デザイナー失格

私はデザインが好きである。
だが、
デザインを知らないかもしれない。

美大生時代から薄々感じていたことだ。
教授たちや腕のあるデザイナーらが
「これは良いデザインだ」
と賞賛する広告や商品のどこがなんで良いのか?
説明されてもあまりピンと来ないまま
私は卒業してしまった。

例えば、
一昔前のカップヌードルのCM。
原始人たちがマンモスを追いかけ回したりした後
「Are you hungry?!」
と締めるやつ。
確かに面白いけど、
あのCMの何が教授たちを
「スバラシイ!スバラシイ!」
と興奮させるのか
私にはよく分からない。
自分が制作をするときも、
教授から参考にすると良いですよと勧められたデザインを見て、
ほーん、こういうのが良いデザインなのかぁ~
という漠然とした感想しか抱けなかったことの方が多い。
あと、このNOTEのロゴデザインやクロネコヤマトのロゴとかも教授がデザインしたものだけど、
コンセプトとかこだわりとかを聞いてみても
ほぉ~
そうなのかぁ
そういう所をこだわって作ったのね~
くらいしか思ってなかった。
きっと、ガチでデザインに入れ込めている人達は
「なるほど!ここを0.5ptずらすだけでこれだけ印象が変わる…!このような差異に気付くとは、さすがは名デザイナーだ!」
「こういうコンセプトはこのようなアートワークで導き出されたのか!参考になるなぁ…」
とか考えてるんだろうなぁ。
(中には自分も賛同できる良いデザイン作品もあったけど。)
デザインの奥深さのような感覚を、
いまいち掴めないままいるのかもしれない。
逆に、
教授たちは口を揃えて酷評するけど
私は最近の日清のCMが普通に面白くて好きだし。

そういや、前に先生から
「お前、このデザインの良さ分かってる?
どこが良いのか説明できる?」
と問われたとき、正直に
いやぁ…なんですか?
とか言ったらドン引きされたなぁ。
その先生には呆れられて、以降
「お前さ、このデザインの何が良いのか分かってないだろ?」
と分かってない前提で聞かれるようになってしまった。
そしてその先生やゼミの教授達にビシバシと鍛えて頂き、
作品を褒めて頂けるようにもなったり、
そういった勉強の結果、
“こういう所が出来ているのでこのデザインは良い”
“このデザインはここが出来てないからダメ”
とかの判別が、ある程度つくようにはなったつもりだけど、
身に付けた知識からの見解であって、
それらの大半は自分自身の感性ではない気がする。
好きなデザインはある。
でもそのデザインを好きだと思う理由の中には
(潜在的には含まれているかもしれないが)
後天的な知識はあまり関係していないような?

あ~~
でも、
そういうデザインこそが
真の!良いデザインなのかもなぁ。
だって、デザインの知識もクソもないド素人が見ても
「これ、なんか良いな。」
「カッコイイな。」
って思えるって事でしょ?
惹かれるって事でしょ?
デザインの存在意義としては100点満点だろそれ。

あ、そうだわそうだわ。
前に誰かが言ってた。

【自分が好きだと思ったデザイン・デザイナーの
何を感じ取って好きだなと思ったのか?
どこを見て良いと思えたのか?
を突き詰めると、
自ずと良いデザインを理解できるようになるのだ!!
そして自分なりのデザインができるようになるのだ
ドーン!!!!!】

って感じ?
それが基礎なんですわな。
私は基礎からやり直しですわな。
美大で学んだこと頭からすっ飛んで、
その末に自分でこの答えに辿り着けたことを
まず褒めてほしい。
(ちなみに、
私が好きなデザインは
田中一光氏のポスター、清原悦志氏の吸血妖魅考、原弘氏の5月1日展覧会ポスターなど。
はぁい、基礎からやり直します。)

でも、教授・先生や名デザイナーが酷評する日清CMを
自分は好きなのはなぜかという疑問は残るな。
だってクレイジーで面白いじゃん。
商品の味とか、詳細はあんま伝えないし意味分かんないけど、
売り場に行った時にあのCMを思い出すよ。
で、買う予定なかったのにカゴへ入れたくなるよ。
これはもう単純に好みか?
好みなのか?
教えて先生。

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