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卒論で毎年思い出すこと


はじめに

 2023年も残すところあとわずかとなりました。全国の大学4年生おかれましては、卒論もいよいよ大詰め&提出となっているのではないでしょうか。先週には敬宮愛子内親王殿下(学習院大4年)が「中世の和歌」で卒論を提出し、話題となりました。
 実はこの卒論の時期になると必ず思い出すことがあるのです。それを今回は皆さんと共有したいと思います。
 

「1秒でも遅れたら受け取らないから」

 2014年、法政大学文学部史学科の4年に進級した私は就職活動が難航していたこともあり、あまり心地よい新学期のスタートとは言えなかった。新学期早々、史学科の全学生が大講堂に集められ、卒業論文についての説明が教授陣から行われた。卒論の体裁についての説明の後、提出方法について説明があった。
 説明も中盤に差し掛かった時、担当の教授が語気を強めてこう言った「毎回提出時間に遅れて、卒業を水の泡にする学生がいます!1秒でも遅れたら受け取りませんから!毎回何とかしてくださいと泣きついてくる学生がいますが、卒論の可否は一教授の裁量で決められるものではありませんから!」
 大講堂の空気が一気に張り詰めたのがわかった。そして、最終学年としての1年間が始まった。

膝から崩れて落ちて涙声で・・・

 2015年1月、年明け早々から私は卒論の校正作業に追われていた。誤字・脱字はないか、参考文献は正しく明記されているか・・・30000字近くあるので目の乾燥との闘いだった。そして無事に卒論を提出し、受理された。提出場所は今は亡き55・58年館の教職員食堂だった。
 そして、提出期限の午後4時を迎えた。教職員食堂は施錠・消灯され、もう提出をすることはできない。缶コーヒーをすすっていると、教職員食堂に1人の女子学生が歩いてくるのが見えた。「まさか・・・」と固唾を飲んで見ていると、女子学生は全てを悟ったのか、膝から崩れ落ちた・・・・
 女子学生は肩をがくがくと震わせ、涙声でどこかに電話をかけ始めた。電話の相手は親らしかったが、声にならない声で聞き取れなかった。

人の運命が変わる場面に立ち会って・・・

 一部始終を見ていた私は動悸が止まらなくなった。人の運命が変わる瞬間に立ち会ってしまったのだ。もちろん就職の内定もパーである。来年就職活動をしたとしても同じ企業に内定をもらえるとは限らない。娘から知らせを聞いた親はどんな気持ちだったのだろう・・・いたたまれずその場を立ち去るしかできなかった。そして、今でも彼女の嗚咽が脳にこびりついて離れない・・・

この出来事から学んだこと

 この出来事から学んだことは「たった少しの遅刻が運命を左右することがある」ということでした。彼女が遅刻した時間はもって3分程度でしょう。しかし、その程度の遅刻で彼女は自分の将来を水の泡にしてしまったのです。彼女がどこの学部かはわかりませんが、前述の教授がしたような説明は受けているはずです。もしかすると彼女はあまり真剣にとらえていなかったのかもしれません。
 「じゃあ、ぎゅるはね、お前は遅刻しねーのかよ!」と言われたら、そんなことはありません。私だって人間、遅刻したことはあります。しかし、遅刻をしないように日々留意しながら生活しています。彼女がその後、どんな運命をたどったのかは知るよしもありませんが、同じミスは二度としていないと思います。

卒論アドバイス

終わりに卒論についてのアドバイスをいくつかしたいと思います。

  1. 提出は「必ず1日目に」!
    大学によっては提出日が2日間設けられている場合があります。しかし、
    2日目はないと思って必ず1日目に出してください。なぜなら、リカバリーができるからです。よくあるのが、誤字脱字があった、参考文献に漏れがあった、プリンターなど電子機器の不調といったアクシデントです。2日目にこういったアクシデントが発生した場合、内容によってはリカバリーができず、提出できないという事態になります。そういった事態を避けるためにも必ず1日目に出しましょう。

  2. 提出1週間前はひたすら校閲作業
    よくあるのが誤字脱字や参考文献の漏れです。特に参考文献に漏れがあった場合、「剽窃」とみなされて問答無用で不可になってしまいます。こういったミスはどれだけ気を付けていても発生するものです。卒論提出の1週間前には本文を完成させ、誤字脱字探しや参考文献の照合を行ってください。

皆様の健闘を祈ります!



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