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アメリカ奮闘記:良くも悪くも、いい感じに終わってしまうのが留学

今日が最後のHarvard生活。留学生活は残り11日!

いつも通り、午前中の生物統計の授業を受ける。
留学に来て、
すっかりこちらで学位を取りに来たいなと洗脳されてしまったが、
ただでさえ内容が難しいことを、英語で理解しなければならないのだ。

この授業内容は、私がすでに日本語で勉強してきたところなので、
いくらかは楽であるが、
まったく初耳の内容だったとしたら、もう無理ゲーなんじゃないかとさえ思ってしまう。

さて。note更新をさぼっている間に、
・ボストン美術館観光
・ニューイングランド水族館でmeetup
・BROAD instituteの見学
などなど、いろいろと経験した。

ボストン美術館は本当に素晴らしかった。絶対に行ったほうがいい。

そしていつの間にか
ポスドクの方々と一緒にランチを食べるのも恒例となっていた。
最初の一週間はずっとボッチ飯だったから…

お世話になった方々に次々と話しかけたり、メールを送ったり、
みんなで写真を撮ったり。楽しく過ごした。

少しは、英語で話しかける度胸もついた。かもしれない。
英語で話しかけるってガッツもいるし。

私のフィールドワークも、ポスドクメーリングだけでなく、ドクター過程の人にも流してもらえた。

もう、十分だ。

Harvardの目的は
①日本には存在しないともいえるDepartment of biostatisticsの実態を知り、なぜ彼らはBiostatに足を踏み入れ、その後どうなることを目指しているのかを知ること。
ただ日本にDepartment of biostatisticsが存在していないことだけが問題なのか、こんなにも多くの人が興味をもつ学問として発展していったのには他の理由もあるのではないか、というところを明らかにすることだ。

②さらに、医師と統計屋さんが近い存在であることで、世界的注目を集めるような臨床研究が行われているが、どのようにしてinteractしているのか、を、明らかにすることだ。

①については、
Department of biostatisticsの博士課程・ポスドクにアンケート調査を行い、
どのようなきっかけで興味を持ち、これまで何を研究し、今後何になりたいのかを聞いた。
調査目的以外での情報漏洩は出来ないために具体的には書けないが、
非常に興味深い回答が得られた。
この経験をもとに、私の解釈・私の意見でnoteに投稿することは問題ないので、今後投稿するかもしれない。

②については、ブリガム病院での臨床医・リサーチfellow・統計家の集まるミーティングに毎週参加した。さらにサマープログラムとしてリサーチャーが受けるような生物統計クラスを受講した。

日本の統計家といえば数学系のバックグラウンドの方がほとんどで、医療分野には足を踏み入れにくいとも言われている。
一方でDepartment of Biostatisticsは、Public healthの中にある。
Department of Statisticsとは別部門として構えている。キャンパスも違う。

疫学を同時に勉強する人も多く、授業自体が臨床研究におけるケースを意識しているようにも思う。個人的な感覚だけど。(日本の教科書だとやけに工場での不良品の発生うんたらかんたら~みたいな例が多い気がして。)
ブリガム病院でのミーティングに参加している統計家は、統計解析に直接関与しないところにも疑問を持ち、理解を深めようとしている様子が分かる。

異業種間では、ちょっとした分からないことの積み重ねで、お互いの理解不足が徐々に深まり、ついには言語が通じなくなるのだ。

私の勉強不足話をすると、共変量に使われる検査値やマーカーが分からず、それが連続データなのかバイナリーデータなのかも分からなかった。

そして、臨床的にそれがどのような意味を持つのかも理解していないと、
どのようなデザインで研究を進めていけばいいのかもわからない。
全て理解する必要はないが、興味を持って質問するだけでも違うだろう。

一方で、日本人fellowと話したところ、医師は医師の教育体制に問題があると思っているようだ。
アメリカの医学部では、学部時代に疫学や生物統計をがっつり基礎を身に着けるのだという。(学部カリキュラムの卒業前の1~2年でやるらしい)

日本だと全然やらない上に、ちょっとかじる内容も
大学入学してすぐの1年次に受けるのでみんな忘れてしまうのだとか。
国試にも1~2問しか出されないので捨て問枠。

それ薬学部も一緒や・・・!!

基本的な統計的考え方が分かっている為に、
医師だけでも簡単な解析であれば何をしたらいいのかわかっているようだ。

そもそもそんなに小難しい解析が毎回要求されるわけじゃない。
オッズ比だしたりカプランマイヤー書いたりカイ二乗検定したり、
それだけでも臨床的に十分に意味のある研究になる。

私自身はがっつり生存時間解析の統計的手法を勉強していたので、
難しく考えすぎていた。

別に難しい解析だからってすごい結果が出るわけじゃない。
その分複雑化して扱いにくく、バイアスも生じるかもしれない。

しかしながら、「ちゃんと問題なく、正しく」統計解析するためには、
統計屋さんが介入したほうがいい。
病院では毎週火曜日にお抱えの統計家がオフィスアワーを開いており、
なんでも質問できる機会を設けていた。


といったところで。楽しかったharvard生活もおしまい。

正直、たくさんの後悔がある。
自分の力量不足・英語不足だけではない。度胸も足りなかった。
ガッツも足りなかった。
もっと自分から、いろんなところに何度も何度も交渉に行けばよかった。
「なんで自分から行動しなかったの?」って言われるのが怖くて、
この後悔を人に話せないくらいに恥じている。

それでも最低ラインの目標はクリアした。
それだけではない。たくさんの素晴らしい出会いもあった。
本当に恵まれていた。英語もちょっとは練習した。

反省すべき点はいくらもあるが、
1つでもプラスの経験になることがあれば、来てよかったなあと思ってしまうのが留学である。
ちゃんと反省点を自分への戒めにして、ばねにして、
今後の人生で必ず回収しないといけない。

勝手に悔しい経験が増えていくのも留学である。

さあ。
次は、スタンフォード大学だ。

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