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夢の餃子屋開業への道


はじめに

初めまして!神保町の餃子専門店『ぎょうざ屋たかく』店主の餃子太郎(仮)です。2023年9月20日、子供の頃からの夢であった餃子専門店をオープン(テストオープン)しました。今回は開業に至る道のりを紹介します。

プロフィール

餃子の街宇都宮出身。上京して明治大学へ入学。その後、ITソフトウェアの株式会社 インフォメーション・ディベロプメントに入社。
その後、ITコンサル会社のアクセンチュアに転職。引っ越しのトラックにひかれて、救急車で目を覚ます。復職するも、後悔しない人生を送りたいと思うようになり、平日夜に餃子試作を開始して、餃子屋を目指すようになる。その後、会社を退職し、餃子屋になることを決意。

開業の動機

餃子屋になるのが子供の頃からの夢だった。宇都宮で育ったから?沢山食べてきたから?理由は正確には分からないが、餃子というと、よい思い出が頭の中に蘇る。2017年に地元宇都宮で開催された餃子研修に参加して以来、餃子屋の夢への思いがより一層強くなり、不慮の交通事故をきっかけに、人生やりたいと思ったことを適切なタイミングでやらないときっと後悔すると考えるようになり、この度、開業を決意した

やっていきたいこと

餃子飲食ビジネスだけであったら、脱サラして開業はしなかった。餃子を介して、生産者をつなぐ、地域をつなぐ、人と人をつなぐ、このような楽しみがあるからこそ開業して頑張りたいと思った。
どのようにしたらお客様、地域の方々に喜んでもらえるかを常に意識して、餃子を介した地域社会の価値創造に少しでも貢献したい

お店紹介

場所

〒101-0064 東京都千代田区神田猿楽町1丁目3番2号 内田ビル1階
地下鉄 神保町駅より徒歩5分、JR御茶ノ水駅より徒歩7分

餃子のこだわり

  • 自家製皮
    強力粉、薄力粉、水をその日の天候、気温、湿度に応じて配合を変え、じっくり寝かせることで、もちっ、カリッとの両方味わえる皮に仕上げる

  • 地元栃木を中心とした安心安全食材
    栃木県上三川町の津野田さんのニラ、那須塩原町の郡司さんの豚肉など、生産者の顔が分かる地元食材を使って、食べて安心な餃子に作る

  • 飽きのこない優しい餡
    和風出し、豚鶏がらスープなどの旨味を野菜多めの餡に練りこみ、毎日食べても飽きのこない優しい餡に仕上げる

  • お酒に合う特徴のある餡
    しそ餃子、ラムパクチー餃子、エビニラ卵餃子、今月の餃子など、お酒に合う特徴のある餃子を作る

お店のこだわり

  • 栃木のモノコトを発信
    お店に来たら地元栃木を感じてもらえるように様々な物を用意

    大谷石(宇都宮市)、宮染め(宇都宮市)、藍染め(益子町)
    お酒・フルーツ酒の鳳凰美田(小山市)
    クラフトビールのなすですな(那須塩原市)
    レモン牛乳アイス(宇都宮市)
    ぎょうざうるす(宇都宮市)など

  • 餃子に合うお酒を提案
    日本ではまだ珍しい南アフリカワインを餃子に合わせて提供

    味、コスパ良し、餃子に合う、今後人気になりそうな南アフリカワインを世の中に広めたく。

開業までの道のり(簡易版)

飲食経験ゼロのサラリーマンがゼロから餃子屋を開業をするのに、非常に苦労したことから、ここではその道のりの概要を紹介することにする。詳細については、今後、当該noteにて記載していき、今後飲食を目指す人にとって、ちょっとした道しるべになればよいと考える

マイルストーン(マスタースケジュール)を作るべし

どのようなタスクがあり、いつまでに何をやらないかを考え、マイルストーン(マスタースケジュール)を作る。これが開業準備の道しるべになる。その際、各タスクの前後関係、相関関係、インプット・アウトプットも合わせて検討すること。

マイルストーン

コンセプトを考えるべし

1番大切なことになるが、まずは最初にどんなお店にしたいかを考える。何度悩んでもいい、書き直してもいい、コンセプトメイクが1番重要であり、今後開業準備をする中で何か迷った際に、考えの軸になる相棒的存在になるため、しっかり考えたい。他の誰かに見てもらうのもよい。
また、コンセプトが固まったら、お店の価値である「コアコンセプト」を実現するためにの手段として8つのサブコンセプトを検討する。

