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「労働は投資か」・・・多チャンネル時代の生き方。

先日、放送業界にいる後輩からこんな話を聞いた。 

 20歳で、AD(アシスタントディレクター)として入って来た新人の男の子が 初めて自分で編集したビデオの試写を終え、 テレビ局員と会社の上司から 「あそことあそこと、気になるから直しておいて」 と言われた。

 話してくれた後輩によると、その指摘は、直しても直さなくても 大きく影響があるものではなく、 立場が上の人が、「仕事した気分」になりたいがために言っている修正である、 とは思ったらしい。

 「でもそういう事は良くあるじゃないですか。問題はそこからなんですよ」 

 後輩は身を乗り出して説明した。 

 「その新人君。試写が終わった後で、凄く不満げな顔をしているんですね。 まあ。これも良くあることなんです。初めて作ったものは気持ちが入りますから。 でもそいつ、局員が帰った後、こんなこと言ったんですよ・・・」

 後輩は新人君の口調を真似たのだろう、冷静な言葉遣いでこう言った。 

 「これからもずっと、あの調子であの人の言う事を聞いて 作ったものを直したりしなければいけないんですか」 

 「まあ、仕方ないさ。クライアントだからな」

 「でも言う事を聞いたとして、 YouTubeに動画を上げて稼ぐ以上の収入が、将来得られるんでしょうかね」

 その場にいた上司も後輩も絶句したそうだ。 

 その新人君は、直すのが嫌でそんな事を言っているのかと思ったら、 すぐに修正作業に入って、言われたて通りにちゃんと編集したらしい。 

 でも、そのひと月後、新人君は会社を辞めた。

 今は何をしているか分からないが、YouTuberを目指しているのかもしれない。 


 人に雇われるという事は、一種の投資だと言った人がいた。 

 「この仕事に自分の労働力を投資して、 どのようなリターン(利益・収入・給与)を得ることが出来るか、を 考えるのは当然だろう。労働時間という限りある資産を よりリターンの良いものに投資するのさ」

 このご時世では、投資と言うより賭けに近いものもあるかもしれない。 皆さんはどうお感じになっただろうか。 

                      おわり 

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