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【嘆けとて 月やはものを思はする かこち顔なるわが涙かな】

【嘆けとて
月やはものを思はする
かこち顔なるわが涙かな】

泣いたらどうだ?
と語りかけるように
月は私を思い悩ませる
だから、この涙もきっと月のせいなのだよ

ー西行法師

お坊さんなのに恋の歌ばっかりはしたないと思う。
煩悩の塊じゃないか。でも、慈愛に満ちていて好きだ。


一流の武家に生まれ平清盛らとも文武に励み将来有望だったにも関わらず、23歳と若くして出家。隠居中には花と月の歌を好んで詠んだ。

西行は源平の動乱期に俗世間とは離れた所に身を置きながら、仏門に入りつつも旅をしながら歌を詠み、その心は本来あるべき人としての生き方を選んだような方だったのかな。

歌人として秀でていたのはさることながら、日本の自然観を築いた人物だろうし、影響を受けた歌人や芸術家も多いんだと思う。

原始日本では花と言われれば梅のことを指していたという。それが西行が好んで花の歌を詠み、桜の歌を多く残したことにより、花といえば桜という概念が生み出されたのだという。

桜の花びらのその散り際に、人の儚さや自然の摂理を感じ取ったのかな。


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