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「歌わせたい男たち」・・・何を得て、何を失うのか。 

「これだけのものを書ける人がうらやましい。是非観て欲しい」 

「歌わせたい男たち」は、2005年に初演された舞台の再々演(?)だが、決して色あせていない。
この舞台に違和感や冷めたものを感じるとしたら、それはあなた自身の感受性について、日常の捉え方について、考え直す必要があるかもしれない。

物語は、ある高校の卒業式での、国歌斉唱を巡り、起立斉唱派と不起立派との対立を軸に、人間の変節や主張、心の自由をうたう憲法について描いている。
登場人物は皆頑なに自らの主張を繰り返す。彼らは何を失う事を恐れた為に何を失い、何を失おうとしているのか。それを目の前に提示し、笑いの衣をまといながら舞台から真摯に問いかけてくる。

この演劇の舞台となった時代。既に社会人だった私は、不起立で処分された教師のニュースを見ながら、高校時代、卒業式で腕を組んだままどっかりと椅子に座っていた先生を思い出していた。
あの先生は今どうしているのだろうか、ご存命ならお話をお伺いしたい。
きっと、「21世紀になって、もはや戦争は起こらないであろうと、思われていたのに、いまだ続いている。この極東の島国は、「平和」を貫くことが出来るのか、どう思うかね。君は?」

そんな質問を投げかけてくるような気がする。

「歌わせたい男たち」の作者で劇作家の永井愛氏も、同じように問いかけてくるのだ。

その答えを見つけるために、是非、観て頂きたい。


出演はキムラ緑子さん、山中崇さん、大窪人衛さん、
うらじぬのさん、相島一之さん。

池袋芸術劇場シアターイーストにて、
12月11日まで

その後、愛知、滋賀、山形、兵庫、長野、福岡、岩手と全国を巡回する。

        おわり


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