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【教養編】2023年に読んだ本、オススメ3選。

私が2023年に読んだ50冊の本の中からオススメを紹介するシリーズ。

私の発信のテーマである「子育て」「ビジネス」「教養」についてそれぞれTOP3、そして番外編を加えた「今年の10選」を発表していきます。

今回は第三回。「教養」編です。
知識を深める上で役に立った本を3冊紹介します。
番外編として「おもしろ枠」も入れてあります。


バックナンバーはコチラから。
第一回「子育て編」

第二回「ビジネス編」


※ あくまで「今年読んだ」本であり、必ずしも「今年発売した」本ではありません。
※ Amazonアフィリエイトには参加しておりません。

それではよろしくお願いします。


オススメ本3選 : 教養編


第三位 『言語の本質』

「子育て編」でオススメした『算数文章題が解けない子どもたち』の著者である、今井むつみさんの書籍です。

皆さんは「ガヴァガイ問題」を知っていますか?

あなたの全く知らない言語の人が、ウサギを指さして「ガヴァガイ!」と叫んだとき、それは何を意味するのか?

という問題のことです。

「ウサギのことでしょ?」

そうとは限りませんね。

確かに「ウサギだ!」かもしれませんが、「獣だ!」かもしれません。
「夕食だ!」の可能性もあるし、「捕まえろ!」だってあり得ます。

つまり、全く知らない言語を身に付けるのは相当難しいということです。

本来、赤ちゃんが母国語を学習するのもこれと同じ状況なハズです。
では彼らはどうやって言語を学習していくのか?
本書はそれを「ガラガラ」「ムニムニ」「ニャー」などといった「オノマトペ」を中心に紐解いていく書籍です。

読むと「子どもってすごい」と思うようになりますし、
我が子の「言い間違え」が愛おしく感じられます。

毎日の子育てに気付きを与えてくれる素敵な本です。

文を単語に切り分け単語を探していくのに、赤ちゃんは統計的な分析能力を駆使する。たとえば赤ちゃんは自分の母語で、単語の最初に来る確率が高い音、低い音、単語の最後に来やすい音、来にくい音などを分析し、それを使うことができる。

第六章 子どもの言語習得2──アブダクション推論篇 より


第二位 『無理ゲー社会』

打って変わって、こちらは陰鬱よりな本です。

皆が肌の色や性別で差別されない社会
皆が自分らしく輝ける社会
皆が自由でいられる社会

素晴らしいですよね。
理想の社会だと思いますよね。

そんな現代人が理想と考える社会に突き進んでいくとどのような”副作用”が起こるのか。

それを「無理ゲー社会」と名付けて分かりやすく説明する本です。

「自分に正直に生きる」「自分の得にならないことはしない」という刃を各自が持つことで、
町内会やPTAといった小さな共同体は機能しなくなっていき、やがて誰も助けてくれないようになります。

さらに「自分らしく生きる」ことを信条にした女性にとって結婚や出産は必ずしも載らなくてはならないレールではなくなり、それはパートナーのいない男性を量産します。

しかし「皆が差別されない」世の中は言い換えれば「皆が平等にスタートラインに立っている」と捉えられやすく、そのため「弱者には自己責任の烙印を押す」社会が形成されます。

そうして、メリトクラシーという思想が支配する「無理ゲー」が始まるのです。

あまりにも救いのない内容であるため人を選びますが、
それゆえ、反射的に「自由が侵害されている!」と叫んでしまう癖を直すには適役な書籍です。

私も大枠ではこのような自由主義(リベラルと言います)に共感する立場ではあるものの、
この本は、自身がリベラルに傾きすぎないように襟を正すキッカケになりました。

皮肉なことに、日本社会を覆う閉塞感は、日本人が人類史上、未曾有の長寿と健康(幸福)を実現した結果なのだ。

第四章 ユートピアを探して より


第一位 『砂糖の世界史』


教養部門の第一位、そして今年全体での第一位も同様にこの『砂糖の世界史』ですね。

私たちが毎日かかわっている「砂糖」について、深く考えさせるきっかけを与えてくれる本です。

我々にとって、砂糖は生活必需品です。
スーパーで買った食品の裏面を見れば、これでもかというくらいに「砂糖」の二文字を目にします。

しかしそんな砂糖が、過去には解熱剤として服用され、奴隷による労働を正当化させ、アメリカを独立に導く一因を作ったことは、普段意識していません。

本書で語られるのは、まさに「砂糖の世界史」。
砂糖がいかにして「世界商品」となったのか。その功罪とは何なのか。そこから私たちは何を学ぶべきなのか。
奴隷貿易やボストン茶会事件などの、学生時代に学んだ知識がちょうどよく掘り起こされ、繋がっていく感覚はとても気持ちが良いです。

何でもなくそこにある「砂糖」から広がる世界が面白すぎたために、
同じく私の目の前にある「塩」とか「ガードレール」とか「レゴブロック」などの歴史も学べばきっと楽しいのだろう。

そんな「教養全体に対する興味」を広げてもらえたのが、私にとっては大きな収穫でした。

歴史学というのは、たんに昔のことを調べる学問ではありません。いまある世界がなぜこのようになっているのか。ここにくるまでにはどのような歴史的変遷があって、いまこうなっているのか。そういうことを研究するのが歴史学なのです。昔から「すべての歴史は現代史である」などといわれるのは、このためです。

終章  モノをつうじてみる世界史 より


番外編


『カラスをだます』

番外編は「おもしろ枠」としてご紹介。

「カラスの鳴き声」に関する研究で博士号を取った研究者の著者が、カラスと真剣勝負する様子を描いた本です。

カラスに没頭しすぎてカラス対策の会社を立ち上げてしまうくらいの熱意のある方で、
本書も「山形市役所からの依頼で、200羽のカラスを役所周辺から森へ誘導した」シーンから始まります。

それ以降も「カラスを食べる」「カラスと会話する」「カラスをだます」といった強烈なエピソードを要所要所に配置しつつ、読んでいる間にカラスに対して読者も詳しくなっていくような構成となっています。

「カラスはマヨネーズが大好き」
「カラスに襲われるのは初夏だけ」
「日常で出会う二種類のカラスは歩き方で見分けられる」

このあたりはおどろきでした。

終始ユニークでフザけた感じで進んでいくのですが、一番最後の章では打って変わって「人とカラスとの共存方法」についてめちゃくちゃ真面目に論じていて、そのギャップにやられましたね。

とても好きな本でした。
先日読書家のフォロワーさんとも話していたのですが、「変な方向に突き進んでしまった科学者の本」にはハズレがないですね。

私の使命はカラスに「なぜ鳴くの?」と問い、答えを探すというものだった。

第一章 カラスを動かす より


まとめ


三回にわたって2023年のオススメ本を全10冊、紹介してきました。

全ページ読んで読書記録を付けるようにしているためか、どれもこれも思い出深い本ばかりです。

2024年はどのような出会いがあるのか楽しみですね。
今年はほとんど小説を読まなかったので、来年は小説にもチャレンジしてみたいなあ。


普段は読書によって得た知見について共有する発信をしています。


電子書籍もかなりよく読みます。コチラの記事も参考になれば。

それでは、また。

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