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【詩】陰翳礼賛





あなたの影が一つ地面に落ちている
まるで焔の様に立ち揺らぐそれは
他者から見ればただ溢れたもの
滲み出る穢れの成れの果てとして




度重なる程に濃く深くなっていく
遥か遠く迄伸びるその濃淡を
冷たい風に緩やかに靡かせたなら
無駄に凪ぐだけではない事を知る




そのぼやけた輪郭をそっとなぞる
すると認識の曖昧さは限界に達して
掴めそうで掴めない夢幻の様な
現実を裏返したみたいな感覚になる




そうしてる内に満ちた陰翳は
輝きを増す意志に対抗する様に
目の前を隠すみたいに増殖して行く
不確実な事象に炎は灯り蔓延する如く




いつも同じ場所にあっただろうそれを
今になってこの手にある実感を楽しむ
今更何の意味も無いこの黒い感覚も
過ぎ去る日々と共に忘れさられる事




またとない刻は酷く必要に輝き増し
陰りが無い程に欲する光は強くなり
隣合わせに有ったその仄かに暗い闇は
心の隅に置いているだけ




それぞれに瞬く間に過ぎる命にも
強く濃く残る傷跡に染み入るその影も
ただ在るだけだった簡単な事すらも
その真意に近づく事さえあったのだ



ただ暗くマイナス的というだけで
端に寄せられた重く切ない陰り達
その感情も思考も在り方も
大切な私の一部だった

















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