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プライドの行方

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待ちに待った新卒社員。これから現場で思い切り働いてもらおうと思っていたのもの、実は新入社員はプライドをかけた野望を持っていた。
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小説:プライドの行方(第一章)

小説:プライドの行方(第一章)

(2023年7月16日 に投稿した「私管理職になりたいんです」の再投稿です。

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「山崎さん、おはようございます。見ましたか、大会議室。新人さん達で溢れるかえってますよ!」

「おはようございます。見ましたよ!10人位ですかね。会議室、狭くてかわいそう」

あれは今の会社に転職して数か月経った、

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小説:プライドの行方(第二章)

小説:プライドの行方(第二章)

「山崎さん、調子はどうですか?」

アジアチームの高瀬さんが笑顔で話しかけてくれた。

「ヨーロッパチームも忙しかったですもんね。アジアはこれからですよ。私達もしゃかりきにならないと!」

春の仕事のピーク時期がようやく終わりを迎え、ゴールデンウイークが近づいていた。

今年も新規のオーダーがいくつも入ってくれた。転勤や就職などで引っ越しや新居を構えることが多い三月から四月にかけて、オーダー家具の

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小説:プライドの行方(第三章)

小説:プライドの行方(第三章)

数日後、私は以前から約束していた同期入社の直美と飲みに行った。

会社近くの行きつけの飲み屋でビールと冷ややっこを注文し、乾杯した途端に、直美が切り出した。

「あのね、変な事言って良い?フィールド・セールスの塚田っているじゃない?この間あの人を別の飲み屋で見かけたんだけど、お宅の速水ちゃんにすごくいろんなことを吹っかけてたよ」

「吹っかける?どういう事?」

「やれ、あんたが30歳過ぎてるのに

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小説:プライドの行方(第四章)

小説:プライドの行方(第四章)

「エリカちゃん、こっちこっち!」

「塚田さん!ごめんなさい、遅くなりました!」

「大丈夫。またおばさん達に絡まれてたんでしょ?まったくあいつらときたら・・・さあ、そんなことは忘れて行こう!」

十二月の半ばに、会社がクリスマス・パーティを開いた。

私は同期達と思いっきりお洒落をして、フィールド・セールスの方々のエレガントなエスコートで大手町にある大きなレストランへ向かった。

最近できたばか

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