瀕している


職人が居なくなるということは、日本で培われてきた伝統的な品を造ることが永久にできなくなることを意味する。
もちろん設計図は残るだろうが、「力の入れ具合」や「色の濃淡」のようなそれこそ「職人技」に当たる技術は失われる。

それはとても嘆かわしいことだと思うのと同時に、「どの口で言うのか」と自分でも思う。
私は萩焼の食器でご飯を食べているわけでもなく、南部鉄器の急須でお茶を沸かしているわけでもない。
西陣織も結城紬も、羽織るどころか触ったことすらない。

たとえるなら、ろくに行かなかったカフェが潰れて「好きだったのに」と言っているようなものだ。

それでも、どうすれば伝統工芸品が息を吹き返すのかは考えてみたい。


***


現代において仕事は「生活」と密接に結びついている。
ほとんどの人は収入がなければ生きていくことができない。

そうすると「職人」のような、一見すると前時代的に映る職業は「安定していない職」とみなされてしまう。

後継者が居ないのも、有り体に言えば「それで食べていけると思えない」からだろう。


しかし、もし仕事が「お金のため」や「生活のため」ではなくなったら。
職人仕事はまた息を吹き返すだろう。


過去にこのような記事を書いた。

これは衣食住が無料化した世界のことを想像して書いたものであるが、
もし我が子がこのような世界を生きるのであれば、地元の工芸品を復活させる活動に人気が集まるだろう。

それはまさに、その時代に最も強く求められる「やりがいのある仕事」「自己実現欲求を満たす仕事」であるからだ。


その時、「誰もが似たような服を着て、似たような食器で、似たような食事をする時代」が終わるのかもしれない。

#本日の読書
#ナショナルジオグラフィック

この記事が参加している募集

読書感想文

いつもサポートしていただきありがとうございます。 頂いたサポートは全て、近隣の本屋さんで書籍の購入に使わせて頂いております。