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「Nutrition」揺川たまき〈短歌9首連作〉

クレープのサンプルは夜にひらかれて優しいゆびさきを待っている

買いもしない葡萄の粒はつやめいて開店前の冷えた朝日に

マカダミアナッツほろほろ崩れてく口の中 これ、洗脳みたい

誕生日ケーキの上のロウソクを消すのってなんか縁起悪くない?

ピザ屋まで 3キロ歩く ピザ食うたびこの日のことを思うんだろう

ねむれない 卵焼き色のライオンのぬいぐるみは嘘だけどかわいい

天体ショーはショーではなくてぼくたちがアイスをなめるのと同じこと

グレープのかたちのグミがグレープの味だからここは現実らしい

手紙書くから待っていて 岸になるのはむりだけど栄養になる

※2022年11月20日の文学フリマ東京で頒布した短歌連作をnoteで公開しました。

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