コンセプト
サブコンセプト
サブコンセプト

数値目標を立てるべし

メイン商品の価格帯、店舗規模、スタッフ数などを考えて、どのくらいの売り上げを上げる必要があるかを考える。最初はドラフト版でOK。各内容が徐々に固まってくると、数値目標も精緻化できるため、数値目標はその後アップデートされるものと考えるべし。

開業計画書(ドラフト版)を作るべし

コンセプト、数値目標、メイン商品が見えてきたら、開業計画書を作る。大きな方向性を立てないと、各タスクを進めていくことができないため、まずはたたき台のドラフト版。その後、他のタスクが進んでいく中で、開業計画書を常にアップデートしていき、店舗、商品、食材、調理器具が固まってきた段階で最終化する。開業計画書は、銀行の融資や市町村・公益団体の助成申請などをする際に必ず必要になる、もしくは、申請書類を作成する上で参考情報になることから、最終化は必須作業になる。

メイン商品の検討・試作をすべし

メイン商品が固まらないと商売にならないことから、マイルストーンのスケジュール感にとらわれず、早い段階から検討した方が、時間的そして精神的にもゆとりが生まれるため、飲食をやってみたいなと思った時から、メイン商品の検討を少しずつでも進めることをお勧めする。
私の場合は、元々餃子が好きで、開業を決意する以前から、全国津々浦々の餃子屋さんに足を運び、各地の色んな餃子を食べて自分なりに研究してきたため、交通事故に遭い、餃子屋をやろうと思った時には、メイン商品のイメージがある程度出来ていた。ただし、いざ開業しようと進み始めた時、まだまだ不十分だと思い、不安になり、以下のことで再度餃子研究を深堀して、毎日仕事が終わった深夜に餃子試作をして、味の探求をした。

  • 餃子の雑誌を買いあさる

  • ネット上のあらゆる餃子レシピをみる(レシピサイト、youtube等)

  • 餃子を取り上げる料理教室に参加する

  • 全国の気になる餃子屋さんの餃子をお取り寄せして、箱に貼ってある原材料表を見て、餃子に入っているものを自己学習する

  • 餃子屋さんの店主にそれとなく中身を聞く

物件情報・出店エリアを調査すべし

これは非常に重要な調査で、今後の店舗経営にかかわるため、1番力を入れるべきところである。出店エリアにより客層も異なり、自分の商品がその価格帯で受け入れてもらえるかも変わってくるため、平日・週末、朝夕足を運んでじっくり観察して、エリアの調査・検討をする必要がある。
物件についても同様で、今後の経営に直接かかわってくることから、予算、商品価格、客単価を考慮して、慎重に決める必要がある。
物件の探し方については、今回非常に苦労した。色んな方法があるため、以下を参考していただければと思う。詳細については、今後投稿していく。

  • 希望エリアの不動産屋を訪ねる。チェーン店ではなく、できるだけ老舗の地元の不動産会社をお勧めする。エリアに特化した情報をもっている可能性があるため

  • 希望エリアを歩き回り、閉店しそうなお店を見つけたら店主に聞いてみたり、直接店前にテナント募集の張り紙があるお店を探したりする

  • ネットの店舗情報は鮮度が古かったり、人気のない物件であることが多いため、参考程度に見ることをお勧めする。人気物件はそもそもネットに掲載される前に水面下で契約が決まっている。

なお、以下は飲食経営の覚えておく参考数値である

  • 家賃:売上の10%以内

  • 人件費:売上の25~30%以内

  • 原材料費:売上の30%以内

  • 水道光熱費:売上の5~7%以内

  • その他経費:売上の12%以内

飲食では、売上に対して経費は9割ぐらいかかるため、いかに各数値をスリム化できるかが利益を上げる上で大切になる

店舗デザインを検討すべし

サブコンセプトでも検討する要素の1つではあるが、いざ物件が決まった際に素早く動けるように、こういう物件レイアウトだったこういう風にするなど、事前に物件レイアウト毎にシミュレーションしておいた方がよい。

参考までに・・・

内装業者を検討すべし

今回非常に苦労した。飲食の友人もおらず、何の経験・知識もなく・・・。なお、内装業者には飲食が得意な業者、それ以外が得意な業者など様々であるため、もし目ぼしい業者を見つけた場合には、上記の点はきちんと確認すべし。
私の場合は、飲食があまり得意ではない内装業者であったことから、施工不備、調理器具の設計・施工ミスなどがあり、後々苦労した・・・。
契約前に、換気扇の面風速が1秒当たりXXmの設計なのか?など、細かい条件まで詰めて契約することをお勧めする(飲食経験がないと非常に難易度が高いが、ネットで調べると厨房デザインの基準情報が出てくるので。設計要件を詰めないと、後々追加工事でもめたりすることもあるので)
以下、内装業者を探すための手段である。参考までに

