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社会人向け大学院への入学検討をした話その4

この記事は、病院で働く事務職員が、現状の業務に対する自分の能力に限界を感じ、学び直しとして大学院を修業の場として検討した話です。
今回は私が志望校とした大学院の入試倍率の話です。


1 志望校の実質倍率

(1)倍率について

この記事を書くまで倍率の事を意識していませんでしたが、入試倍率といわれる倍率には①志願倍率、②受験倍率、③実質倍率というものがあるそうです。
入学できるかどうかの競争率を比較したいので、この記事では実質倍率(受験者数を合格者数で割った数字)に着目して書き記すことにします。

(2)志望校の実質倍率(全体)

志望校全体の出願状況をまとめると、次表のとおりとなります。

直近3年間の出願状況

【補足】
※1 表は各大学のHPで公表されている資料を集計して作成
※2 E受験倍率はC受験者数をA定員で割ったもの。
※3 F実質倍率はC受験者数をD合格者数で割ったもの。
※4 兵庫県立大学(MBA)は、4つのコース全体(地域イノベーション、中小企業診断士養成、医療マネジメント、介護マネジメント)
※5 大阪公立大学(都市経営研究科)は、4つのコース全体(都市政策・地域経済、都市行政、都市ビジネス、医療福祉イノベーション経営)。
※6 関西学院大学(MBA)は令和4年度から中小企業診断士養成課程(定員16名)を含み、アカスクは除く。
※7 神戸大学(MBA)の合格者数は二次試験の合格者数。
※8 国際医療福祉大学(h-MBA)はHPでの公表なし。

全体の雑感として、専門教育訓練給付金が利用できる大学と、学費が安い国立・公立大学に人気が集中していると読み取れます。
また、中小企業診断士養成課程のある兵庫県立大学は、さらに入試倍率が上がります。

2 兵庫県立大学について

全体の倍率は国内MBAの中ではかなり高いです。
これだけで判断すると受験を躊躇すると思うので、もう少し細かく分解してみます。

(1)医療マネジメントと介護マネジメントコースについて

兵庫県立大学大学院 社会科学研究科 経営専門職専攻(医マネ、介マネ)
医療マネジメントコース
介護マネジメントコース

コース別に分解すると、全体の倍率からはかなり下がりました。
令和5年度の倍率が落ちたのは、コロナ化による影響だと思います。医療・介護従事者は、自分が感染源にならないことに注意しなければならないので、出願を控えたのではないかと思います。

医療マネジメントコースの場合、出願者の所属は病院・診療所が多く、職種も医師、看護師、コメディカル(薬剤師、栄養士、臨床検査技師、診療放射線技師、事務等)と多く、医療に特化したMBAの選択肢が少ないため、かなり人気があることが読み取れます。

介護マネジメントコースは、人気が高い年度もありますが、志願者が集まらない年度もあります。介護業界の人手不足が原因なのか、介護業界の給与水準の低さから志を持つ人が少なくなるのか、何らかの要因があるようです。
しかし、介護需要が増えることは間違いありませんし、介護マネジメントを学べる大学は今のところ兵庫県立大学しか見当たりませんので、今が狙い目なコースではないかと思います。

MBA全体の倍率を見ると読み取れますが、MBA全体の定員数と入学者数を見て、合格者数の増減を各コース間で調整しているように伺えます。また、両コースとも入学辞退者がほとんど見られないのが特徴です。

(2)地域イノベーション・中小企業診断士養成コース

兵庫県立大学MBA 入試倍率
中小企業診断士養成課程を含む地域イノベーションコース合計
地域イノベーション(中小企業診断士養成課程除く)
中小企業診断士養成課程

私が受験する予定はありませんが、参考までに載せておきます。
兵庫県立大学の経営専門職専攻(MBA)は令和3年度募集から再編され、フルタイムMBAだったビジネスイノベーションコースは他専攻へ移管されました。そのため、令和3年度からMBAの定員が変更されています。表とグラフの数字は移管されたビジネスイノベーションコースを除いた数字です。過去の情報を読み取った限りでは、平日昼に移管されたコースはあまり人気がなく、その分パートタイムMBAである他コースの入学者に割り当てていたように見えました。
※平成30年度と令和5年度の内訳は現時点では未公表。

こうして分解してみると、中小企業診断士養成課程が非常に人気が高いことが読み取れます。学費も安く、教育訓練給付金も7割支給されますので、出願者数も多くなるわけですね。
地域イノベーションコースも、国内MBAの中では比較的人気があります。学費とカリキュラム、そこそこ良い立地が魅力的ですから、地元の人の選択肢になっている気がします。

3 大坂公立大学について

数字だけ見ると、定員を大きく超えたり、定員割れした年もありました(市大と公大の統合による影響でしょうか?)。
ただ、定員割れした年でも不合格者になった方もいるので、定員割れしたからといって全入学させることは内容です。選考基準はしっかりしています。
個人的な印象ですが、公務員の受験者割合が多く、医療従事者の出願者は少ないように思えます。
倍率だけで見るのであれば、医療福祉イノベーション経営コースは狙い目なような気がします。

4 関西学院大学について

関西学院大学MBA入試倍率の推移

関西学院大学は、令和4年度から中小企業診断士養成課程が設置されました。
教育訓練給付金はまだ一般ですので、他校に比べればまだ倍率が低いです。しかし、(聞いた話ですが)3年間の実績ができれば専門実践教育訓練給付金の対象コースとして申請できるそうなので、今後の人気化が予想されます。

企業経営戦略コースは6つのコースがあります。
(経営プログラム、マーケティングプログラム、ファイナンスプログラム、テクノロジー・マネジメントプログラム、アントレプレナー事業承継プログラム、自治体・医療・大学経営プログラム)
全体でこの倍率ですので、比較的入学のチャンスが多い印象を受けます。また、入学を辞退される方もいらっしゃるので(おそらく滑り止めとして受験しているのでしょうか)、合格者も多めに出しているように見えます。
なお、表とグラフは前期・後期の入試・入学時期を合算したものとなります。

個人的な印象としては、関西学院大学の卒業生が選びやすいことや、学費の安さと立地の良さ、カリキュラムの充実で人気があるように思えます。

5 神戸大学について

神戸大学MBA入試倍率の推移
神戸大学MBA入試倍率の推移

こうして年次別の推移をみると、非常に人気のあるMBAだと思います。入学辞退者も少なく、第一志望として受験されている傾向にあると読み取れます。
令和7年度入学となる入試からは、試験科目から英語が無くなるそうなので、今後ますます人気化するのではないかと思います。

6 国際医療福祉大学について

HPで資料が公表されていないので、正直わかりませんでした。
ただ、HPで公開していないということは、実質倍率は低いように思えます。教育訓練給付金も今のところ一般ですから、これが要因かもしれません(個人の主観です)。
しかし、カリキュラムは魅力的に思えますし、フルリモート可ですので、選択肢の1つとなります。

7 まとめ

実質倍率は、やはり学費負担が少ない大学が人気化します。大学院を選択するときの要因として、

1 通学時間・通学費用の負担感
2 学費が安い国公立大学大学院
3 教育訓練給付金対象の有無と種類
4 中小企業診断士養成課程
5 大学院のカリキュラムが自分が求めているのか

といった要素で実質倍率が増減するように感じました。
また、人気化している大学は、情報公開も進んでいるように思えます。

以上のことを踏まえ、社会人向け大学院の受験戦略を検討すればよいかと思いました。

ここまで長い駄文を読んでいただき、ありがとうございました。
次は学費の事について書き留めておこうと思います。

つづく

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