「伴侶に求めるもの」

その日、俺は全身の勇気を振り絞った。
心の中に仕舞い続けたこの想いを伝えるのだ。
あの娘と恋人になるためなら、どんな事でもする。
それは本当の俺の気持ちだった。

放課後、帰り支度をしている彼女を呼び止めて、
思いのたけを伝えた。

「君の為なら全世界を敵に回しても良い！」

すると彼女は、俺の方を真っ直ぐ見据えて答えた。

「何言ってんの？　
その全世界の中には私も、私の家族もいるのよ。
分かってる？」

冷たい言葉を聞いて、俺は確信した。

『恋人なんかじゃもったいない。生涯の伴侶だ』

暴走しがちな俺を止めて、別の視点を示してくれる、
そんな女が必要なのだ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　おわり

＊同じ方向を見ていても、違う視点がある事を教えてくれる。
そんな友人や伴侶はありがたい存在です。
また、そんな相手の気持ちを受け止められる心の大きさを持ちたいですね。

＊加筆修正　昔書いた記事の続編のショートとして。

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