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「率先して行動する社員がいない」と嘆いている経営者は、自らの言動が原因だと気づいていないという話

先日、ある企業の経営者と話していたときに、

もっと率先して旗振りする社員が出てくると良い

という話がありました。

企業では社運を賭けるような重要施策になるほど、経営者が旗振りをして牽引しています。もちろんそれほど重要なものは、経営者でなければ中々回りません。

一方、社運を賭けるほどのリスクはないけれども、事業に対して大きくレバレッジが効くような重要施策。少し下のレイヤーの施策は、経営者でなくても大丈夫です。寧ろそのような施策は、社員からどんどん企画出しされるのが理想です。

自ら旗振りして回すような、主体的な社員が多い企業は強いです。成長しています。しかし世の中ではそうでないことも多く、

・社員から中々案が出てこない。
・主体的に動く社員が全然いない。

と嘆いている経営者もいます。

このような状況のときは、採用や制度や人事など色々な問題が考えられますが、実は社員の自発的な行動を、経営者が自らその芽を潰していることにより、次第に社員から案が出なくなることがあります。

以前、企業の社内評価をサポートした人から聞いたことがあるのですが、ある企業の多くの社員から

・案を出してもすぐ却下され、後からぐちぐち言われるので、上に案を出すのをやめた。
・案が欲しいと言うけど、すでに社長の中で答えが決まっていることが多い。
・「お前センスないな」と飲みの席で言われ、だったら自分で考えろと思った。

というような内容が沢山挙がったようです。

しかし経営者に聞くと、あまり自覚はなく、そんなにダメ出しをしているとは思っていませんでした。全く噛み合っていません。

多くの社員の方が、組織的に嘘をついているのは考え難いので、おそらく経営者の認識不足だと思いますが、このようなケースはよく聞きます。

仮に会社のバリューや行動指針などで、大々的に積極的な行動を肯定していたとしても、社員にとっては日常のやり取りのほうが影響を受けます。会社の中に佇む空気感はとても重要です。

積極的な行動を躊躇させるようなダメ出しや威圧的な態度ばかり取っていると、社員は次第にその行動を取らなくなります。案を出すのが萎えてしまいます。大々的に掲げられたお化粧されたコピーよりも、日常の言動を重要視します。

日々のSlackでのやり取り。会議での何気ない一言、冗談のつもりで言った些細な経営者の本音。このような場面で言われた内容のほうが、全体会などで発信するメッセージよりも強く残ります。

また、そのような内容ほど、「社長が◯◯◯と言っていた」と社員の間ですぐ広まり、その言葉が増幅されていきます。それに経営者は気づいてないのです。

発言した内容がネガティブなものだと、社員は萎縮します。そしてそのようなときほど、言った本人は覚えていません。しかしメンバーはすごく覚えています。

だからこそ、経営者は日頃の言動に敏感でなければいけません。日々の些細な発言と行動により、組織文化は育まれていきます。社員は上司のことを、すごくよく見ています。少し機嫌が悪いだけでもすぐ気づきます。

一方、社員が萎縮していない企業は、上記のことがないです。

360度評価をみても、社員の積極的な行動を潰す行為は一切感じられません。主体的な行動を評価し、さらに活動的になるようなコミュニケーションや仕組みを取っています。

まさに会社の空気が良いです。

経営者が社員に攻撃している雰囲気はなく、社員が伸び伸びとチャレンジしています。社員から案が出ない企業とは真逆です。

うちの社員はダメなんだよなぁ

と、愚痴をこぼしている経営者は、まずは日々の言動を確認してみると良いかもしれません。実は多くの積極性の芽を、今まで踏み潰し続けてきた結果の可能性があります。

事業創造と同じで、たまにの一回よりも、些細な日々の積み重ねが、組織文化を創る。与える影響の大きさを、私も改めて認識しました。

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