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短歌チャレンジ

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短歌たしなむのっておもしろいよね。ちょっと作ってみようと思います。
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雨あがり陽にあてられた若葉たち よくみりゃ四葉のクローバーだったり

【日常に短歌を】

『暑いね』と声をかけたら 『暑いけど夜には冷える』と 温度感なく

【日常に短歌を】 季節が変わり、日中は汗をかくほどになった。 『暑いねと』声をかけると、振り返ることもなく、『夜には冷えるよ』と君は言う。 ちょっとおしゃべりしたくて声をかけただけなんだけど、そこに優しさがあることもぼくは知っている。

木漏れ日のぬくもり染みる苔肌に 一寸座れば一寸の仏

【日常に短歌を】 気が滅入ってるなぁと感じるときには、とりあえずさんぽをしてみる。 そして、時間を見つけては公園なり、山道なりに足を運ぶ。 そうしていると、自分を取り戻せるように感じる。 僕にとって、さんぽをすることと、自然を浴びることは、気を充足させるのに必要なエッセンスなんだろうなぁ。 〔一寸坐れば一寸の仏〕という禅語がある。 少しの間でも仏様のように過ごせば、少しの間、仏様のような心でいられるということ。 坐禅をする時間を取るのもいいと思うし、自分なりの気の充

畳まれる傘から滴るしずくさえ愛おしいほど待ちわびた君

【日常に短歌を】 雨が打ち付ける音をかき消すように、ドアを開けた君。 『ただいま』と言いながら、傘を畳む。 傘から滴る水を眺めながら、『おかえり』とぼくは返した。

花は春 出逢いの春に別れの春 僕の春には花粉症がある

【日常に短歌を】 春はなかなかきびしい季節です。涙なしには越すことができないみたいです。 それでも強く逞しく、生きていこうと思います。

『もう春か』 つぶやく君に背を向けて思い返した 他愛ない日々

【日常に短歌を】 春になり、卒業式に入学式を迎える頃が過ぎました。 春といえばなにが思い浮かぶだろうと考えてみると、出てくるのは別れや旅立ちの思い出でした。 春は自然がいきいきとしだす陽気な季節ですが、旅立ちを見送る季節でもあります。そんな姿を桜に重ねてしまうから、桜の景色は心に残るのでしょうか。

ごめんねにいいよと返す子のシャツに汗、砂、誇り、光る太陽

【短歌チャレンジ】 ごめんねと言われて、いいよと返す必要はないのだけれど、その許す気持ちを持つことは、確実に人を成長させているのだと思う。 そういうやり取りをする子どもたちの光景にかわいらしさとたくましさを同時に感じた。 ブッダは弟子たちに説法をする時には、よく質問をしたそう。 その質問に弟子が答えると、ブッダは「善き哉、善き哉」と相づちをうった。 これも禅語として残るお話。 よくできましたと、弟子たちに対してブッダは賞賛の声をかける。その一言で救われることもあるだろ

天の原 振り咲け見れば青長ける 微かに薫る故郷の芝風

地元から東京に出てきて、あくせくと過ごす毎日。 めまぐるしく時間が流れていく東京での生活で、疲れたなと思うこともあります。 それでも東京にも意外と緑が多く、大きな公園や芝生の広場があったりします。 ちょっとお散歩に出かけて、青空の下で風を浴びていると、この大空は地元まで続いていて、少年の頃に見上げていたものと同じものなんだよなと感じます。 そんな思いを巡らせながら都会で浴びる風に背中を押されて、今日も歩いています。

根津に月 器に映る夜の夢 見返すように今宵は眠る

【日常に短歌を】 上野の街の横、東大のふもとに位置する根津の街。 根津はかつて遊郭だったという。 明治の頃には皆が足繁く通う街だった。 明るい繁華街の面影は今はなく、根津に昇る月がまばゆかったのは今は昔。 静けさが漂い眠る街。

【嘆けとて 月やはものを思はする かこち顔なるわが涙かな】

【嘆けとて 月やはものを思はする かこち顔なるわが涙かな】 泣いたらどうだ? と語りかけるように 月は私を思い悩ませる だから、この涙もきっと月のせいなのだよ ー西行法師 お坊さんなのに恋の歌ばっかりはしたないと思う。煩悩の塊じゃないか。でも、慈愛に満ちていて好きだ。 一流の武家に生まれ平清盛らとも文武に励み将来有望だったにも関わらず、23歳と若くして出家。隠居中には花と月の歌を好んで詠んだ。 西行は源平の動乱期に俗世間とは離れた所に身を置きながら、仏門に入りつつも

食卓を囲む家族のうつる窓 照らされ 夜道にわかに霞む

【日常に短歌を】 窓の向こうには明るい部屋で家族が食卓を囲んでいます。 夜道を帰る途中にふと目に入りました。 そんな情景です。 幸せになれる人は幸せのかたちを知っている人なんだと思います。 家族団らん食卓を囲める人はそういう家庭で育った人なのかなとか思います。 幸せのかたちは自分の心の中にある。

寒霜の包む湖 日の出待ち 友の渡したカイロをにぎる

【日常に短歌を】 寒霜の包む湖 日の出待ち 友の渡した カイロをにぎる 今年はきっと初日の出を迎えたいと思っていました。 千葉の片田舎の方にいたんですが、湖から顔を出すお日さまは眩しかったです。 ただ、待つ間には体は芯まで冷えて、氷点下で湖も凍るぐらいでした。でも左右のポッケにはそれぞれひとつずつ、友達が渡してくれたカイロが温かくありました。 友達が寝静まる頃に、ひとり日の出を見ようと家を出たのですが、その時に寒いだろうと持たせてくれました。その優しさが寒空の下だと余

はらへったはらへったとひとりごと キッチンに立つ気力もなしに

毎日あつすぎて夏バテしちゃいますね。 暇をもて余してすることもないから、なんか食べようかなと思うけど、それすらも億劫になる今日この頃です。

古池に たとえもやがかかっても 伸びゆく蓮は忍ぶことなく

古池に たとえもやがかかっても 伸びゆく蓮は 忍ぶことなく 【今日も短歌チャレンジ】 7月上旬、上野公園の不忍池にちらほらと蓮が咲き始めました。 池いっぱいの蓮の葉の緑色の中に蓮の花の明るいピンクがいい差し色になっています。美しい景色は気分も高揚させてくれます。 今もまだコロナに気をつけないといけない世の中ですが、いつもの季節にいつものように咲く花のその不変的な時間の流れもまた美しいものだと思いました。 世間には流行り廃りもあります。たとえどう流れようと自らの軸はし