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制服のブラウスを毎日手で洗っていた話

中学に入ると毎日制服を着るようになった。
そしてそれと同時に、
「女の子なのだから、下着とブラウスは自分で洗いなさい」
と親に言われた。
自分で洗うと言っても、洗濯機ではなく『手洗いで』である。

ちなみに私には兄がいるが、
兄は自分のワイシャツを自分で洗えとは言われていない。
女の子だから、ということらしい。
だから私は、中学の3年間、自分のブラウスを手で洗った。

洗う場所はお風呂だだった。
シャワーなどに入った時や出て着替えた後に、洗面器にお湯をためて洗う。
当時うちの風呂場はとても寒かった。
お風呂に入っているとお湯がどんどん冷めていって入っていられなくなるほど寒かった。
ブラウスを洗っている間、お湯を出しっぱなしにするなどは許されるはずもなく、冬場などはカチカチ歯を鳴らしながら洗った。

また、中学生の時、私はすでに摂食障害を発症しており、
今思えば鬱病のような精神状態だった。
生きることが苦痛でしかない毎日の中、
ブラウスを洗う作業は苦行だった。
洗うことが苦痛でサボれば何枚も溜まり、
一度にまとめて洗わなくてはならなくなる。
辛かった。

一度、中学三年生くらいのとき、
部活の朝練の後、ジャージから制服に着替える際、
可愛くて優しくていい香りのしてくる感じの友達に、
『ぐりちゃんのブラウスはとってもいい香りがするね』
と言われたことがあった。
それは私がブラウスを、
毎日レモンの香りのする固形石鹸で洗っていたからで、
でも、まさかそんなこと言えなくて、
私は声をかけてくれた彼女の優しさと、
自分の日々のしんどさから涙が込み上げてきて、
それを必死に堪えて隠したことをよく覚えている。

私のブラウス手洗い業は、中学で終わる。
なぜなら、高校は私服の学校だったから。
高校選びの時に、制服がない学校を選ぼうとしたことはいうまでもない。


ちなみに、私は脱ぎっぱなしにしていた制服を二回ほど、
生ゴミなどがはいっているゴミ箱に入れられたこともある。
母がブチ切れた時にゴミ箱に突っ込まれた。

中学のあたりは、
うちの家族は父も母も兄も私も精神状態が不安定だったと思う。
私は重めの鬱状態であったと思う。
精神的にしんどすぎて、制服を片付けるのも、
ブラウス洗いもできなかったんだなと、正直思う。
あの悪夢の中よく生きていたと思う。
頑張ったよ、私。


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