  • 知人の内装業者にお願いする。
    信頼度が一番高い。デメリットとして、文句が言いづらいことがある

  • 気になるお店があれば、店主に内装業者を紹介してもらう
    信頼度が高い。

  • 不動産会社に知り合いの業者を紹介してもらう
    情報を持っていくことが多いため、ぜひ業者選定で利用したい。

  • ネットの内装業者サイトに登録して、複数の内装業者から提案をしてもらう。
    私は店舗デザイン.comに登録して、興味のある内装業者から提案をもらって、その中から今回の内装業者を選んだ。知り合いがいない場合は、1つの手段として、そのような逆ドラフト制度を利用するのもありである。
    https://www.tenpodesign.com/

保健所で事前相談すべし

厨房設計・店舗設計はお店の営業許可にかかわるため、内装業者を決める前に事前相談して、どのような設備が必要になるか相談すべし。エリアによって、保健所の規約の解釈もことなるため、絶対に事前相談をおすすめする。
自分の知識のためにもエリアが決まったらぜひ保健所にGO!

厨房機器・業者を検討すべし

物件が居抜き、スケルトンによって、揃える厨房機器のラインナップが変わってくる。私の場合は、スケルトン物件であったため、予算を抑えるためにま中古の厨房業者に見積もりをお願いしたが、念のため他社の新品厨房業者に相見積もりをしたら、中古よりも10万ほど高いぐらいの価格帯だったため、保証や厨房機器の性能を考慮して、新品でそろえることにした。
厨房機器は予算にかかわるため、一概にどちらがいいとは言えないが、
厨房機器は故障することもあるため、保証がしっかりしているところをお勧めする。ちなみに、私は開業後2回ほど食洗器が故障して、迅速に対応してもらったので、保証・アフターサービスの重要性を認識している。
利用した業者については、個別に問い合わせください!

飲食店開業に必要な資格を先に取るべし

飲食店に必要となる『食品衛生責任者』。
1日の講習で容易に取得できるため、時間があるときに事前に取得することをお勧めする。

食材業者を検討すべし

飲食経験ゼロ、脱サラで飲食知識ゼロの私は、食材業者探しは非常に苦労した。まずはネットで情報を集めて、あとは電話やお店、農家に出向いて、やりたいことを開業計画書を説明しながら理解してもらい、取引ができるかを交渉した。色んな食材を広く扱う食材業者を使うことのメリット、デメリットもあるため、商品のコンセプトにあった業者、仕入れ先を選ぶことをお勧めする

  • 一般の食材業者
    幅広い食材を扱い、配送も丁寧にしてくれる。
    ただし、業者によってはその分価格が高いことがある。
    見つけ方は、ネットで調べるか、知り合いや行きつけの飲食店に業者を紹介してもらうかである。

  • 個人店や農家
    取り扱い、卸価格は様々であり、まずは熱意を伝えて、この人なら取引してもいいよと思わせることが重要である。個別取引の場合、配送料もそれなりにかかるため、商品コンセプトや価格帯も考慮しながら、取引有無を検討する必要がある。

さいごに

今回、脱サラしてゼロから飲食店を開業して、テストオープンではあるが、お店を3か月経営して思ったことがある。
世の中の飲食店さんの店主さんすごいなー。
これまで食べる側だったが、提供側に回って、初めて大変さを実感した。
世の中の飲食店さんには尊敬と感謝しかない!

準備9割、営業1割が現実。
この3か月毎日朝から晩まで休みなく必死で大変だが、
お客さんからの『餃子おいしかったよー、また来るよー』って言葉を聞くと
すべてが報われた感じがする。

飲食店って、そこなんだろうなって思った。

経営コンセプトにもある
『喜ばせることを喜びにする』
この言葉を忘れずに、第二の人生を満喫するとともに、私にかかわってくれた方に少しでも恩返しをしていきたい!

最後に、飲食店を開業するにあたり、苦労の連続で、後に続く飲食やりたい方、特に、飲食店経験ゼロの方には同じ苦労をしてほしくないので、経験したこと、学んだことを今後このnoteに細かく整理して、何かしらの参考にしてもらえればと思う。まだまだ書きたい事は沢山あるが、概要編ではこの辺でクロージングしたい。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

ぎょうざ屋たかく 店主
高久 和央




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